管理費に町内会費が含まれているのはなぜ? 退会できる?
分譲マンションでは、町内会費が毎月の管理費とともに徴収されているケースが多いようです。また、個人としてではなく、最初から管理組合として一括加入になっていること自体に違和感を覚える方もいます。管理組合と町内会の違いや、町内会から退会したい場合どのようにすればよいかを紹介します。
なぜ町内会費を管理費と一緒に徴収しているの?
第一に町内会(自治会)の意向として、地域住民の一員としてマンションの居住者にも加入して欲しいということがあります。また、町会費を住戸ごとに徴収するのは事務的な負担が大きくなるため、管理組合から一括で支払う仕組みにしてもらいたいという事情があると思います。
そのため、マンション新築時に、開発業者(デベロッパー)と町内会との間で一括加入と会費の納付方法を同時に取り決めてしまうケースも多いようです。
管理組合と町内会、ここが違う!
ただ、冒頭で述べたように管理組合と町内会はそもそも組織の目的からして違いがあります。したがって、管理組合に所属するというだけでひと括りにしてしまうのは少々問題があるのです。
まずは、管理組合と町内会の違いについて整理してみましょう。
(1) 運営目的と加入資格が違う
管理組合は、マンションの部屋ごとのオーナー(区分所有者)が共有する財産の管理方法に関するルールとして管理規約を定め、日常の維持管理、建物・設備等の修繕などの資産管理を適正に行うことを目的としています。したがって、同じマンションの居住者でも、賃貸で住んでいる人は管理組合には入れません。
一方、町内会(自治会)は、江戸時代の「五人組」制度に由来するといわれ、居住者相互の親睦や、防犯・防災等の共助を図ることを目的とした、地縁性をベースとする団体です。そのため、加入資格もその地域に居住する人であればよく、土地・家屋を所有しているかどうかは問われません。つまり、マンションに賃貸で住んでいる人で言えば、管理組合には入れなくても町内会には加入できるということです。
(2) 加入・退会の自由の有無が違う
分譲マンションを購入すれば、「区分所有法」のもと管理組合に加入するのは義務であり、これを拒否することはできません。逆に、マンションを他人に譲渡した場合には、その時点で組合員の資格も自動的に失うことになります。
一方、町内会は強制加入団体でもなく、その規約において退会を制限する規定を設けていないのが一般的です。要するに、町内会への入退会は任意であり、本来あなた自身で選択ができるのです。【図1】町内会と管理組合の違い(筆者作成)
なお、過去に争いのあった事案においても、自治会の入退会は任意であるから、たとえ管理規約で町内会費を管理費と一緒に徴収することを定めていたとしても拘束力はないとする判例があります。
町内会から退会したいときは、どうすればいい?
例えば、マンションの区分所有者であるものの、その地域に居住していないため町内会に加入する意味がないといった事情がある場合などは、町内会に退会を申し出るとともに、管理組合(もしくはその事務を委託している管理会社)にもその旨を連絡するとよいでしょう。
管理組合に連絡することをお勧めするのは、全組合員の会費を一括で振込みを行っているケースが多いので、退会時点での各組合員の納付状況を確認のうえ過不足分があれば精算の必要が出てくる可能性があるためです。
マンション住まいの方は、会費徴収の事情等から町内会への加入を義務と思いがちですが、あくまで個人の任意です。とはいえ、町内会のお祭りなど懇親を深めるイベントや、防犯・防災活動などを通じた「地域との関わり」も筆者個人としては大切なものだと思います。ご自身の状況や価値観にもとづいて考えてみてください。
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