スマトラ沖地震で大津波が襲ったスリランカ、鉄道復旧への道

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(c)Courtesy of Becker Entertainment

 津波で破壊された鉄道よ、もう一度――。ニコニコ生放送「ニコニコ ナショナル ジオグラフィック チャンネル~事故・衝撃編~」で2011年11月5日、「大津波からの再建~スリランカ鉄道、復興への道~」が放送された。2004年12月26日、インドネシアのスマトラ島沖で発生した大地震。その直後に発生した大津波は、震源から約1600キロ離れたスリランカを襲った。番組では、津波によって破壊された沿岸部の鉄道路線が復興する姿が伝えられた。

 インド半島の南東に位置するスリランカ。島国であり、海産資源にも恵まれているなど日本との共通点も多い。だが、豊かさと地理的条件ゆえに数世紀に渡って外国の支配を受けた歴史があり、津波で被災したサウザン線も1864年にイギリス人が敷設したものだという。大都市コロンボとマータラを結ぶ全長約1450キロ。サウザン線は南部の沿岸部に暮らす住民にとっては不可欠な交通手段だ。被災当日、乗員・乗客合わせて1700人が車内にいた。津波によって8両の客車はすべて脱線し、重さ80トンの機関車は30メートルも流された。乗員乗客1500人以上が死亡した。

 津波の被害によってサウザン線は運休。孤立した沿岸部の住民は一刻も早い運転再開を望んでいた。作業は困難を極めたが、スリランカ国鉄は自社の技術者や整備士だけで復興事業に挑み、わずか57日で復旧を完了した。復旧に携わった人々は「豊富な経験と人々の勇気による復旧」「列車は問題なく走っているし、誇りに思う。われわれは短期間のうちに驚くほどの偉業を成し遂げた」と語った。

 番組後半では、最新の海底プレート研究が紹介された。スマトラ沖地震はインドプレートとビルマプレートの境界で起こり、1000キロメートルに及ぶ海底断層を発生させたとされる。今後、この断層の活動によって地震が増加すると見られている。将来の津波に備えるため、スリランカ政府は沿岸部の鉄道路線を内陸部に移設する計画を立案しているという。

 今年3月の震災以来、日本でも同様の案は東北の被災地でも立案されている。JR東日本は10月、宮城県山元町議会特別委員会へ出席し、町が策定した土地利用計画案(常磐線を現行ルートから内陸側に1~1.5キロ移設する計画)について「用地買収後、全体の開通までおおむね3年あれば復旧できる」との見通しを示した。

 番組の最後には、津波に巻き込まれた機関車を再び走らせようとする試みが伝えられた。すべての部品を修理して走らせるつもりだという。修理に従事する技術者はこう言った。

「この機関車を直せるかって? もちろん直してみせますよ」

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 「大津波からの再建~スリランカ鉄道、復興への道~」から視聴- 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv68955753?po=news&ref=news#46:25
・[ニコニコチャンネル] ニコニコ ナショナル ジオグラフィック チャンネル
http://ch.nicovideo.jp/channel/natiogeo/

(吉川慧)

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