地震の被災者が利用できる住宅ローンや制度にはどんなものがある?

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地震の被災者が利用できる住宅ローンや制度にはどんなものがある?

平成28年熊本地震では多くの住宅が被災し、その再建や補修、二重ローンの発生などが問題になっている。地震の被災者が利用できる住宅ローンや制度にはどんなものがあるのか、まとめてみた。

住宅金融支援機構が低金利の被災者向け住宅ローンを取り扱い

まず被災者向けに「災害復興住宅融資」を扱っているのが住宅金融支援機構だ。金利は全期間固定型で0.47%(2016年5月18日現在)と、フラット35の最低金利1.08%(同)と比べてかなり低い。融資限度額は建設、購入、補修の種別によって分かれる。

超低金利とはいえ、被災者が返済していくのはたいへんだ。そこで建設・購入の場合は3年以内、補修の場合は1年以内の元金据え置きができる。その期間中は利息の返済だけでよいので、例えば1000万円を0.47%で借りた場合は年間の返済が4万7000円で済む。ただし元金を据え置いた分、返済期間は延長されるので注意が必要だ。

この災害復興住宅融資を利用するには、地方公共団体が発行した「り災証明書」を提出する必要がある。受付期間はり災日から2年間だ。同機構では熊本市内の熊本センターに現地相談窓口を設け、面談での相談に対応している。

都市銀行や地元銀行も被災者向けローンを開始

銀行も熊本地震の被災者向けに住宅ローンなどの取り扱いを開始した。都市銀行4行では住宅ローンの店頭金利から1.85%引き下げる。これは一般向け住宅ローンの最優遇金利と同水準だ。みずほ銀行では最長3年の元金据え置きにも対応している。各行ともリフォームローンも扱っているが、金利引き下げ幅は銀行により異なる。いずれも「り災証明書」の提出が必要だ。

また、地元の肥後銀行や熊本銀行も、被災者向け住宅ローンやリフォームローンを扱っている。金利は一般向けと同水準だが、住宅ローンは肥後銀行が1年間、熊本銀行が2年間の元金据え置きが可能だ。両行とも事務手数料を免除するほか、肥後銀行では「り災証明書」の提出も不要としている。

住宅ローンを整理して返済を免除してもらえる制度もある

被災者向けの住宅ローンやリフォームローンを利用すれば、自宅の再建や補修の負担を抑えることができる。とはいえ、すでに住宅ローンを借りている人にとっては二重ローンになってしまうことが最大の問題だ。

そこで住宅ローン利用者向けに注目される制度が、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に基づく債務整理だ。これは東日本大震災で表面化した二重ローン問題を教訓に、自然災害の被災者が住宅ローンなどの債務整理を迅速に行えるようにするために2016年4月からスタートしたもの。さっそく熊本地震の被災者にも適用されることになった。

この制度では、まず住宅ローンなどを借りている金融機関に手続きの開始を申し出て、同意を得られた後に地元弁護士会などを通じて手続きを進めることになる。債務整理ができれば住宅ローンなどの債務が減免され、返済も免除される。

制度のメリットは、財産の一部をローンの返済に充てずに手元に残せることだ。また破産などとは違い個人信用情報に登録されないので、新たにローンを組むこともできる。国の補助があるので、弁護士などの支援は無料だ。詳しくは金融機関や、熊本県弁護士会または大分県弁護士会に問い合わせてみよう。

フラット35には返済据え置きや延長の制度も

このほか、フラット35を返済中の被災者向けには、被災の程度に応じて1~3年の元利金の返済据え置きや、据え置き期間中の金利引き下げ(最大0.5%減)、返済期間の延長(最長3年)を受けられる制度もある。適用を受けるには収入などの条件があるので、詳しくはフラット35を返済中の金融機関に問い合わせてほしい。●参考

災害復興住宅融資(住宅金融支援機構)

被災された方への返済方法変更について(住宅金融支援機構)

・自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン(全国銀行協会)

・平成28年熊本地震に関する最新情報について(みずほ銀行)

・平成28年熊本地震に関する当行の対応について(三菱東京UFJ銀行)

・平成28年熊本地震について(りそなグループ)

・平成28年熊本地震に関する弊行の対応について(三井住友銀行)

・平成28年熊本地震により被災された皆さまへのローンに関するお取扱いについて(肥後銀行)

・平成28年熊本地震に係わる災害被災者のみなさまへ(熊本銀行)

・熊本地震 住宅支援まとめ(一時入所・一時入居)(SUUMOジャーナル)

・【熊本地震 被災された皆様へ】住宅再建のための「手続きとお金」(SUUMO)
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