「誘拐事件から“幽霊話”に発展する物語をリアルに演じたかった」 映画『ペイ・ザ・ゴースト』ニコラス・ケイジ インタビュー
「どんな親でも“もし子どもがいなくなったら”という恐怖は抱いているでしょう。私にも息子がいますが、もし息子を失うかもしれないと考えただけで恐怖を感じます。なので、この作品でもその恐怖を演じることはとても簡単でした」
現在公開中の映画『ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄』に主演したニコラス・ケイジはそう語る。
ハロウィンの夜に「幽霊に償ってくれる?」(ペイ・ザ・ゴースト)という謎の言葉を残し行方不明となった幼い息子――。今作は、その行方を探すごく普通の父親が、思いもよらぬ超常的な体験をすることとなるホラーストーリーだ。
ニコラス・ケイジ「『ペイ・ザ・ゴースト』の中で、一番魅力を感じたのは、父と息子の絆でした。子どもを守り、愛にあふれた父親像を描いた映画はそんなに多くはありません。だからこそ、そのような父親を表現したかったのです。すべての親が持っている“子どもを失う恐怖”を、感情豊かに、そして可能な限り自然に、そしてドラマティックに表現したかったのです。物語が進んで、超自然現象の中で“裏側の世界”に入り込んだとしても、同様です。それは、誘拐事件からゴースト・ストーリーに変化するとき、感情をリアルに表現するということでもありました」
行方をくらましてしまう息子・チャーリーを演じたのは、子役ジャック・フルトン。忙しい父を慕い、一緒にいたいと願うチャーリーをピュアな魅力いっぱいに演じ、息子が行方不明となる悲劇をより色濃いものにした。ニコラスは、そんな彼と撮影中にエルヴィス・プレスリーをデュエットしていたという。
ニコラス「ジャック・フルトンは、まるで偉大なエルヴィスのようなシンガーなんです。彼はエルヴィスを愛していて、とてもいい声をしている。だから一緒に歌わないわけにはいかなかったし、そこでとても早く心が通じ合いました。父と息子を演じるにはお互いを知る時間があまりなかったけれども、一緒に歌うことで関係を作りあげることができました。もし共演者と共通点があれば、早く・より良い関係を築くことができるんです」
50歳を過ぎて尚ハイペースに、そして幅広い作品に出演し続けるニコラス。その理由について問うと、思わぬ謙虚な答えが返ってきた。
ニコラス「興味を持ち続けること、多様性を持ち続けることが私にとっては必要なので、広範囲にわたる役割を演じています。私としては決してひとつのキャラクター(役柄)を演じ続けるとか、同じタイプの映画に出演し続けるということはしたくないと思っています。自分自身を映画学校で演技をしている一人の生徒のように思い、いつも何かを学ぼうと、そして挑戦しようと思っています」
ベテランの域に達しても真摯に“映画”と向き合い、ひとりの俳優として未知の領域に挑戦し続けるニコラス。そんなニコラスの姿が、未知の世界に向き合って息子の行方を探す主人公とリンクしているのかもしれない。ごく普通の父親である主人公と、俳優ニコラス・ケイジの勇姿を是非劇場で。映画『ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄』は渋谷シネパレスほかにて公開中。全国順次ロードショー。
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