押入れを、ホームエレベーターにリフォーム! 人も犬も将来安心
先日、ホームエレベーターのある友人宅に泊まらせていただいた。重い荷物を持っていたので助かったし、愛犬もうれしそうにエレベーターを使っているのを見て気づいた。「高齢犬には階段、良くないからイイ!」。昨今、人とペットの高齢化が進むなか、2階建てでもホームエレベーターを付けるリフォームが増えていると聞き、最新のホームエレベーター事情を探ってみた。
贅沢品だったホームエレベーター、今は“転ばぬ先の杖”
その友人宅は3階建てで、新築時からホームエレベーターを設置。鏡や椅子、絵、季節ごとの帽子を飾り、お出かけ前の小さなインテリア空間としても活用している。【画像1】友人宅の愛犬はスタンダードプードル。お利口にエレベーターで上下階へ移動(写真撮影/リサブレア)
一方、わが家の愛犬は短足胴長コーギー犬。獣医さんからは「腰を痛めるので階段は使わせないように」と言われたが……。
2階リビングなので、頻繁に上り下り。11歳になって、そろそろ不安になってきた。【画像2】わが家のコーギー犬。滑り止めシートを貼っているが、勢い余って転ぶように着地することも(写真撮影/藤井繁子)
犬は階段の上り下りで、関節を痛めたり椎間板ヘルニアになったりするそう。骨を折ったりしたら、治療費がビックリするくらいかかるのが動物。
人間も同様で、階段での転倒で打ち所が悪いと生死にかかわる事故になりかねない(実は筆者も50歳を前に感覚が鈍ったのか、階段で転倒! 頭を打ったことがある)。
2階にリビングルームなどメインの生活空間がある間取りも多くなり、老後を考えるとホームエレベーターは贅沢品ではなく、転ばぬ先の杖となる“保険”と言える設備投資かもしれない。
昨今の商品開発で、設置条件や商品内容がどう変わっているのかショウルームへ話を聞きに行ってみた。
タタミ1畳サイズの押入れが、エレベーターに変身リフォーム!
ホームエレベーター市場はメーカー2社で約90%のシェアを占める様子、その大手パナソニックのショウルームを訪ねた。
【画像3】パナソニック ホームエレベーター株式会社の武藤部長が案内をしてくださった。「パナソニック リビング ショウルーム 東京」にて(写真撮影/藤井繁子)
「実は、愛犬家がホームエレベーターを設置するリフォームは年々増えています」と、パナソニックの武藤氏。
基本的には高齢者が自宅をバリアフリー化する際に、エレベーターを導入するケースが多いが、
「愛犬を抱っこして階段を上り下りすることに不安を感じるなど、ペットにとってもご自身にとっても安心に暮らせる対策としてホームエレベーターが注目されています」(武藤氏、以下同)ということだ。
また将来、車椅子でも自宅生活を続けることができるよう準備する方も多いようだ。
「そこで、2階建ての一戸建て専用にリフォーム用ホームエレベーターを開発しました」
ナント、押入れをエレベーターにリフォームする提案だという!
【画像4】収納や押入れのタタミ1畳分を利用して、エレベーターにリフォーム。「1608ジョイモダンS200V」今年度のグッドデザイン賞ベスト100にも選出された(写真提供/パナソニック)
【画像5】タタミ1畳とは、182cm×91cmのスペース(緑色部分)内に収まる大きさ。エレベーターもコンパクトになった(写真提供/パナソニック)
「リフォーム用に基礎工事も省施工に改善され、過去に構造上難しいと諦めたお宅でも設置が可能になっています」
自治体によっては、建築確認申請やエレベーター確認申請などの手続きが必要な場合もあるので、「リフォームには2カ月ほど見ておいてほしい」とのこと。
気になるのは費用。
「この2階建て用のリフォームの場合、エレベーター組み立て工事費※合わせて約285万−295万円(税抜)です」
※他に工務店が、エレベーターを設置するための建物側の工事費がかかる
工事費が約35万円なので、商品は250万円くらいだから以前より少し安くなった感はあるものの、まだまだ高い設備だ。キッチン替えるか、エレベーター付けるか? という金額。ちなみに、パナソニックではリフォームローンも用意していて、3万円前後/月払い(15年)でも設置できる。
では、電気代や保守点検といったランニングコストはどれくらいかかるのだろう?
「月々の電気代は地域や条件にもよりますが、省エネ性能も高まり約440円/月と以前より安くなっています」
法令で義務化されているメンテナンスについては、
「年1回の定期点検が4万円(税抜)。加えてオプションのメンテナンスも行っています」。
なるほど、他の住宅設備と違うのは定期点検が必須である点だ。利用頻度などによっても違ってくるが、部品の交換なども10年20年後には必要。これは他の設備も同じこと。
布団干しもゴミ出しも、ラクラク!
パナソニックが実施した設置ユーザーのアンケートによると、場面別の利用状況は、
1位:布団を干すとき 41%
2位:大型荷物の上げ下ろし 38%
3位:買い物の上げ下ろし 34%
4位:疲れているとき 29%
5位:洗濯物を干すとき 25%
と続く。高齢の親のために設置した主婦のみなさんが重宝している様子。
ショウルームでは、インテリア性の高い扉&庫内の色柄やスケール感を見て確かめられる。【画像6】筆者も手すりやボタンを実物でチェック、「ナノイー」発生装置が付いている!(写真撮影/パナソニック)
エレベーターの形も縦型・横型・樽型など、豊富にそろっているので、わが家にぴったりなものが見つかりそう。
【画像7】パナソニックでは床材など自社の製品と同じシリーズで、エレベーターもトータルコーディネート(写真提供/パナソニック)
【画像 8】扉の形状と色柄が選べ、エレベーターもインテリア性が高まった(写真提供/パナソニック)
ホームエレベーターが普及している状況が分かったが、災害や事故などへの対策が万全な製品を選ぶことが重要であることもパンフレットを見て感じた。
停電・地震・火災時の自動運転対応や、事故を未然に防ぐセンサー、緊急通報に対応する24時間365日のコンタクトセンターのことなどが記載されている。エレベーター選びの重要なポイントは、やはり安全に対する高い信頼性。それでこそ、転ばぬ先の杖になる設備だ。●取材協力
・パナソニック ホームエレベーター株式会社
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