オリンパス元専務「信頼性があるのは彼一人だけ」 ウッドフォード元社長の復職を訴える

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オリンパスの元専務取締役・宮田耕治氏

 巨額の損失隠しが発覚した精密機器メーカー・オリンパス。その元専務取締役・宮田耕治氏は2011年11月18日、ニコニコ生放送の番組に出演し、先月突如解職されたマイケル・ウッドフォード元社長の復職を訴えた。「オリンパスの再生に向けて、社員が立ち上がるサイト」を開設した宮田氏は番組の中で、「オリンパスの取締役の中で信頼性があるのは彼だけだ」と述べ、ウッドフォード氏の復職とともに現経営陣の刷新を促した。

 宮田氏は1995年から2006年まで、オリンパスの取締役を務めていた。今夏に友人から、オリンパスの不透明な企業買収やその資金についての疑惑に初めて触れた雑誌、『FACTA(ファクタ)』の存在を知らされた。その際、「内部告発じゃないかな」との感想を持ったという宮田氏。さらに9月下旬ごろには、ウッドフォード氏から「取締役に送る手紙を英文から和訳してほしい」との依頼が来た。

 「もしかしたら」――。そう頭によぎった宮田氏だったが、10月1日にウッドフォード氏がCEO(最高経営責任者)に昇進したため、「何かあったけど、うまくいったのかなと思った」という。しかし就任から2週間後、ウッドフォード氏は「組織を無視した独断専行」を理由に、突如として解任されることになる。「何かおかしい」と感じた宮田氏は、知己のある現役の部長クラスの人物を呼んで「何が起きているのか?」と聞いた。その時、宮田氏は「ほとんど正確な情報が(社員に)伝わっていない」との印象を受けたという。

 そして、11月8日に開かれた「衝撃の記者会見」。宮田氏は、同社の上場廃止危機を感じ、元社員として何かできないかと考えた。そして11日に、「オリンパスの再生に向けて、社員が立ち上がるサイト」を開設。このサイトでは、「沈没寸前」のオリンパスの従業員に「今こそ立ち上がろう」と呼びかけ、ウッドフォード氏の復職を訴えている。

■元専務が語るウッドフォード氏、高山社長、菊川前社長

 ウッドフォード氏とは25年来の友人だという宮田氏。ウッドフォード氏を「絶対に妥協しない強靭な、寄って立つ軸がある」と評した上で、「今回ガバナンス(企業統治)上で正しい行動を取ったのは彼一人だ」と断言する。

 また宮田氏は、記者会見で涙を流した高山修一社長について、「完全に犠牲者だった」と弁護。「(11月8日の記者会見で、高山社長は損失隠しについて)『昨日、聞きました。本当に知りませんでした』と言った。あれは本当だ。間違いない」とし、「彼を知っている人は皆信じたと思う」と話す。

 その一方で宮田氏は、「損失隠し」に関わったとされる菊川剛・前会長兼社長らを、

「真実を告げず、こういう修羅場を彼(高山社長)に投げるのは卑劣だ」

と批判。さらに、「(サイトを開設して)結果として、昔の友人や同僚を追い詰めることになり、非常に心が痛かったが、菊川さんに対してだけは、まったく良心の呵責はない」と述べた。

■オリンパス復活へのハードル

 ジャーナリストの井上トシユキ氏から「オリンパス再生へのアドバイスは何か?」と訊かれると、宮田氏は「最初のハードルは、クリーンアップ(掃除)して、損を全部出す。『これで全部です』ということをまず信用してもらえなかったら、それで(オリンパス)終わる」と返答。その上で、

「今の経営陣は、特に海外の大株主からの信頼性が欠けている。ウッドフォード氏が戻って、自分でステイトメント(声明文)を出せば、(海外の大株主は)信用してくれると思う。残念ながら、オリンパスの取締役の中で信頼性があるのは彼一人だ」

と語り、ウッドフォード氏の復職を訴えた。

 また宮田氏は「再発防止」というキーワードを挙げ、「世間が見て『これなら大丈夫』というガバナンスのやり直しをしないといけない」と指摘。そのためには「今の経営陣では無理」だと語り、現経営陣の刷新を促した。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 宮田氏が語る「オリンパス再生」から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv71183837?po=news&ref=news#44:03
・[ニコニコ生放送]オリンパス元社長 マイケル・​ウッドフォード氏 記者会見 ​主催:日本外国特派員協会 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv71303890?po=news&ref=news
(山下真史)

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