“そばめし”は、神戸の靴工場で働く工員の一声からはじまった?
2017年1月1日、開港150年を迎える神戸。セレクトショップ「BEAMS」は、この度、そんな神戸を一冊の本にまとめました。本書『BEAMS EYE on KOBE ビームスの神戸。』は、現地ショップスタッフやローカルなクリエイターも巻き込んで神戸を徹底取材。
多様な外国文化を取り入れながら、独自の文化を築いてきた港町・神戸には、市内だけで150軒にものぼるパン屋の数々、履き倒れの街ともいわれるほどの豊富な靴屋をはじめ、名物も多々ありますが、そのなかには神戸を発祥の地とするものも。
たとえば、いまや全国的に普及した”そばめし”は神戸が発祥。履き倒れの街・神戸を下支えする靴工場がたくさん存在する長田では、工員たちが素早く食べることのできるクイックめしとして、お好み焼き屋が愛されてきたそうですが、そのなかでも「お好み焼 青森」は、そばめし発祥の店として知られています。
1957年の創業当初、一人の工員から、”弁当の冷やご飯を焼きそばと一緒に炒めてくれへん?”と頼まれたのがそのきっかけ。「鉄板の上でそば玉を刻みながら米と一緒に炒め、ぼっかけとキャベツを足し、最後にばらソースをじゅわ〜っと回しがける」(本書より)というシンプルな作り方は、今もなお健在。テコを両手に持ち、素早く炒めることで麺と米がベタベタにならず、ぱらりと仕上がるのだそうです。
お酒を飲んだあとのシメとしても最適な”貝のつぼ焼き”も、神戸発祥の名物料理。現在では、その専門店は数少なくなってしまったものの、かつて三宮や福原には数十軒の屋台が連なってつぼ焼きを売っていたのだそう。
大貝と呼ばれる巨大な二枚貝を細かく刻んだ身と三つ葉、そして出汁をアカニシ貝という巻き貝の器に入れ、直火で煮た”貝のつぼ焼き”は、「熱々で供される貝を長楊枝でつつき、噛み締めるごと、スープをすするごとに、豊かな滋味が身体にしみわたる」(本書より)のだといいます。
さらに神戸は、日本で初めてソースが作られた街。貿易で栄えた神戸は、早くから良質なスパイスが手に入ったことから、1892年には本格的なソース工場が誕生。洋食やこなもんの普及とともに、ソースメーカーも増えていったそう。地元民は焼きそばやたこ焼きなど、料理に応じてソースを使い分けるため、冷蔵庫には2〜3本、異なる種類のソースがストックしてあるのだともいいます。
ちなみに、さまざまなソースメーカーのなかでも、日本のソースの生みの親といわれるのは、阪神ソース。1885年に日本で初めてソースを作った安井敬七郎の名を冠した同社の看板商品は、1897年当時のレシピをベースに作られた懐かしい味の一品となっています。
本書にはグルメのほかにファッション文化、暮らしまで、あらゆる分野の厳選した情報を掲載。神戸を訪れた際には、こうした情報をうまく活用して、街を散策すれば、より一層その魅力を感じることができるかもしれません。
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