梅雨の靴の中はどうなっている? 乾燥剤についてエステーに聞いてみた!

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梅雨の時期、足元のジメジメ感やにおいの不快さは誰もが何とかならなものかと思っていることだろう。
玄関に脱いだ靴から出る玄関臭はこの時期は一層激しさを増す。

ところで先日、ムレない、におわないという高機能靴下の検証記事を書いた。

※参考記事
SUPER SOXって本当にムレないの?におわないの?記者が検証してみた!
https://getnews.jp/archives/1480603 [リンク]

この際に、エステー株式会社の協力を得て検証したのだが、その際にふと疑問がわいた。

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引き続き、エステーの研究施設での話だ。

ところで、靴下は確かにムレてないようだったが、果たして普通の靴下と比較して飛んで行った約10%の水分はどこに消えたのだろうか?
そんな疑問をぶつけてみた。

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対応してくれたのは、エステーの研究グループ高岳留美さんと、除湿事業部の河内ともみさん、それに広報部の平井芙美加さんの3名。(写真は河内さん)

「蒸発してしまったということもできますし、靴の中に残っているともいえます」

--梅雨の時期で外の湿度が高いと蒸発は難しいですね。

「そうですね。靴の中の湿度を計測してみればわかりますよ」

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ということで、計測した結果は92パーセント。間もなく靴の中で結露するような湿度だ。

--これをどう見ればいいのでしょう?

「高機能靴下の中は湿度が低くて履き心地がいいのですが、水分が消えてなくなるということはないので靴の中には残っているということでしょうか。靴を脱いだらよく乾燥させれば翌日も靴下の効果が発揮できるでしょうからいいと思いますよ」

--乾燥剤ですか?

「そうです。当社でも発売していますが、まず乾燥剤と言っても主に3種類あることを知ってください。まず、塩化カルシウムですが、部屋に置く水がたまる除湿剤ありますよね。あれですけど、自重の3-4倍の水分を吸ってくれるので大変優れた乾燥剤です。したがって広い範囲を乾燥させるのに向いていると言えます」

「次に、生石灰ですが、これは自重の30パーセントほどしか吸いません。水分を吸うと化学反応で発熱しますから、これを逆に使ったのがお燗(かん)機能付きのお酒や発熱機能のあるお弁当です」

「最後に皆さんよくご存じのシリカゲルは自重の50パーセントほどの水分を吸うことができます」

--今のお話ですと、最も吸ってくれる塩化カルシウムだけですべてをまかなうことができるようですが?

「ごもっともです。塩化カルシウムは冬の道路にまく凍結防止剤にも使われているように安価で優れた乾燥剤です。水分を吸うと少し熱を持ちますからそれで凍結を防いでいるわけです。しかし、ちょっと厄介な問題があります。部屋で除湿した後に容器にたまる液体がありますよね。あれは塩化カルシウムの水溶液で除湿した水分だけではありません」

--空気中の水分だと思ってました。

「表現は正確ではありませんが、広い意味でいうと塩水のようなものです。塩化カルシウムの水溶液はアルカリ性で決していいものではありませんから、植木に掛けるとかそういうことは絶対にやめていただきたいのです。枯れちゃいます。水道水を流しながらシンクに捨ててください。そのままシンクに流してしまうと、水溶液が配管などにたまります。そうすると腐食が進むので良くないのです。凍結防止剤がまかれた道路を走った後には洗車しないと車のボディがさびるのが早くなるのと同じ理屈です」

--それはよく聞きますね。

「ですので、できれば素手で触るのも避けてほしいです。塩化カルシウムを使った乾燥剤は自重の3-4倍の水分を吸いますから、液体ができてしまうのは仕方がないのですが、それが漏れるとよくない食品などには使いにくいのです。もう一つ注意していただきたいのは、もし押入れの中で塩化カルシウムの水溶液をこぼしてしまうと、その水溶液そのものが空気中の水分を吸って、こぼしたところはいつまでもジメジメしますので適切に処理してください」

--なるほど、適材適所なんですね。

「その通りです!」

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--では、靴用としてはどのようなものがいいのですか?

「そうですね、2種類ありますが、商品名は言ってもいいんですか?」

--公共放送ではありませんので構いませんよ(笑)

「ありがとうございます。当社のドライペットブランドにスピード吸湿くつ用というのがあります。これはシリカゲルを使用していますが、スピード重視型ですので、夜脱いで翌朝履くようなくつには最適かと思います。再生できますしね」

--え、繰り返し使えるんですか?

「はい。みなさん、よくお菓子やノリの缶に入っているシリカゲルを集めて別の用途に使おうとする方がいらっしゃいますが、シリカゲルにはA型とB型の2種類ありまして、食品などに使用されているA型は基本的に再生できないので集めてもあまり意味はないんです。この製品はB型を使用していますので、お知らせサインが見えたら天日干しすればまた使えるようになります。これも用途によって使い分けます。人体に害がないのも食品に使用される理由かもしれませんね」

--害はないんですか?大量に食べたら水分を吸ってくれて痩せますかね?

「そんなことはありませんので、良い子はまねをしないでください(笑)」

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(写真上部はドライペット乾燥キーパーに使用されているA型・下部はドライペットスピード乾燥くつ用に使用されているB型)

--しかし再生できるものでしたら、もう売れなくなるのではありませんか?

「(笑)ご心配ありがとうございます。でも、シリカゲルは小さな穴に水分を吸収する仕組みになっていまして、その際に目に見えないホコリやごみも一緒に吸収します。さすがにごみは天日干ししても蒸発しませんからそのうちに目詰まりを起こして寿命がきます。概ね6か月くらいは繰り返し使えますけどね」

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--もう一つは塩化カルシウムが使用されているようですが?

「こちらは、出てきた液体がゼリー状になるようにゲル化剤を入れて活性炭を配合していますので、脱臭も期待できます。即効性よりも6か月は使えますから長期保存に向く製品です」

--なるほど、よくわかりました。

トップ画像は人工的に作られた玄関の擬似臭で特別に許可を得て撮影したものだが、ふたを開けただけで足のにおいが部屋中に充満してとんでもないことになってしまった。

--そもそもにおいの原因は何ですか?

「主に菌が原因です。菌は一定の温度と湿度があると増殖しますので、脱臭剤でにおいを抑えることはできますが元から絶つためには菌の増殖を抑えることが大切です。手っ取り早いのは乾燥させて菌が生きられなくすることです。靴下も靴もいつも乾燥させておくのが履き心地もいいし、においも抑えられる最善の手段だと思いますよ」

--よくわかりました。ありがとうございました。それにしても強烈なにおいですね(笑)。

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ということで、エステーが湿度計を貸してくれるというので、記者は自分の靴の右側に乾燥剤を入れて、左側は何もいれずに一晩放置して乾燥剤の効果を実証してみた。

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まず、玄関の湿度は79パーセント。

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気温は摂氏25.7度。ここからスタートした。

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翌朝の湿度は78パーセントでほとんど前日の夜と変わらなかった。

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気温は若干上がって摂氏26.6度。
理論上から言うと、何も入れてない靴の湿度は自然乾燥しても外気の78パーセント以下には下がらないはずである。
いずれにしてもこの状態で靴を履くのは嫌だ。しかも雨降りの日ならばなおさらだ。

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左側の靴を計測。82パーセント。
つまり、一晩おいても靴の中の湿度は外気とは同じにならなかったという意味である。
革靴はなかなかしぶとい。

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今度は乾燥剤を入れた右側を計測。
46パーセント!
部屋でエアコンを入れた時に快適と感じた気温と湿度が26.1度、49%だったので、靴の中がエアコンを入れた時と同じ状態かそれ以上の快適さだったという結果だ。

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それぞれに適材適所があることを知って、賢く快適に梅雨を乗り切りたいものだ。

※写真はすべて記者撮影

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(執筆者: 古川 智規) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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