SNSは幸せくらべの場 漫画家・柴門ふみが考える「嫉妬の正体」
「私は子どものとき、なぜ『バカボンのママ』が美人なのかが不思議でした」
こう語るのは「東京ラブストーリー」や「あすなろ白書」などを生み出した人気漫画化の柴門ふみさん。彼女は今までの人生で数々の嫉妬を経験し、そのことを考えるときは決まって”バカボンのママ”のことを思い浮かべていたそうです。
どうしてあれほど美人で聡明で優しく、非の打ち所のない女性なのにバカボンのママは嫉妬されないのだろう? 本書『バカボンのママはなぜ美人なのか』は、そんな疑問から始まります。
本書第2章「女は一生幸せくらべ」では著者自身の体験も交え、さまざまな要因から発生する嫉妬の数々を紹介。”容姿””育ち””学歴””持ち物”などなど、そして最後は”家族”に対する女の嫉妬を取り上げています。
嫉妬はあらゆる場面で生まれるもの。最近では、SNSなどが嫉妬を生み出す”震源地”となっているようです。
柴門さんも本書でこう言います。
「最近、ブログやSNSの広がりによって、新しい幸せ自慢の形が出来たと思います。家族に関する話題や写真をアップして、素敵な旦那さん、可愛い子ども、素敵な家、といったものをアピールする」(本書より)
昨今、しばしば問題となっているSNS疲れ。知人や友人がFacebookやTwitterなどで、リア充な生活を披露しているのを目にし、自分の平凡な生活と比べてしまいストレス状態に陥ることを指します。
このSNSを通じての”幸せくらべ”について、柴門さんは本書でこう解説しています。
「嫉妬と言うのは、つまるところ自分と誰かを比べて、自分の方が劣っていると自覚したときに湧き上がってくる感情です。自分と同等、もしくは以下と思っていた人間が自分を差し置いて幸せになってしまったりしたときに、うまいことやりやがって…という気持ちがフツフツと湧き上がってくる」
幸せくらべの根底には、それぞれが不安を抱えていると指摘する柴門さん。他人の幸せを気にしたり、他人から自分の幸せがどう映っているのかも気になる。SNSでことさらに幸せぶりを強調するのは、不安の裏返しだというのです。
本書では嫉妬との向き合い方や解消法も多数紹介されています。そして最後には、この本のタイトルともなった「バカボンのママはなぜ美人なのに嫉妬されないのか?」の秘密を著者独自の見解から解明。「美人のママにいけてないパパ」。一見不条理なこの組み合わせにこそ”嫉妬を克服するヒント”が隠されていたと柴門さんは分析します。嫉妬を克服するというバカボンのママの秘密とはなんなのか。知りたい方はご一読ください。
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