イギリスのEU離脱決定で私たちの暮らしはどう変わる?
世界市場に大きなインパクトを与えたイギリスEU離脱
接戦が伝えられていたものの、投票締め切り直後、日本時間朝のニュースでは残留がわずかに多いとの速報が。
しかし、結果は残留票よりも離脱票が上回り、投票の結果、離脱が残留を上回りました。
離脱派勝利の一報が伝えられた日本時間昼には、為替相場は1ドル99円台に突入、日経平均株価は約1200円の下落となり、市場に大きなインパクトを与えました。
1週間が経過した7月1日。
為替は1ドル102円台、1ポンド134円台、日経平均は15,600円台、イギリスの株価指数FTSEに至っては6500台と離脱前の水準を上回っています。
以上の数値を見ると、底なしに円高、株安が進行する相場ではなく、一旦、落ち着きを取り戻しているように見えます。
今後はEUとイギリスの離脱交渉の内容が重要に
今後、私たちの生活にどのような影響が出るかは不透明な点が多いのですが、EUとイギリスの離脱交渉がどのように進むのかで大きく異なると考えられます。(そもそも国民投票に法的拘束力はなく、議会の承認を必要とするか否かについても議論が起こっています。再投票は・・?)
今後、イギリスがEUに離脱を伝えた後、最長2年間(延長の可能性もあり)の交渉期間を経て、正式に離脱する流れとなりますが、次期首相候補は、交渉開始を年末または来年以降の方針を打ち出しています。
仮に離脱通知をしたとした場合、EUはイギリスに次ぐ離脱国家が出ないように厳しい姿勢で交渉に臨むと思われます。
交渉結果次第で日本経済にも大きな影響
第2、第3のEU離脱国家が出ないよう、厳しい姿勢で臨むようであれば、EUの安定が期待できるため、雪崩打つような株安・円高の可能性は低くなると思われますが、イギリスを欧州拠点とする日本企業はマイナスの影響を受けることとなるでしょう。
一方、イギリスが期待する「移民の自由を制限しつつ、経済面での好条件」を引き出すようなことになれば、イギリスに拠点を持つ企業にとってはプラス材料に見えますが、第2,第3のEU離脱国家が現れるのでは・・・と不安視され、さらに、円高、株安の不安が大きくなると考えられます。
また、9月にイギリスの新首相が決まり、その後、年内または来年以降にEUとの交渉が始まるまでは大きな変化はなく、交渉入りまでの期間や交渉期間が長期化すればするほど、先行き不透明感が強くなり、マイナス要素と考えられます。
いずれにしても、EU離脱そのものが、世界経済全体にとってプラス要素ではありません。
円高進行により、輸出に大きく依存する企業の収益は下ブレする可能性が高くなるため、利益が減少し、今年の冬のボーナスが減少する等の影響が出てくると思われます。
一方、プラス面では、円高により外貨を安く購入できるようになったため、海外旅行を検討している人にはよいチャンスです。
また、円高により輸入コストが下がるため、国内物価が上がりにくくなり、輸入品、原材料で輸入している商品は値下がりも期待できます。
国内企業への投資でも、円高により原材料等のコストを抑えることができる銘柄等にはプラスです。
不透明な時だからこそ家計の見直しは効果的
2016年に入ってから、1月には日銀のマイナス金利の導入、6月にはイギリスのEU離脱等、マーケット環境に大きな影響を与える出来事がありましたが、今月は参議院議員選挙、今年9月以降はイギリスのEU離脱交渉、11月にはアメリカ大統領選挙等、大きな変化を起こす可能性があるイベントが続きます。
先行き不透明ではありますが、不透明な中だからこそ、家計の見直しは効果的です。
マイナス金利による住宅ローンの借換え、電力小売り自由化による電気代の引き下げなど、できることから手をつけて、世の中の変化に対して、強い耐性を備える家計を築き上げましょう。
(益山 真一/ファイナンシャルプランナー)
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