カダフィ氏死去のリビアを見れば 来るべき北朝鮮崩壊の「備え」になる

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国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏

 リビアで42年にわたって独裁政権を続け、逃亡を図っていたリビア元最高指導者カダフィ氏が2011年10月20日、出身地の中部シルトで拘束され死亡した。21日に放送されたニコニコ生放送「緊急特番!独裁者カダフィ大佐死亡」では、国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏が出演し、独裁政権崩壊後のリビアや日本への影響など、視聴者から寄せられたさまざまな質問に答えた。番組でロバートソン氏は、北朝鮮を近隣に持つ日本に対して、独裁体制崩壊後に何が起こるのかリビアの今後を見続けながら、難民問題など「リアルな可能性」をしっかり追求すべきだと述べた。

 「今後リビアはどうなるのか」という質問に対して、ロバートソン氏は、「部族が違うし民族構成が複雑。均質な同調社会ではない」と説明しながら、カダフィ氏によって”嫌われ役”として優遇され、カダフィの利益を代弁しているマイノリティの黒人たちに、リビア人の怒りの矛先が向かっていることを指摘。また出稼ぎに来ていたアフリカ人の多くが強制的に、傭兵として民衆に銃を向けたこともあり、人種差別のような形で、報復の暴力が行われてしまう可能性もあるという。そのような混沌とした状況の中で

「これから本当の民主主義の社会というものを、一人の人間による支配しか知らなかった人たちが、皆で決める、話し合う、ディベートをする、投票をする、そしてその投票の結果に従うという近代国家、国民国家、民主国家というものを樹立できるのかどうか」

と話す。リビアの民主化について「なるべく楽観的に見たい」というロバートソン氏だが、実際には冷や冷や見ている人や、「無理だ」と言っている人もおり、

「これからのリビアは、欧米にとって付き合いやすい国になるのか、民主国家と言えど付き合いにくい国になるのか、全く分からない状態」

と、リビアは独裁政権の崩壊には成功したものの、民主国家を樹立出来るかどうかはまだ不透明との見解を示した。

 また「カダフィ独裁政権の崩壊が、日本にどのような影響を及ぼすのか」という質問に対してロバートソン氏は、原油価格の変動を挙げた上で、日本近隣の独裁政権国家である北朝鮮の存在についても触れた。「北朝鮮は長くないと思っている」と語るロバートソン氏は、金王朝が崩壊した後にどのような混乱が訪れるのか、日本に難民が流れてくるのか、彼らが武装して立てこもらないかなど、「リアルな可能性」を追求すべきだとし

「リビアを一日刻みでこれから見ていけば、今後、東アジアで不測の事態が起きた時に、日本がどういう巻き込まれ方をするのか、どう備えれば良いのか、考える素材になると思う」

とコメントした。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]ロバートソン氏の「北朝鮮は長くないと思っている」から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv68073034?po=news&ref=news#1:15:20

(中村真里江、岩本義和)

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