『Dyson Supersonic ヘアードライヤー』約5万円の高級ドライヤー、果たしてそれだけの価値があるか徹底検証

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吸引力が落ちない唯一の掃除機で、どの掃除機よりも確実にゴミを吸い取りますという欧米メーカーならではの自信のみなぎった広告でおなじみのダイソン『Dyson Supersonic ヘアードライヤー』は約5万円の超強気な価格設定でドライヤー業界に波紋を投げかけているが、果たしてそれだけの価値があるのか。実際に使ってみて検証してみた。

不思議と軽く感じる本体。マグネット式着脱ノズルにディフューザーが同梱されている!

アメリカンな価値観だと自信がみなぎっているのは良いことだが、”和を以て貴しとなす”文化の日本では反感を買うことが多い。他にはAppleも同じだけれどとかく攻撃の的になりやすいのだ。そんな中で登場した『Dyson Supersonic ヘアードライヤー』(最大消費電力1200W・245 x 78 x 97mm/618g・希望小売価格 税抜48,600円・発売中)に風当たりが強いのは想像に難くない。

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記者もまた、製品が届いてみて少しばかり粗探しの気分がなかったかというと微妙。箱からしてもうApple製品のようなシンプルでスタイリッシュなもので、そこにうまい具合に本体や各パーツがきれいに収まっている。緩衝材も必要最低限。今回試用したのはアイアン/サテンフューシャのカラーリングで、中央部のサテンレッドが何ともイカす。他にホワイト/シルバーモデルも有。

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同梱されているのは標準的なノズルアタッチメントの他にセット用のコンセントレーターというところまでは標準的だが、何とディフューザーまで付いているのに驚く。美容院などでは見かけるが個人用ドライヤーでディフューザー付きというのは見たことがない。髪が傷みがちでカールを活かしてふわっと仕上げたい人だと、これだけで心が揺れるのでは?

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スタイラーなどの名称で、別売りパーツで安価で入手出来ることもあるディフューザーだが、ともすれば熱くなるドライヤー吹き出し口に純正品でないものをつけるのも勇気がいるし、ぴったり合う口径のものを探すのもひと苦労。それがセットにされているところは、さすがヘアーサロンとの共同開発というだけある。他の同梱物は滑り止めマットとストラップのみ。

 

欧米メーカーだけに強力さをうたうのはいいが、消費電力が馬鹿でかくてブレーカーが盛大に落ちたらどうしようと思っていたが、通常のドライヤーと同じ1200W。この範囲内できちんと勝負しているのは好感が持てる。

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掃除機で磨き上げられた強力なモーター技術を応用することによって開発されただろうこの『Dyson Supersonic ヘアードライヤー』、高風量のドライヤーは得てして手にずっしりと重いものだが、これは持ってみて拍子抜け。軽い。いや、618gあるので決して軽いわけではないのだがやたらと軽く感じる。しかも本体吹き出し口は空洞。これで本当に大風量は出るのか!?

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問題の風量。横殴りの暴風のような強力パワーで速乾スタイリングが可能!

とにかく使ってみることにする。軽く感じるわけはその構造にある。通常のドライヤーは吹き出し口のヘッド部分に各種部品が詰め込まれており、それを細い持ち手で持つことによりぐらつき、実際の重量より重く感じるもの。特に乾かす時にヘッドを揺らす人はこれが結構きつい。ところが『Dyson Supersonic ヘアードライヤー』は持ち手の部分に部品が詰め込まれている分、安定性がすごく良いのだ。

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つまり頭でっかちにならない分、手に重く感じないというわけだ。これは発想の勝利。素晴らしい。吸気口も持ち手の下部にあるのが面白い。だがこれ、記者はドライヤーを使うとき持ち手の下の方を持つ癖があるので、たまに吸気口部分をふさいでしまって手が吸い付くという憂き目にあった。慣れの問題だとは思うが。ちなみにこの部分は取り外して手入れができる。

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スイッチ類は持ち手部分にオン・オフ機能に瞬間的に温度を下げるコールドショットボタンがつく。温度調整は78℃/62℃/45℃/28℃の4段階切替。最近のドライヤーは頭皮をいたわる60℃程度の「スカルプモード搭載!」が流行だが、あえて62℃を「標準」モードにしているだけでアピールはない。風速は3段階調整が可能だ。それではスイッチオンで最強モードにしてみよう。

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これは驚いた。まさに爆風、暴風。高速道路でウィンドウを開けてしまった時のような、台風時に身の危険を感じるレベルの風量が襲いかかる。数値でいうと2.4m³/分とのこと。計測方法がメーカーごとに違うという現状があるので厳密に数値がどうとは言い難いが、その腰の入った風圧は本物。一般的に大風量と言われるモデルを今まで使ってきた記者だが、確かにこれは強力。ノズルをつけずに風量を味わうともう暴力的でさえある。

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なので髪を乾かすという用途なら、家庭用大風量モデルを使っている人でも倍速で乾く。非力なドライヤーを使っている人ならその効果はもう絶大だろう。洗濯物は風の強い日によく乾くが、髪の毛も同様なのだ。ちなみに内蔵されているモーターは11万回転なのだそうだが、もうほとんど想像がつかないスピード。

 

ただ使っていて、おや? と思ったのは熱さ。通常はドライヤーというのは熱風発生装置であり、火傷しそうな熱さを手のフットワークでかわしながら乾かしていくものという認識があったのだが、風がぬるく感じたのだ。確かに風はすごいのだが、熱は大したことがない。焦がす寸前の熱を与えてすかさず冷風に切り替えて瞬時に冷ましてスタイリングという手法を取っている人だと一瞬どうしていいかわからなくなるかもしれない。

 

ただこれ、ダイソンが髪を傷ませないために温風を毎秒20回ペースで検知して安全な温度に保っているための仕様らしい。78℃以上になるとスッと温度を下げて、髪に優しい温度をキープしているんだとか。なるほど、そう言われれば確かに過度の熱風はダメージになるわけで、良いことなのだろう。ただ熱が上がりすぎない機構は大抵のドライヤーについている機能なので特筆すべき機能ではないが、それを78℃という控えめな温度にしたところが主張か。

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あと地味に便利なのは交換ノズルが二重構造になっていて熱くならないこと。そして使用しながら気軽に取り替えることができるマグネット着脱式なところ。きっとメーカーは推奨しないだろうが、使用しながら電源を切らずにノズルを付け替えるという、普通のドライヤーなら火傷しそうなことも可能なのだ。

 

音はそれほど静かではない。その理由は…

この『Dyson Supersonic ヘアードライヤー』は、サロンでお客と会話するのに静かなのでいいというアピールがあるのだが、これに関してはちょっと疑問。確かに本体の立てる音はヒーッ音とでもいうべき人によっては耳障りながら抑えめではあるけれど低騒音というのはちょっと。

というのは風を当てられる方にとっては本体音の問題だけではないから。風がどうしても耳に入るわけで、その音で実質会話は不可能なことが大半だろう。

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まとめ:機能てんこ盛りがデフォルトの時代にあって”風を生み出す”基本性能に特化したシンプルモデル。もう少し安ければ…!

機能面ではスカルプモードや高風量のためのダブルファン、ナノイー、プラズマクラスターなどいろいろなメリットを訴えるのが昨今のドライヤーの傾向だが、『Dyson Supersonic ヘアードライヤー』はマイナスイオンをそっと搭載している程度。スカルプモードと同程度の温度も使えるが、あえてそれは打ち出していない。

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今回試用してみて、もっと打ち出した方が良いと思ったのはディフューザーが標準装備なところ。妻が最高に引っかかっていたのはここだった。カールを活かしつつ髪に優しく乾かすこの機能は美容室御用達のドライヤーでないと実現しにくいもので、他のドライヤーにはない優位ポイント。

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ともあれこの風量を味わうと、まさにドライヤーというものはそもそも風を作り出す装置なのだなということを改めて感じてしまった。とにかく早く乾く。風圧がものすごいので生半可なカールだとストレートに近い感じに伸びてしまうくらい。

 

正直、この『Dyson Supersonic ヘアードライヤー』の試用を終えて、我が家の大風量モデルドライヤーを使った時の物足りなさは半端なかった。価格はダイソンの半分以下だけれど、ドライヤー自体は量販店に行けば大風量モデルでも数千円で手に入る時代。それなりに奮発したつもりだったが、『Dyson Supersonic ヘアードライヤー』を味わってしまうと、どうにも色褪せる。

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まさにドライヤー界のポルシェともいうべき印象だった。Apple製品は近年低価格路線なので、一昔前のAppleフィーリング。ただスマートにマグネットでノズル着脱、圧倒的な風の威力と熱コントロールでサロン感覚でスタイリングという使い心地は、おしゃれ大好きな人にとってはとてもセレブ的で気分は上がるに違いない。庶民的な感覚ではありえない価格だが。家庭では、家電というより美容にかける予算から捻出すれば有りなのか…。なので生活の中でおしゃれ予算が大きい人なら価値があると言える。

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