思考途中の記事をたたいてネットの最良の部分を潰してしまう人たち

fromdusktildawn

今回はfromdusktildawnさんのチャットコメントからご寄稿いただきました。

思考途中の記事をたたいてネットの最良の部分を潰してしまう人たち

「なぜ1000年に一度の天災を考慮する必要があるのか」2011年10月14日『Life is beautiful』
http://ulog.cc/xa/blogs/satoshi/7545

だれかが思考途中の未熟な考えを記事にして、それを読んだ人が「いやいや、それは違うだろう」とつっこみ、「いやいやいや、そもそも……」とやってる、軽いやりとりは、緻密に組み立てられた難解な本や長文記事よりも、よっぽど多くの人に読まれるし、自分でものごとを考える力を養わせてくれる。
文章中に出てくれば意味が分かるという英単語が、必ずしも英語をしゃべるときに思い出せるとは限らない。
読むときに使える英単語と、しゃべるときに使える英単語は別のものなのだ。
それと同じように、知識にはパッシブな知識と、アクティブな知識があって、パッシブな知識ばかりをいくら大量に摂取しても、それをアクティブな知識にすることができなければ、その知識を実戦で使用し、自分の人生や社会をよりよいものにしていくことはできない。
だから、この知識のアクティブ化プロセスこそが、現在のインターネットの最良の部分の一つだし、そのプロセスがインターネット全体で公開されて行われているからこそ、多くの人がそのプロセスを通じてアクティブな知識を身につけることができている。
どんなに優れたテレビ番組でも、結局、それを見ている人は受動的になってしまう。
これに対し、ネットなら、隙あらば自分も書き込んでみようとして読むので、単にテレビを見ているときよりもずっとアクティブな知識になりやすいのだ。
そして、このネットの最良の学習プロセスを通じて学ぶことのできた世代は、ネットがなかった時代に学生生活を送らざるを得なかった世代よりも、より多くのものごとをより深く適切に学んで、よりよい社会を築いていけるポテンシャルを持っている。
しかし、残念なことに、そういうプロセスを惹起(じゃっき)するような良記事を書く作者をバカにしたり、人格攻撃したりする人たちがいる。
そういう人たちは、他の多くの人々が思考途中の未熟な考えを記事にするのを思いとどまらせてしまう。
実に多くの人が、ネットで理不尽にたたかれるのがイヤだからという理由で、ラフで未熟な思いつきは、記事に書かなくなってしまうのだ。
その結果、ネット上の良い議論は激減し、たたかれないように、議論の核心部分を避けたあたりさわりのない記事や、そもそも、証明も反証もすることにさしたる意味のない毒にも薬にもならない記事や、もはや読者に議論のプロセスに参加してアクティブな知識を得るチャンスを与えないような、最後まで緻密に練り上げられた、パッシブな知識しか得られないような堅い記事だけがネット空間に漂う。

もちろん、私自身もこれに類したことをやってしまうこともあり、まさに「お前が言うな」という話で、自戒を込めて、書いている。

ちなみに、藁人形(わらにんぎょう)論法* だと思われる方もいらっしゃると思うので、具体例を以下に列挙してみます。

*:ストローマン(英語:straw man)は、議論において対抗する者の意見を正しく引用しなかったり、歪められた内容に基づいて反論するという誤った論法、あるいはその歪められた架空の意見そのものを指す。藁人形論法ともいう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ストローマン

本人は悪気はないのかもしれないが、結果として悪い結果を招いてるのではないかと思われるもの:

似非理系。これだからコンピュータ屋はバカだといわれるのだ。 2011/10/15 18:07:46

次に、これ:

コンピュータ屋はコンピュータのことだけ書けばよい。読者もそれを望んでいるはずだ。 2011/10/15 20:52:14

そんなことはない。端的に間違ってる。

次は、もう少しやっかいなもの:

間違い探し 2011/10/15 15:37:37

間違い探しクイズとして確率論の授業とかで教材に使えそうな話 2011/10/15 23:45:34

【まちがい探し】高校数学って重要だったんだなぁ。 2011/10/16 00:40:20

これは酷い。突っ込みどころ何個あるか見つけるゲームのようだ RT @*****: 間違い探し / “Life is beautiful: なぜ1000年に一度の天災を考慮する必要があるのか” http://htn.to/ftndLH
2011/10/15 15:40:10

学校教育の限界か…RT @*****: これはワロタww RT @*****: 間違い探し / “Life is beautiful: なぜ1000年に一度の天災を考慮する必要があるのか” http://htn.to/ftndLH
2011/10/15 16:10:31

いい頭の体操 RT @*****RT @*****: これはワロタww RT @*****: 間違い探し / “Life is beautiful: なぜ1000年に一度の天災を考慮する必要があるのか” http://htn.to/ftndLH
2011/10/15 16:21:27

言っていることが正しいか間違っているか以前に、人として最低限の礼儀を欠いているように思われる。それも、言う意味のあることを100or140文字で分かりやすく伝えるために仕方なく礼儀を欠いてしまったのではなく、はじめから必要もなく相手をバカにしているように見受けられる。
非常に醜悪な人間だと思ってこれらのコメントを見ている人は多いだろうが、言葉に出してはっきり言われると、その言葉を口に出した人間に攻撃されたと思って逆恨みするようなタイプの人間である可能性も高いので、多くの人は黙っていると思う。いわば、ネットのチンピラだ。多くの人は、ゲスなチンピラが道ばたで誰かに絡んでいても、自分自身がチンピラに因縁をつけられるのが面倒なので、黙っているだけだ。

ちなみに、私は、中島さんとはリアルでじっくりお話しさせていただいたことがあるけど、ちゃんと人の話を聞くし、間違った点はちゃんと認めるし、コンピュータに関連しない分野でも、しっかりした議論のできる実にまっとうな人物でしたよ。

執筆: この記事はfromdusktildawnさんのチャットコメントからご寄稿いただきました。

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