映画「フォレスト・ガンプ」に学ぶ、運も味方も手に入れるまっすぐな生き方
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たった一本の映画が人生を変えてしまうことがあります。そんな「運命の映画」には、必ず「刺さるセリフ」があるものです。
映像、音楽、衣装など、総合芸術と呼ばれる映画にはたくさんの見どころがあります。中でも私たちの胸を強く打つのが、登場人物たちが語るセリフ。悩んだとき、落ち込んだとき、人生に足踏みしてるとき。たった一本の映画の、たった一言が、その後の自分を大きく揺さぶることがあるのです。そんな「運命的な映画のセリフ」を、筆者の独断と偏見でお届けするこのコーナー。
今回ご紹介するセリフは、アカデミー賞主演男優賞の演技が光るトム・ハンクスの出世作「フォレスト・ガンプ 一期一会」(1995年)から。知能指数は人より低いが足だけはめっぽう早いフォレストの「半生」と、アメリカを象徴するさまざまな「事件」をオーバーラップさせながら、誠実に生きることのすばらしさを愉快に教えてくれるヒューマン・ドラマです。
私がこの映画を初めて観たのは大学生のころ。何かと物事をむずかしく考えてしまうとき、フォレストのまっすぐな生き方や、彼を温かく見守りつづけた母の教えを事あるごとに思い出させてもらったものです。そして母がフォレストに遺した最期の言葉は今でも胸に刻まれて、何があってもひたむきに前に進もうと思い改めるのです。
バカをする者がバカ
時は1950年代。アメリカはアラバマ州の方言で「うすのろ」「まぬけ」を意味するガンプ(gump)の名をもつフォレスト・ガンプはIQ75の少年。同級生にバカにされ、石を投げられ、スクールバスの席さえ譲ってもらえないいじめられっ子です。しかし母から教わった「バカをする者がバカなのよ(だからあなたはバカじゃないのよ)」の言葉を受けて、とことんまっすぐに育ちます。
そして月日は流れ、フォレストは高校生に。なおもいじめられていた彼はクルマで追いかけてくるいじめっ子たちを脚力で振り切って、そのままアメフトのグラウンドに乱入。脇目も振らず選手の誰よりも早く駆けぬけて、その足を大学に見初められたところから彼の人生が転がりはじめます。
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その人生は運命なのか、風に吹かれているのか。フォレストはアメフト選手として活躍したのち、大学卒業後は陸軍の一員としてベトナム戦争へ。そこで出会った、エビのことなら何でも知っている黒人のババに「帰国したら一緒にエビ商売をやらないか」と持ちかけられます。ババは無念にも銃撃に倒れますが、フォレストは彼との約束を守り、帰国後にエビ漁を開始。ふたりの名をとってババ・ガンプ・シュリンプ社を設立し、戦地で上官だったダン小隊長とともにエビ・ビジネスで成功を収めます。しかし得たものがあれば、失うものもある。フォレストは最愛の母を病気で亡くすことになります。
人生はチョコレートの箱
生まれつき体が弱く、知能指数も低かったフォレストにとって、母は一番の理解者であり庇護者でした。背骨がゆがんで歩行が困難だった息子のために装具を用意したときは「これは魔法の靴よ」「他人にバカにされてはダメよ」と勇気づけ、IQの低さから養護学校への入学を勧められたときも「お前はみんなと何ひとつ違わないのよ」と励ましてきました。ありのままのフォレストを愛し、何でもわかりやすく説明し、ひとりでも強い心をもって生きていけるよう背中を押し続けてくれたのが母だったのです。
「じきに死ぬの」と病床でほほえむ母は最後のちからを振りしぼり、最愛の息子に「自分の運命は自分で決める」ことの大切さを説きます。人生はチョコレートの箱のようなもの。食べてみるまで中身はわからない。だからその手で箱を開け、どんな形のチョコレートを選びとるかは自分自身で決めるのよ、と。そして、こんな言葉を遺すのです。
「神がお前に与えたもので、ベストを尽くすのよ」
誠実さというギフト
「ギフト(gift)」という言葉には「才能」という意味があります。その力は神様から与えられた贈りもの、という考え方が英語圏にはあるのでしょう。ただ、頭が良いことや絵を描けること、ギターを上手に弾けることだけが才能ではありません。人がもつ力はすべて神様からの贈りものであり、たとえば人に対する「誠実さ」さえギフトと呼べるかもしれません。
事実、フォレストはその誠実さが好転して、みずからの人生を切り開いていきます。自分はあまり賢くないことを自覚して、ママの教えをしかと受け止め、人との出会いを大切にし、人に対してまっすぐ向き合う。そういう人柄だからこそ、彼を応援したり救ってくれる人が現れる。運も転がり込んでくる。打算も野心もない、この純度の高い誠実さは、ひとつの才能なのかもしれません。言葉を真に受けて冗談が通じないのは玉にきずですが、それもまた愛嬌のひとつでしょう。いずれにしても彼は、ただ誠実に生きました。人に対しても、自分に対しても。
もしかしたら私たちは、与えられたもの以上の力を望みすぎなのかもしれません。今ある力でベストを尽くさず、他人をうらやみ、必要以上に人より優位に立とうとしているのかも。でも大切なのはフォレストのように、そしてママの言うように「与えられたものでベストを尽くす」こと。そうすればその後の人生はきっと、チョコレートの箱のように楽しいものになるはずです。
そうそう、フォレストには母のほかにもうひとり、心から大切に想う人がいます。その人とどう出会い、どう向き合い、どう人生が転がるのか。ぜひ本編を見て、彼の「ギフト」にふれてみてください。
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『フォレスト・ガンプ 一期一会』
Blu-ray
2,381円+税
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
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※2016年07月の情報です。
※今回、取り上げたセリフは当該シーンの字幕を元にしています。原文の解釈や表現できる文字数の違いから、吹き替え版とは若干異なります。
文:松岡厚志
1978年生まれ、ライター。デザイン会社ハイモジモジ代表。ヨットハーバーや廃墟になったプールなど、場所にこだわった映画の野外上映会を主催していた経験あり。日がな一日映画を観られた生活に戻りたい、育児中の父。
イラスト:Mazzo Kattusi
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