野田首相、ヘリで視察にやってくる?「朝霞国家公務員宿舎問題」

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「公務員宿舎問題」

10月3日(月)に予定されている埼玉県朝霞市の国家公務員宿舎の現地視察に野田首相が「ヘリコプターでやってくる」という未確認情報があります。まさか上空を回ってそのまま帰るということはないでしょうが……。まだ公式な情報はないため、どのような形で視察がおこなわれるのか不明ですが、少なくとも地元でこの問題に取り組んでおられる「朝霞基地跡地利用市民連絡会」にはいまだ首相との対話が可能かどうかの連絡は来ていないそうです。

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役人の話をきくだけなら視察の意味はない

もし朝霞までヘリでやってきてピンポイントで建設予定地に降り立ち、財務省をはじめとする役人や建設作業をおこなっている大林組の説明だけきいて帰るというのであれば、「視察をした」というには不十分でしょう。当然ながら地元で長年この問題に取り組んでいるみなさんの声にも十分な時間をとって耳を傾けることをしなければいけないと思います。建設推進の意見だけをきき「視察した」というのであればまさに噴飯ものの「演出された視察」に過ぎないといえます。

地元でこの米軍跡地の活用問題に長年取り組んでこられた方々はこれまで何回も裏切りにあってきています。当初「公募市民100人」の意見をまとめて「市民の意見を反映して跡地利用に取り組む」という呼びかけと共にはじまった跡地利用のモデルケースづくり。しかし市民有志がつくった最終報告書は、割り込むような形で財務省がつくった公務員宿舎を中心とした「利用計画書」が突如浮上したことにより、完全に無視された形となりました。その後署名運動等に発展しますが、結局のところ市長は財務省案に沿う形で進めるということを決めたそうです。

しかし状況が大きく変化したのは2009年11月の事業仕分けです。現経産大臣の枝野氏が仕分け人をつとめた公務員宿舎の仕分けでは、結局朝霞をはじめとする公務員宿舎は凍結となりました。このとき、「朝霞基地跡地利用市民連絡会」の方たちはこれで建設は中止となったと思ったそうです。ですが2010年12月、当時財務大臣だった野田氏(現総理大臣)の承認により、朝霞での建設が再開されることになります。そして2011年9月1日に建設が本格的に再開され、現在に至ります。

「公務員宿舎問題」

野田首相は自らの判断で再開させたこの公務員宿舎建設に関して、現地視察をおこない、判断をおこなうと述べました。もちろん、こう述べた時点で中止は内部的には決定していると見るべきなのでしょうが、現地視察で役人と建設会社の話をきくだけではまったく不十分です。少なくとも視察の体裁をとるのであれば、長年この問題に取り組んで来られた方々の話をきくべきではないでしょうか。もし、それがおこなわれないとすれば、それはとても「視察」とは呼べないと思います。

10月3日朝、朝霞デモ

米軍跡地をどうするかという問題に取り組んできた「朝霞基地跡地利用市民連絡会」の皆さんは10月3日(月)朝9時から建設予定地の西側第2ゲート(青葉台テニスコート側)に集まり、野田首相による視察の出迎えをするそうです。ヘリで飛んでくるという噂もある野田首相ですが、果たして彼らの声は首相に届くのでしょうか。移動手段はなんでもいいのですが、地元の人達の頭上を飛び越えて来て帰るだけ、というのはやめて欲しいなと感じます。

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深水英一郎(ふかみん)

深水英一郎(ふかみん)

トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。

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