ミズナラ製の枡でウイスキーの味は本当に変わるのか? がっつり飲んで試してきた

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「バッカスの選択」を運営するアイノバ株式会社が、ミズナラ材で作ったウイスキー専用酒器「ミズナラ枡(ます)」を9月より順次発売するというので、どんなものなのか取材した。

写真右は、ヒノキのよく知られた日本酒を飲む升だ。そして、左側がミズナラで作ったウイスキー専用の枡(ます)。(以下、升と表記する)
確かに材料は違うのだが、それでどうだというのか?
取材時刻は13時。まさか昼間っからウイスキーをストレートでがぶ飲みすることになろうとは夢にも思わなかった。

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ミズナラはブナ科の落葉広葉樹で、ヒノキはヒノキ科の針葉樹。どちらも建材に利用されるほか、高級家具にも使用さる。
また、ミズナラは洋酒樽(たる)にも利用されており、最近では国産ウイスキーの熟成樽や、外国産ウイスキーでもわざわざミズナラの樽に詰め替えて熟成させることもあるという。
北海道産のものは、多くが輸出されていた歴史を持ち日本よりも欧州での活躍が多かったようである。
そのため、ジャパニーズオークという異名を持つ。

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違いがよくわかるお酒ということで、アードベッグ10年を用意してもらった。

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まずは、テイスティンググラスで飲んでみる。
もともと記者はスコッチが好みではないということもあるが、これは煙い。煙すぎる。
スモーキーを通り越して、ただただ煙いのだ。
美味しいかどうかは好みの問題なので、この際置いておく。

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そして、ミズナラの升でいただく。
香りが変わったような気がする。
先ほどの煙いのが消えた分、アルコールが際立つような気がした。
味は、いわゆるスコッチの当たり前の味に変わり、同じ酒とは思えなかった。
ということは、せっかくのスモーキーが消えると言い換えることもできる。

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ここで、記者は角打ちといえば塩だろうと考えて、食塩をもらってなめながら飲んでみた。
角打ちとは酒屋で酒を買ってカウンターで立ち飲みするスタイルのことだ。

これは美味い。塩のしょっぱさは感じられず、柔らかくなったウイスキーの味が広がり、飲んだ後に塩の辛さではなく苦みが舌の左右に残るという不思議な味わいを楽しむことができた。

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さて、せっかくなのでヒノキの升でも飲んでみた。
香りが甘くなり、スモーキーさは若干残るが、スコッチの特徴のみが強調されるような気がした。

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日本酒を飲むときは、升いっぱいに表面張力いっぱいいっぱいまで注ぐが、ウイスキーでそれをやると明らかに飲みすぎとなる。
本来は、少しだけ入れるべきだったのかもしれない。そうすれば木材の香りが際立ちまた違った結果になるのではないだろうか。

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同社「バッカスの選択」編集長の清水啓史さんに話を聞いた。

--なぜこのようなものを作ろうと思われたのですか?

「酒を楽しむ道具としての酒器ですが、決まったものを壊したいという思いはありました。伝統や格式も大切ですが、面白い飲み方、変わった飲み方をしてもいいのではないかと思いました」

--しかし、不思議と味が全く変わってしまいましたので本来の味わいを好む人にはどうなのでしょうか?

「そうですね。どちらかというと、変化を楽しむものですので、既存の飲み方では満足できない方とか、変わったことをしたい人には最適だと思います。また、先ほど記者さんがおっしゃったように、味が変わることによって逆に飲みやすくあんるケースもありますので初心者の方にお酒を再発見していただいて、常識にとらわれない飲み方をどんどん発信していただけたらいいのではないかと考えています。そして外国の方が升でウイスキーをあおっているという画は面白いですよね。マイボトルもいいですけど、マイ升もいいのではないかと(笑)」

二人とも決して酔っているのではないが、確かに升でウイスキーをちびりちびりやっている画は滑稽だ。

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最後にジャパニーズウイスキーである知多、竹鶴、白州の3種類が出された。
まだ飲ませる気なのかと思ったが、この際とことん面白いものに付き合ってやると上機嫌気味に飲み続けた。
この中で最も変化が分かったのが知多で、穀物臭のする変わったものだったが、ミズナラの升で飲むとその匂いと独特な味が消え、非常に飲みやすくなった。そもそもストレートで飲むべきウイスキーではないのかもしれないが、これも変わった飲み方といえばそうなるだろう。

同品は9月以降に通販で発売し、1個税抜き3800円。
現在はクラウドファンディングで支援すれば送料無料で税込み3283円で手に入るとのこと。(発送は9月以降)
すでに目標額の400パーセントを超えているようだが、本稿執筆時点であと35日ほどあるので、興味のある方はお得なクラウドファンディングで考えてみてはいかがだろうか。
味や香りは確かに変わるので、研究次第によっては安酒が大化けするかもしれないという楽しみ方もアリだと思ったミズナラの升だった。

※写真はすべて記者撮影

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(執筆者: 古川 智規) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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