“漢字パズル+ドキュメンタリー”?変わり果てた漢字を復元する不思議なゲーム『浜辺にうちあげられた漢字』
画面には浜辺の実景。波音をバックに、知的で穏やかな女性ナレーションが流れています。砂浜に打ち上げられたのはコンブでしょうか……えっ? 漢字!? 浜辺に打ち上げられ、変わり果てた姿になった漢字を、元の姿に復元するゲームが『浜辺にうちあげられた漢字』です。
任天堂が2005年に発売したニンテンドーDS用ゲーム『東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング』がブームを巻き起こしたことから、“脳トレ系”としてにわかに注目された知育・教育分野のゲーム。こちらも漢字をテーマにした“脳トレ系”パズルですが、「浜辺にうちあげられた」とは、どういうことでしょうか?ナレーションの解説を聞いてみましょう。
「長野県、襟浜(えりはま)。毎年、寒さの残るこの季節になると、多くの漢字が浜辺に打ち上げられます。漁師を夫に持つ絹江さんは、ほぼ毎日、朝と夕方の2回、この浜にやってきて、漢字を集めています。沖から大量に流されてくる漢字が、沿岸に生息する魚介類に深刻な問題を与えるためです――」。教養番組のように淡々と流れるナレーションは、聞く者をさらに混乱に陥れます。漢字に使われるインクが問題の成分であること、パソコンや携帯電話の普及により、漢字を書く機会が少なくなったため、使われなくなった漢字が川から海へ流れてくるようになったこと、絹江さんは海水で軟らかくなった漢字の形を直し、乾燥させて復元していること――。お気づきのようにこのゲームは、ドキュメンタリーの形式をとった壮大なフィクションとして提示されているのです。そもそも、長野に海なんかないのですから。よく見たら、タイトル画面に「フィクション 2009」という文字がチラリ。まるでノンフィクション番組のオープニングのようです。
こちらは、名作『モアイまわし』を生み出したクリエーター、タカヒロウの作品。なるほど、シュールな設定はお手の物です。ゲーム内容は、絹江さんを手伝って(?)、漢字を元の形に復元していくもの。漢字に◎で描かれた部分をドラッグして、全体の形を変えていきましょう。漢字はグニャグニャなのですが、関節を持った生物のようにふるまいます。“止め”や“払い”に注意して形を整えていくと、元の漢字の姿が見えてくるところは、教育ゲームとしてもなかなかの完成度。家族そろってゲラゲラ笑いながら楽しめる良作といえるでしょう(この記事の配信元はこちら)。
関連リンク
浜辺にうちあげられた漢字(『モゲラ』にて公開中)
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宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
ウェブサイト: http://mogera.jp/
TwitterID: shnskm
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