「ちょ、それって霞ヶ関全員ちゃうん?!」公務員宿舎に関するおかしな政府答弁
戦後間もない昭和24年につくられた公務員宿舎に関する法律。この法律に従って現在22万戸という数の公務員宿舎が建てられていますが、それはこの現代でも果たして必要なのか。そんな議論が今、わきおこっています。そんな中、松田公太議員が政府に対しておこなった公務員宿舎に関する質問とその回答が面白かったのでご紹介。
全文は記事に添付しますが、要するに松田議員は
1.民間でも社宅を廃止するところは出てきている。そういう状況下で公務員宿舎が必要な理由は。
2.削減計画の数値だけひとり歩きしているが、削減対象となる具体的な宿舎名は。
3.全国の公務員宿舎の今と、削減されていると言われている5年後を対比できるデータを提示して欲しい。
という3ポイントについて質問しています。
それに対する答弁は「現在削減計画をつくってるから答えられません」「昭和24年にできた法律に従ってやってるだけ」といったもので、具体的な情報はまったくないもの。要するにカラッポな答弁なのですがただ、「どのような人に住んでもらうために公務員宿舎はあるのか」という説明には少々字数をさいています。この部分をよくみると、おかしなことに気づきます。次の一文です。
国家公務員宿舎は、国家公務員宿舎法(昭和二十四年法律第百十七号)の規定に基づき、(略)国会対応、法案作成、予算等の業務に従事する本府省職員、(略)等、真に公務のため宿舎を必要とする職員に対し、提供することとしている。
この「国会対応、法案作成、予算等の業務に従事する本府省職員」って、霞ヶ関で勤務している国家公務員のみなさんは、ほとんどその仕事をやっている人達なわけですから、要するに「おれたち全員」ってことですよね……。つまり、霞ヶ関で国会対応や法案作成、予算等の業務をおこなっている公務員の宿舎はキープ、と言っているわけです。
理由も不明なまま霞ヶ関全員分の宿舎は確保すべきという政府の回答、みなさんはどう感じますか?
■質問
質問第三四号
公務員宿舎に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成二十三年九月三十日
松田公太
参議院議長西岡武夫殿公務員宿舎に関する質問主意書
平成二十三年九月十五日の衆議院本会議において、渡辺喜美衆議院議院の朝霞公務員宿舎に関する質問に対し、野田内閣総理大臣から「概ね五年で宿舎を十五パーセント強、三•七万戸程度を削減するなどの方針を定めました。宿舎を削減し、不要宿舎の跡地を売却することで、復興財源にも貢献出来ると考えている」旨の答弁があった。本件について、以下質問する。
一 民間企業では、近年、社宅を廃止するところが少なくなく、特に、経営状況が悪化した企業は多くの場合、社宅を廃止している。このような状況の下で、公務員宿舎が必要な理由は何か、政府の見解を明らかにされたい。
ニ 三•七万戸程度の宿舎の削減計画について、具体的宿舎名を示されたい。
三 全国の公務員宿舎(約二十二万戸)の所在地、各戸数、部屋の間取り、平米数及び家賃について、現状及び五年後を対比できる形で示されたい。
右質問する。■答え
内閣参質一七八第三四号
平成二十三年十月十一日
内閣総理大臣 野田 佳彦
参議院議長 西岡 武夫 殿
参議院議院松田公太君提出公務員宿舎に関する質問に対し、別紙答弁を送付する。
参議院議院松田公太君提出公務員宿舎に関する質問に対する答弁書
一について
国家公務員宿舎は、国家公務員宿舎法(昭和二十四年法律第百十七号)の規定に基づき、国家公務員等の職務の能率的な遂行を確保し、もって国等の事務及び事業の円滑な運営に資することを目的として設置しているものであり、職務の要請から官署の近接地に居住場所を制限する必要がある職員、各省各庁の定める業務継続計画等に基づき緊急参集する必要がある職員、離島、山間へき地に勤務する職員、新規に採用する職員、国会対応、法案作成、予算等の業務に従事する本府省職員、転居を伴う転勤をする職員等、真に公務のため宿舎を必要とする職員に対し、提供することとしている。
ニ及び三について
お尋ねについては、現在国家公務員宿舎の具体的な削減計画を策定中であること等から、お答えすることは困難である。
[情報提供:東京プレスクラブ 弱腰記者、編集サポート:横山緑、ハニー大木]
トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。
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