ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう
  • クロエ・モレッツ最新作は話題のベストセラー小説 映画『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』の予告編&ポスターが解禁
  • ブラピ来日に400人以上のファンが殺到! 映画『フューリー』で共演のローガン・ラーマンと共に羽田空港に到着
  • アダム・ドライヴァー、映画『Paterson(原題)』のファースト・トレーラーで詩人に
  • 売り切れ必至! ジミヘン伝記映画の超激レア“フリーパス”鑑賞券が30枚限定で発売へ
  • ウィル・スミス、『スーサイド・スクワッド』がハリウッドのダイバーシティ問題をいかに修正するか語る
  • ハサミ一つで世界のファッションを変えた男 映画『ヴィダル・サスーン』が5月に公開
  • 映画『猿の惑星』シリーズ最新作、ファースト・トレーラーで「戦争は始まってしまった」
  • 楽屋の外にはネオナチ 目の前には死体―― パンクバンドが命がけの大脱出『グリーン・ルーム』予告編
  • 映画が絶賛公開中の「聲の形」(こえのかたち) 「蟹(カニ)の形」でググる人多数!?
  • あさって8/28公開!『テッド2』ざっくり直前レビュー
  • 「面白い映画はきちんとスクリーンにかけるべき」 いとうせいこう氏に『したまちコメディ映画祭』今年の注目作を聞いてみた
  • ドキュメンタリーの新境地に動物行動学者も驚がく! 映画『シーズンズ』撮影の裏側がたくまし過ぎる
  • 模倣作品じゃないよ! 正統シリーズ最新作『パラノーマル・アクティビティ5』が日本公開 しかも1000円[ホラー通信]
  • インド映画ブームに新たな流れ! 本格的サスペンス『女神は二度微笑む』アーミル・カーンも絶賛
  • 原作者も大絶賛のクオリティ 能年玲奈が見事なオタク姿に!『海月姫』ビジュアル公開
  • 爆ヒット中のインド映画『ダンガル』の魅力がもっと分かる! アマレス兄弟のレスリング講座

体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

「〇〇があれば、細かいルールを気にしない勇気があっていい」女流落語家・立川こはる

f:id:kensukesuzuki:20160418123350j:plain

女性には向かない仕事――。「落語家」は、長らくそう言われていた職業の一つである。女流落語家がまだほとんどいなかった時代に、落語界の門を叩き、立川談春の一番弟子となった立川こはる。彼女が門を叩いたのは「女性は落語に向かない」と公言していた立川談志を家元とする立川流だった。なぜ、あえて厳しい道を選んだのか。女流落語家の生きざま、ロングインタビュー。

トビムシの研究をやめて落語の道へ

――落語に興味を持ちだしたのはいつからですか?

ありきたりなんですが、大学入学時の落語研究会への勧誘です。落語にはまったく興味はなかったんですが、「ラーメン食べない?」と声をかけてきた先輩たちの人柄や雰囲気にひかれてしまって。キャンパス内にゴザを敷いて、着物を着ている怪しい集団でしたが(笑)。

1年目は、寄席に行っても正直それほど面白いと思えず、落語にあまり興味を持たないまま、塾講師のアルバイトにばかり精を出していました。それが、2年生のときに落語研究会に同学年のメンバーがいなくなってしまい、「部の存続にかかわるので辞めないでくれ」と先輩にお願いされまして。落語をちゃんと聞くようになったのは、それからなんですよ。

特にハマりだしたのは、都内の上野鈴本演芸場で開催している早朝寄席を見てからです。毎週日曜に、二つ目が4人も出演するのに、木戸銭(入場料)は、500円なんですよ。当時の早朝寄席には、今は真打としてばんばん活躍している柳家三三師匠や、入船亭扇辰師匠、三遊亭歌奴師匠、桃月庵白酒師匠などが出演されていて、ライブならではの面白さに、どっぷりハマっていきました。

やっぱり、ライブだと落語の面白さが全然違うんです。同じ演目なのに、演じる噺家によってセリフや雰囲気が全然変わる。同じ噺家でも、当日の客席の雰囲気に応じて、演じ方を変えてきたりもするんですよ。

例えば客席に子どもがいると、大人向けの話に入ったときには、「ああ、子どもがいたよ。坊や、この言葉の意味は調べない方がいいよ」なんて言うと、周りがどっと笑う。演劇みたいにできあがった作品を鑑賞するのではなく、ジャズみたいな即興に近い双方向のコミュニケーションが面白くて、どんどんハマっていきました。

f:id:kensukesuzuki:20160418120925j:plain

――週に何回ぐらい通っていたのですか?

好きな噺家が10日間寄席に出ると聞けば、10日間連続で見に行っていました。もともとオタク気質なところもあって、ハマるととことんハマるんですよ。大学では、農学部でトゲトビムシの細胞培養にチャレンジしていたんですが、好きな噺家さんが寄席に出るときは、午後の実験をぴゃーっと抜け出していました。

研究室でも、当初はミスチルとか聞いていたのが、いつの間にか落語や浪曲のCDを聞いていましたね。3年生では、かなりの落語マニアになっていましたね。

私の師匠である立川談春の落語を初めて聞いたのもこの頃です。談春師匠の落語を聞いて、初めて「落語家になりたい」とも思いました。「らくだ」「富久(とみきゅう)」「文七元結(ぶんしちもっとい)」といった、いわゆる大ネタを目の前で演じている迫力が、もう、本当にものすごかったんですよ。

それまで、落語は気軽にゲラゲラ笑いながら見るものだったんです。それが、談春師匠の落語では、息もできないぐらい気迫に押されてしまって、会場から表に出たときに、ようやくため息ができる感じなんです。

「なんなんだ、これは…!?」という衝撃でしたね。

――そのときから、落語家を本気で目指した?

いや、最初はやはり躊躇していました。今でこそ、女流の落語家も30人ぐらいいますが、当時はまだほとんどいない時代でしたから。寄席は途中の出入りは自由なんですが、女性の噺家の出番になると、お客さんはたばこ休憩に行ってしまったりする。そういうのも見ていたので、「女性はやっぱり厳しいんだ」と、どこかで諦めていました。

就職活動の時期には、はじめ塾講師になろうと考えていたんですよ。学生時代は、ずっと塾講師のアルバイトをしていて、落語で学んだ「しゃべる」技術が生かせると思って。ただ、頭の片隅では、ずっともやもやしたままで、いざ内々定の電話をもらったときに、「このまま人生が決まってしまうのか」と躊躇して、その場で内々定を断りました。

どうしようか悩みましたが、トゲトビムシの研究も面白かったので、モラトリアム期間のように、そのまま大学院に進学しました。朝一番に高尾の森林総合研究所にトゲトビムシを集めに行って、午後少し昼寝をして、研究したり、落語を見に行ったり、塾講師に行ったりという日々を過ごしていました。

そんな中で、やはりどうしても落語家への道があきらめきれず、2年生に進学するのを機に、大学院を中退しました。落語家は、見習いと前座時代はほとんど収入がない状態になるので、大学院の授業料を払うぐらいなら、手元に生活資金として残しておきたかったんです。

「弟子にやさしい一門はどこか」「修業がしやすい一門はどこか」といった話も耳には入っていましたが、落語家になるなら師匠は立川談春以外には考えていませんでした。「落語家になりたい」というよりも、談春師匠の落語を学びたかったんです。談春師匠に弟子入りできなければ、落語家を諦める覚悟で大学院退学と同時に弟子入りを志願しました。

修業時代は「どうすれば相手が喜ぶか」を徹底的に学んだ

f:id:kensukesuzuki:20160418120959j:plain

――弟子入り志願は、スムーズに受け入れてもらえたのですか?

1 2 3次のページ
リクナビNEXTジャーナルの記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。