デジタル教科書の導入で日本の教育は変わるか
教育の情報化、特に教科書・教材のデジタル化を進める上での課題を討論するICPFシンポジウム『デジタル教科書をめぐる三つの論点』が、2011年11月16日に行われた。同シンポジウムでは、デジタル教科書を導入した場合の日本の教育の変化についてなど議論がされ、東洋大学の松原聡教授は「教育の根幹が変わるべき」と持論を展開した。
松原教授は、デジタル教科書を教育の場に導入する際の理想と現実について、自身の思いとしては「長い戦略の行き先としては、紙の教科書を廃しデジタルをフルに生かした新しい教科書を導入すべき」と語った。しかし同時に、それは検定・教育課程制度を根底から崩すことになるため、すぐには無理であろうとも予測。
一方で、「できるだけ早く教科書をデジタル化するには?」という議論のなかで、同席する慶応義塾大学の中村伊知哉教授が自身の端末で、この日試合が行われていた「プロ野球日本シリーズ」を観戦していることがわかると、この言動に対して松原教授は、「こういう輩を育てないのが日本の教育でしょ」と会場からの笑いを誘いつつ、
「でもちゃんとしてればいい。もっと自由に調べて、考えることが大事。なぜ日本でビル・ゲイツやスティーブ・ジョブスが出ないのか。教育の根幹がおかしいと思う。根幹がおかしいのにデジタル教科書を導入して(教育が)ちょっとよくなればいいのか、(それとも)デジタル化は根幹を崩すための黒船として導入するのか。どちらかといえば私は後者だ」
と語り、デジタル教科書の導入が日本の教育を大きく変えるものになるべきと主張した。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]東洋大学・松原聡教授の主張から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv70571587?po=news&ref=news#1:28:05
・[ニコニコチャンネル]シアターネットTV
http://ch.nicovideo.jp/channel/ch2620
(澤邉由里)
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