「”ネトウヨ”というレッテル貼りをするな」 フジテレビ番組が「ネトウヨ」特集
2011年11月12日、フジテレビで放送された番組『新・週刊フジテレビ批評』では、「”ネトウヨ心理”とテレビ」というテーマを取り上げた。”ネトウヨ”とは「ネット右翼」の略称だが、番組では「ネット上で憂国的な発言をする人々」と定義し、ネット上に見られるマスメディアに対する不信に切り込んだ。
批評家の濱野智史氏は、反マスメディアや”ネトウヨ”的な運動を、第4の権力とされるマスコミへの”市民の監視”と評価し、「日本のメディアをめぐる民主的な状況は、健全と言えなくもない。(テレビ制作者は)”ネトウヨ”というレッテル貼りをするな」と話した。また同時に「ネトウヨと呼ばれる人たちも、メディアに対してレッテルを貼ってばかりではいけない」と冷静に議論する場の必要性を訴えた。
■メディアが対話のチャンネルを作らないと、対立はより深まっていく
ジャーナリストの津田大介氏は、テレビとネット上での議論・検証に全く違う現状があるとして、TPP(環太平洋連携協定)交渉参加問題を例に挙げ、
「本当だったら(TPP参加によるメリット・デメリットなどを)検証・解説するのがメディアの役目だったと思うけれど、十分にやれているメディアというのが新聞もテレビも中々ないというところで、手間がかかる(検証)作業をネットの人たちがやり始めている」
と指摘。「メディアと消費者との意識の乖離を表した」と評した。また津田氏は、さまざまな人がネット上でつながるだけでなく、ここ数年ではフジテレビへの抗議デモなどのように、リアルにつながるように変化してきていると話す。一方でインターネット上には、権力の批判装置としてあるはずのマスコミ自体が実は権力化しているのでは? という疑念やメディアに対する不信感があると話し、メディアが対話のチャンネルを作らないと、対立はより深まっていくとの懸念を示した。
濱野氏は、これからのインターネットとメディアのあり方として、
「この10年くらい続いている反マスメディア、もしくはネトウヨ的な運動というのは、ある種の市民によるマスメディア監視と言えなくもない。ある意味、評価できる。ネトウヨ的なものがいるということは、日本のメディアをめぐる民主的な状況というのは、健全と言えなくもない。『右翼だから別に聞かなくていいでしょう』と無視するようなレッテル貼りはそろそろ限界」
と話し、テレビ制作者に対して「”ネトウヨ”というレッテル貼りをするな」と提言した。また同時に濱野氏は、「ネトウヨと呼ばれる人たちも、メディアに対してレッテルを貼ってばかりではいけない」と言い、冷静に議論できる場を作ることが重要だと述べた。
この濱野氏の意見を受けて、テレビなどを見ながらコメントを投稿するニコニコ動画の実況サービス「ニコニコ実況」では、「レッテル? ホントのことしか言ってないぞwwwww」「テレビはオワコン」「レッテルはよくないよね」「印象操作乙」「こういう番組各局でやれよ」とさまざまなコメントが寄せられた。
◇関連サイト
・[ニコニコ実況]「”ネトウヨ心理”とテレビ」過去ログ – 会員登録が必要
http://jk.nicovideo.jp/log/jk8/201111120539-201111120557
・新・週刊フジテレビ批評
http://www.fujitv.co.jp/newhihyo/index.html
(伊川佐保子)
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ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
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