「電力消費地でも原発の是非を問うべき」 都市部での住民投票めざし12月から署名活動

「みんなで決めよう『原発』国民投票」公式サイト

 イタリアでは2011年6月、国民投票が実施され、原発建設再開の無期限凍結を決めた。このニュースに触発され、日本でも原発稼動の是非をめぐる国民投票の実施を求める動きが活発化しつつある。市民グループ「みんなで決めよう『原発』国民投票」はその第一歩として、電力の大消費地で電力会社の大株主でもある東京都や大阪市を含む都市部での住民投票実施を目指す。

 「みんなで決めよう『原発』国民投票」は、原発の将来について国民が直接的な決定権を持つ国民投票を実現することで決定しようという団体だ。賛同人には、ジャーナリスト・今井一氏、社会学者・宮台真司氏、俳優・山本太郎氏など著名人が名を連ねている。同団体は12月1日から東京都と大阪市、静岡県で署名集めを開始する。この署名によって、原発稼動・廃止の是非をめぐる住民投票の実施を求め直接請求を行う予定だ。

 今井氏は「電力の消費地では、原発の存在をあまりに認識してこなかった」と話し、これまで原発をめぐる住民投票が行われてきたのが建設予定地など人口数万程度の町や村に限られていたことに疑問を投げかける。

 その一方で、

「たとえば大阪市は関西電力の大株主でありながら、これまで何も言ってこなかった。つまり、株主としての権利を行使しない代わりに(福井県にある関電の原発に対する)責任から逃れていた」

と指摘。自身も50年以上大阪市民であるといい、

「私たちは市民であり主権者であり、電力のユーザー。自分たちで決定し、責任を負わなければならない」

と、原発の是非に関する住民投票の重要性を語った。

 住民投票制度を制定する直接請求を行うには、東京都の場合約21万、静岡県では約6万の署名をそれぞれ2ヶ月以内に、大阪市の場合は約4万の署名を1ヶ月以内に集める必要がある。実現の見通しについて今井氏は「開始から数週間、クリスマスくらいまでには請求に必要な数を集めたい」という。

◇関連サイト
・「みんなで決めよう『原発』国民投票」公式サイト
http://kokumintohyo.com/

(中村真里江、土井大輔)

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