相手に心を開かせる聞き方と話し方・7つの法則
ビジネスシーンにおいて、取引先であっても社内スタッフであっても、相手の「本音」がつかめていれば、交渉も提案もスムーズにいくもの。しかし、「相手が何を考えているかよく分からない」「あまり積極的に話をしてくれない」ということも多いのではないでしょうか。それは、相手があなたに心を開いていない状態であるともいえます。
そこで今回は、心理学者の内藤誼人氏に「相手に心を開かせる術」を教えていただきました。ちょっとした意識や工夫によって、相手が「この人になら話してもいいな」「この人ともっと話したい」と、心のトビラを開いてくれることもあります。相手と話すとき、次のようなポイントを意識してみてください。●話を聞くときは前傾姿勢で
人を話すときは、なるべく前傾姿勢をとりましょう。テーブルの上に身を乗り出すくらいにです。前傾姿勢をとることで、「あなたの話は興味深い」「あなたの話はためになる」というサインを送ることができます。
また、前傾姿勢をとっているだけで、「穏やかさ」「温かさ」「共感性の高さ」といった印象につながります。人と話しているときは、意識的に自分の身体の傾きをチェックしてみてください。
●「うなずき」はできるだけ大きく
話している人を喜ばせる「聞き方」の極意は、まじめに相手の話を聞いているということを、きちんと伝えること。そのための方法のひとつが「あいづち」を打つことです。
「あいづちなら、自分も普段からやっている」と思うかもしれませんが、実は不十分であることも。あいづちのコツは、できるだけ大げさに、大きくやること。小さく頭を上下させても、相手に熱意は伝わりにくいものです。心から相手の話に共感、感動していることを伝えるなら、頭を大きく動かしてうなずくことが重要です。
さらに、相手に聞こえるような独り言をつぶやくのも有効です。
「なるほど、そういう考え方もあったんですね…」
「その視点には気付かなかったな~」
「○○さんの話はどうしてこんなに面白いんだろう」
大げさと感じるかもしれませんが、まじめに聞いているかどうかわからないような聞き方をするよりははるかに効果的です。
●喜怒哀楽の表情をはっきり見せる
皆さんは、相手と話をしているときの自分の表情を意識していますか。
特に男性の場合は、無表情で話す人が多いようです。それは、常に理性的であろうとしたり、相手に落ち着いた印象を与えようとしたりする意識の表れかもしれませんが、人間関係においては自分の感情を出すほうが得策。中でも、「うれしさ」「興奮」「興味」「好奇心」といったポジティブな感情を積極的に出すことが大切です。
自分としては相手の話を真剣に聞いているつもりでも、無表情だと、相手は「このまま話を続けていいのかな」「ちゃんと理解してくれているのかな」と不安になります。不安を感じると、会話が心地よくありません。となれば、早々に話を打ち切ることになり、本音を引き出すまでに至らないというわけです。
●アゴを触りながら話を聞く
アゴを触るしぐさは、一般的には「思考中」であることを示します。
アゴを触りながら話を聞くと、相手の言葉にきちんと耳を貸していること、本気で理解しようという姿勢を見せることができます。さらには、賢さ、思慮深さを印象づける効果もあります。
スティーブ・ジョブズも、講演で質問を受けるとき、真摯に答える姿勢を示すため、このジェスチャーをしていました。
ただし、アゴを上げすぎるのはNG。ふてぶてしく尊大な印象になってしまいます。アゴを若干引き気味にして、「ふん、ふん」と相づちを打ちながら頭を上下させるとなおいいでしょう。
●「ソ」か「ラ」の音階で話す
低い声でぼそぼそと話す人よりも、明るく弾んだ声で話す人のほうが、相手に好印象を与え、「この人と会話したい」「一緒に仕事したい」と思われやすいようです。
ドレミファソラシドの音階で言うと「ド」「レ」のような低い音階で話すと「暗い」「地味」という印象になります。「ソ」か「ラ」の音階で話すと弾んだ声になりますので、意識してみてはいかがでしょうか。
●身ぶり手ぶりを交えて話す
米国で行われた実験です。ある女性が3分半のスピーチを行う際に、片方のグループには「なるべくたくさんの身ぶりを加える」、もう片方には「ほとんど身ぶりを加えない」という2種類のパターンを試しました。後でスピーチを聞いた人たちに「彼女にどの程度好意を感じたか?」とたずねると、身ぶりを加えて話したグループのほうが、より女性に対して好意を感じていたという結果が出たそうです。
実験を行った研究者は、さらに、身ぶりを交えたほうが「魅力」「有能さ」も高く感じさせ、信頼感も与えるという結果を導き出しています。
話すときに身ぶり手ぶりを加えると、それだけで「イキイキとしている」「熱意がある」という印象を与えるものです。相手の気持ちも乗ってきて、より多くの話を引き出しやすくなるというわけです。
●堅苦しくならず、適度にくだける
「礼儀正しくしなければ」という意識から、堅苦しい話し方、態度になってしまう人もいます。礼儀は確かに大切ですが、相手も緊張して、心を開きにくくなることもあります。まず自分から堅苦しさを取り払い、適度にくだけて見せることも大切。こちらがくだければ、相手もくだけ返してくれるものです。それにより、相手が腹を割って話しやすくなります。これを「親密さの返報性」といいます。
中には、「なれなれしい」「図々しい」と受け取る人もいるかもしれませんが、それ以上に「親しみやすい」と感じてもらえる効果の方が大きいです。自分から積極的にくだけて、オープンな姿勢を見せてみましょう。
――誰かと対話しているとき、話の内容に集中していると、自分の姿はなかなか認識できないもの。しかし、ここで挙げたことをまずは1つずつでも実践してみてはいかがでしょうか。
内藤誼人氏/心理学者
心理学者、立正大学客員教授、アンギルド代表。慶應義塾大学社会学研究科博士課程を修了後、有限会社アンギルドを創業。ヒューマンリレーションズ関連の書籍執筆を手がける。『初対面で相手の心を開く!46のルール』(PHP研究所)『自分の中から「めんどくさい」心に出ていってもらう本 』(青春新書プレイブックス)ほか著書多数。
EDIT&WRITING:青木典子
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