「Re:」はどうする?ビジネスメールで気をつけたい「件名」の付け方
ビジネスシーンでは、ちょっとした気配りが「この人はデキる人だな」「安心して任せられそうだ」といった好印象につながるもの。逆に、配慮が足りないことで、「気が利かない人だな」と相手をイラつかせてしまうこともあります。
その両方が起こり得るのが、ビジネスメール。読み手に配慮した書き方がなされているかどうかは、送信者に対する印象を大きく左右します。
「メールの本文には問題なくても、『件名』に問題があるケースが多い」と語るのは、日本ビジネスメール協会の代表理事を務める平野友朗氏。ビジネスメールやコミュニケーションに関するコンサルティング・教育を手がける平野氏に、メールの「件名」の付け方に関する注意点、心得をお聞きしました。
「お世話になっております」「ありがとうございました」のみはNG
「ご報告」
「お世話になっております」
「ありがとうございました」
上記は、ビジネスメールに付けられている件名としてよく見かけるものです。
これらは相手に不快感を与えることはないのですが、マイナスポイントが2つ。
<マイナス-1>用件が伝わらない
上記の件名だけでは、相手は何の件での報告・お礼なのか、本文を読まなければわかりません。場合によっては「重要ではない」と思われ、開封されないまま後回しにされることもあります。
<マイナス-2>迷惑メールと間違われるおそれがある
これらの件名は、スパムメールにもよく使われているもの。迷惑メールだと見なされて削除されてしまう可能性もあります。
「○○社の△△です」のみはNG
「株式会社○○の鈴木です」
「株式会社○○の佐藤と申します」
「お世話になっております。○○社の山田です」
これらも時々見かける件名です。メーラーの設定にもよりますが、相手の受信画面に送信者名も表示される場合は、送信者名と件名が重複することになります。
メールボックスの受信表示は限られたもの。短いワードの中でいかに具体的内容を伝えるかを意識してください。
なお、初めてメールを送る相手に対し、自己紹介や挨拶の意味を込めてこうした件名にする人も多いと思います。その場合は、下記のような件名にしましょう。
<例>
ご挨拶および弊社サービスのご紹介(株式会社○○ 鈴木太郎)
講演のご依頼(鈴木太郎/株式会社○○)
「デキる」と思われるメールには、3つの項目が入っている
一目で内容がわかる件名は、相手が重要度・緊急度を判断しやすいだけでなく、後で読み返す際に検索がしやすくなります。つまり、相手の負担が軽くなり、効率化を助けることになりますので、送信者に好印象を持つでしょう。パッと見で内容を伝えるためには、下記3つの項目を押さえてください。
1)「何の」用件か
「○○プロジェクト」「××会議」など、案件や商品名といった固有のキーワードを入れましょう。なお、一つの案件について何度もメールを送る場合は、案件名を毎回同じワードにしておくと、相手がメールの整理・検索をしやすくなります。
2)「いつの」用件か
「4月25日」「第1回」「No.2 」など、期日・回数・号数などの数字も加えると、いつの用件を指しているのかがわかりやすくなります。特に日付が記されていると、相手が返信のタイミングを判断できます。返信の締め切りも守ってもらいやすくなるでしょう。
3)「どうしたいのか」「どうしてほしいのか」
「~のお願い」「~のご報告」「~のご確認」といったように、メールを送信した「意図」「目的」を件名でも伝えます。送信相手に対して、的確ですばやいレスポンスを求めるのであれば、相手が「心の準備」をしてからメールを読めるように工夫することが大切なのです。
上記1~3をふまえた件名の付け方の例は次のとおり
<例>
●第3回 営業ミーティングのお知らせ
●プレゼン資料ご確認のお願い(5/10東京本社)
●「△△プロジェクト」進捗状況のご報告(No.2)
●「××セミナー」ご出席ありがとうございました
●新製品発売キャンペーン(5/1~5/10)のご案内
「Re:」での返信は適切なタイミングで止める
相手からのメールの件名に対して、「Re:」を付けてそのまま返すのは失礼かな?…と迷う人もいるようです。結論からいえば、これは「OK」。何の用件に対する返信なのかがわかりやすいため、むしろ「Re:」で返す方が望ましいといえます。
ただし、メールのやりとりが続き、用件がA→B→Cと移り変わっていっても、Aの用件メールのタイトルへの「Re:」で返信する人も少なくないようです。これはNGです。
内容が変わったなら、「Re:」をやめ、内容に合った件名に書き換えましょう。そうしないと、後からやりとりの履歴を検索する際、送信相手も自分も混乱することになります。
件名に【 】を付けてもOK。ただし、注意も必要
「【ご相談】○○○のスケジュールにつきまして」
「【確認依頼】△△プレゼン資料です」
上記のように、用件に【 】を付けて伝えるのはOK。ただし、【要返信】【至急】といった使い方はお勧めできません。相手をせかすようで、心理的な圧迫を与えることになります。また、きちんと返信をしようとしている人に対して「要返信」と書くことによって、「そんなのわかっている!」「失礼だ」と感じさせることもあります。メールには重要度を知らせる機能がありますが、それと同様に使わない方が無難です。
また、【 】を使うのであれば、ルールを統一したほうがいいでしょう。同じ「相談」のメールでも、あるときは【ご相談】と書き、あるときは件名に書いていないとなると、相手に違和感を与えてしまいます。
件名に過度の「敬語」はNG
「○○のご報告」といったように、体言止め表記で用件を簡潔に記した件名は、相手が目上の人だと「失礼に当たるのではないだろうか」と思う人もいるようです。そこで、「○○についてご報告させていただきます」といったように、件名を敬語にするケースも多く見られます。
しかし、件名はあくまでも、内容を端的に知らせるためのもの。過度な敬語を使うことで文章が長くなるのは避けましょう。「ご報告致します」「ご依頼させていただきます」などではくどく感じられるので、「ご報告」「ご依頼」などとするほうが伝わりやすいでしょう。
件名をよりわかりやすくするための一工夫
●件名が長くなる場合は、「重要なキーワード」を前に入れる
メールソフトや相手が見ている画面によって、件名に表示できる文字数には制限があります。件名が長くなる場合は、より重要なキーワードを冒頭や前半部分に配置しましょう。
●送信者名がローマ字表記であれば、件名に社名・氏名を入れる
「海外とのやりとりがある」「会社の統一ルールとされている」などの理由で、メールの送信者名をローマ字表記にしている人も多数いらっしゃいます。その場合、最初のメールの件名に会社名・氏名を入れておくといいでしょう。受信画面を見ただけで、誰からメールが届いているのかが一目でわかるようにしていきたいものです。
<例>
新商品「○○○」のご提案(株式会社××・△△)
さしたる理由もなく、あるいは「何となくおしゃれ」といった理由で、送信者の表示名をローマ字にしている場合は、日本語表記に設定してはいかがでしょうか。やはり「パッと見てわかりやすい」が一番です。
――以上、相手にわかりやすい件名を付けるということは、自分が送信した履歴を後で探す際にも便利です。業務を効率化するという意味でも、メールの件名に配慮してみてください。
平野友朗氏/株式会社アイ・コミュニケーション代表取締役、一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事
1974年生まれ。筑波大学人間学類で認知心理学専攻。広告代理店勤務を経て、2003年、日本で唯一のメルマガ専門コンサルタントとして独立。2004年、アイ・コミュニケーション設立。ビジネスメール教育の専門家。得意とする分野は、メールコミュニケーション効率化や時間短縮などの業務改善、ウェブマーケティングの戦略立案やメルマガ・ウェブサイトの改善、メディア戦略を含めたブランド構築や出版プロデュースなど多岐に渡る。著書に『カリスマ講師に学ぶ!実践ビジネスメール教室』『ビジネスメールの常識・非常識』ほか。
一般社団法人日本ビジネスメール協会 http://businessmail.or.jp/
(株)アイ・コミュニケーション http://www.sc-p.jp/
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