経産省を辞職した”改革派”古賀氏「やりたいことをやり抜こうと思ったら必ずぶつかる」 番組全文(前編)
1年9ヶ月ものあいだ、経済産業省で実質的な仕事を与えられない「大臣官房付」の職から異動させられなかった「改革派官僚」の古賀茂明氏が2011年9月26日、辞職した。古賀氏は自身の著書『日本中枢の崩壊』で民主党政権や、霞が関(=行政、官僚)のあり方を批判するなど、改革に積極的であったことから経産省に煙たがられ、閑職に追いやられていたのではとの見方もあった。
28日のニコニコ生放送「衝撃告白!古賀茂明、経産省を辞職へ~一体なぜ辞めることにしたのか?」では、そんな古賀氏をゲストに招き、東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏が話を聞いた。古賀氏の「皆は役所のルールがあるからできないよ、という世界にいるが、僕はできないよと思うことをやるのが面白い」という信条には、官僚のみならずサラリーマンも考えさせられるものがあるのでは、と長谷川氏はいう。
以下、番組を全文書き起こして紹介する。
・[ニコニコ生放送] 全文書き起こし部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv64777432?po=news&ref=news#0:00:05
■やりたいことをやり抜こうと思ったら「どこかで必ずぶつかる」
長谷川幸洋(以下、長谷川): どうも皆さん、こんばんは。長谷川幸洋です。今日は、古賀茂明さん。この(ニコニコ生放送の)番組を観ていらっしゃる方には、よくご存知の方だと思いますけれども、経済産業省の改革派の官僚として長く活躍されてきたわけですけども、ここ1年9ヶ月というもの、ずっと事実上、干されてきたかたちで仕事がなかったと。古賀(茂明)さんご本人は、この改革に携わる仕事をずっとやりたいということを訴えてきたわけですけど、経済産業省からは、そういう機会を与えていただけず、今週の月曜日(2011年9月26日)だったと思いますけども、ついに経済産業省を退職を余儀なくされてしまったと。そういう官僚の方です。
古賀さんについては、改めて紹介するまでもないと思いますけれど『日本中枢の崩壊』という本をお書きになってベストセラーになったと。本来であれば、この「日本の改革」ということを標榜してきた民主党政権で、是非ご活躍をされたら良かったなと私自身もそういう風に思うんですけど、残念ながらそういう機会に恵まれず退職されたということです。今日は、その古賀さんをこのスタジオにお招きしまして、この退職に至った経緯は元より、これから日本の霞が関、あるいは永田町、そして私たちメディアも含めて、「一体どうしていったらいいのか」ということについて、1時間半くらい時間をいただいておりますので、いろんな話を余すところなくおうかがいしていきたいと思っております。古賀さんは、今朝もそうですけども、これまでも地上波(のTV番組)でいろいろご発言されてきておりますので、この番組をご覧の方はよくご承知のことも多いかもしれませんけども、私も実は古賀さんとは付き合いが長いものですから、ここは一区切りということで、改めて古賀さんの思い、それからこれまで触れられなかった経緯も含めて、これは「大総括」と、「全面的な総括」という意味で今日の一区切りを迎えたということで、お聞きしていきたいと思います。前振りはこのくらいにしまして、さっそくご本人に登場していただきます。古賀茂明さんです。どうぞ。
会場: (古賀茂明氏が登場)。
長谷川: どうも古賀さん、お忙しいところありがとうございます。
古賀茂明(以下、古賀): こんにちは。”こんばんは”か。
長谷川: ”こんばんは”ですね。いまお話したように、改めて古賀さんのその長い官僚人生が一区切りついたということなんですけども、これまでいろんな意味で、いわば頭の上に薄曇りがかかったような状態だったのではないかと私は想像するんですけど。今日は、もうはっきりお辞めになられたわけですから、是非ここは徐々にかもしれないけども、頭の上に被さっていた薄曇りを剥いで、思う存分、本当のところをいろいろお聞かせ願えればと思いますけど。まず、辞めてまだ数日しか経っておりませんけど、どうですか? ご気分はと言ったらおかしいけど。
古賀: そうですね。「スッキリした」という感じが1つはありますね。
長谷川: やっぱりそうでしょうね。
古賀: よく辞める時も辞めた直後も「辞めて何を考えていらっしゃいますか」と言われるんですけど、結構返事に困りまして。・・・というのは辞める時も辞めた直後もそんなに何か大きな感慨というか、そういうのが思った以上に沸いて来なくて、自然に時間が流れているという。ただバタバタ忙しいというのはあるんですけど。
長谷川: なるほど。
古賀: それはやっぱり、いつかこういうかたちというか「好きなことをやろう」と。好きなことと言ったらおかしいんですけど「やりたいことをちゃんとやり抜こう」と思ったら、どこかで必ずぶつかって、筋を通したら途中で辞めなくてはいけないということがあるだろうということを、かなり前から思っていたんです。ここ数ヶ月は、むしろいつ辞めるかという感じの連続だったので、そういう意味では辞めるということ自体については日常化していたからかなと思いますよね。
長谷川: ああ、なるほど。僕、是非お聞きしたいと思ったのは、古賀さんの前にも改革マインドを持っていたけども、霞が関の中で「なかなか実現出来なくて辞めた」という官僚が何人かいたわけです。
古賀: そうですね。
長谷川: 私も良く存じ上げているんだけど、彼らが言っていたのは、「やっぱり辞める前と後では、全然頭の回転の仕方が違うよ」ということ。例えば、この番組をご存知の方は、ご覧の方は皆知っていると思うけど、(元財務官僚で経済学者の)高橋洋一さんね。彼なんかも、つくづくある時に言っていたけど、「長谷川さん、辞める前と後では頭の脳みその回転が100倍くらい違う」と。僕なんかからすると、彼なんか頭の回転、元々凄く速いから、役人の時だって相当働いていたと思うんだけど、ところが「辞めたらもう本当に自由自在に頭が動くという感じがあるよ」と、つくづく私に言っていましたけど。どうですか。そういう感じありません?
古賀: いや、あんまりない。正直言って(笑)。
長谷川: ない(笑)
古賀: いや、よく分からない。どうなんだろう。高橋洋一さんは本当に頭いいから自分の頭の回転も見えるのかもしれないです。僕は自分の頭の回転あまりよく見えないという感じがするのと・・・。でも辞める前からあまり官僚だからとか(官僚では)ないからとかって、そういうことは考えないで・・・。
長谷川: ということは逆に言うと、いずれもう自分は辞めるんだと。そのことさえ腹が決まっていれば・・・つまり、霞が関にごますって志を変えて残るということをちょっと思っていたら違うと思うけど、そうではなくて、僕は「いずれこれはきっぱり辞めるんです」ということの腹が決まっていたので、頭の回転としては、割り切り方としては、今でも例えば1ヶ月前でもそう変わらないという、そういう事ですか。
古賀: そうですね。でも、まだ辞めたばっかりだから、もうちょっと経ってみると少し自由になったという感じが出てくるのかもしれないんですけど。
長谷川: なるほど。僕おそらくたぶん出てくると思いますよ。これからは本当に事務次官やら官房長やらそういうことを考えなくても、もういいんだろうなという。
古賀: そうですね。でもやっぱり政策やっているとあんまり関係ないですけどね。
長谷川: 関係ない。なるほど。
古賀: (そういう)ような気がしますけど。今までも、そういう意味では大臣や次官と違うことでも、なるべく正直に言おうと思っていたし、仙谷(由人)さんに恫喝された時も、どこまで言っていいのかというのが普通だったら考えるのかなと思ったんだけど、終わってみたら「なんかそのまま言っちゃったな」みたいな感じでしたね。
■「どういう段階を経て”虎の尾を踏む”かを考えた」
長谷川: 僕、今の話を聞いて「はっ!」と思ったんですけど、ということは、何か古賀さんが自分の政策のアイディア、あるいは路線を言う時に、「これを言ったら相手の虎の尾を踏むかもしれないな」というような、ある種、間合いをはかる計算みたいなものはなかったんですか。
古賀: ないと言ったら嘘になると思うんですけど。だから、「これを言ったら虎の尾を踏むな」という時に、どういう段階を踏んで踏んじゃおうかなみたいな。でも踏むということは「もう踏んでもいいや」という・・・。
長谷川: そういう風に思っていた。
古賀: ええ。
長谷川: ここは、視聴者の皆さんに是非、解説しておきたいんです。これは大変なことなんです。今サラッと古賀さん仰っているけども、実は、霞が関で働いているお役人の皆さんが「ここから先は一歩出たら、これは本当に虎の尾を踏んで自分の将来が危うくなる」という風に思うか思わないかというのは、これは本当にすごく大事というか重要なことなはずなんです。普通の役人にとっては絶対そうなんですよ。そのことを今、古賀さんはサラッと仰って、「あまり考えなかった」と仰ったので、僕は改めて「ああ、そういうことなのか」と思いましたけど、そうなんですか。
古賀: やっぱり、それ考えていたらこんなことはしないです。
会場: (笑いが起こる)。
古賀: 例えば、「次官になろう」とかそういう気持ちがあったらこんなことはしないですよね。単純になんとなく役所のルールの中で、前例を見ながら、ちょちょちょっとやっていれば上に上がっていけるという、そういう世界ですから。
長谷川: そうそう、そうです。
古賀: それは、全然自分にとって面白くないんです。
長谷川: ああ、はい。
古賀: 役所のルールを破ることが目的ではないんですけど、本当にいいことをやろうと。その時に、でも役所のいろんなルールがあるからできないよという世界に皆がいるではないですか。僕は、できないよと思うことをやるのが面白いというか、国のためにもなるし人のためにもなるけど、でも仕事としてもそれは面白い。
長谷川: なるほど。では言い方、質問の仕方を変えますけども、要するに自分のポジション取りみたいなことを考えている場合は、ここまで行ってしまったら自分はいわば一線を越えるので、ひょっとしたらその先は、役人としての栄達の道はもうないと。でも、ここまでのところで止めておけば、ギリギリ許容範囲の中で自分が霞が関の改革派の官僚として生き延びられるという、そういうある種の身の処し方の打算というか計算。今日ご覧になっている方にも、官僚以外の方にも、サラリーマンの方が沢山おられた。実はこの問題は、官僚だけの話じゃないと僕はそう思っているんですよ、本当の話は。これは民間の会社の中にもよくある話でありまして。多くの人は大体、「ここから先を一歩入れたら自分はもうサラリーマンとして終わりだ」というような計算をしてしまうと。古賀さんの今のサラッとした言い方をお聞きしていると、そういうことについては、あまりお考えにならなかったというところですか。
古賀: そうですね。要するにやりたいことがまずあって、それを実現するために役所の中にいて、実現できそうだということであれば、いろんな順番を考えながらどうやったら実現できるかなと、もちろん考えるんですけど。要するにどうやったってできない、できないというのは要するに、役所のルールに従いながらやっていたのではできないなという事もあるじゃないですか。その時に、「諦める」という風に考えるのか、例えば「ここは1回諦めて、そのうち流れが変わるかもしれない」みたいな、そういうやり方もあると思うんですけど、僕はどっちかというと「もうそのまま行っちゃえ」みたいな。
会場: (笑いが起こる)。
古賀: いや、だけどそれで結構行くんですよ。
長谷川: ああ。
古賀: 過去の自分の経験ではね。行くこともかなりあって、だから毎回負けているわけではなくて、むしろ10年くらい前は、ほとんどずっと勝ち続けて結構主流でいて。それがだんだん経産省(経済産業省)自体が保守化するし、世の中もかなり保守化している部分があるんです。政権も自民党の福田(康夫)政権(2007年9月26日~2008年9月24日まで)辺りから、はっきり言って改革なんか全然やらないという。民主党だけの問題ではなくて自民党もそうなったし、民主党で変わるかなと思ったらやっぱり全然できないと。そういう中で、じっと耐えて待っていればチャンスが来るということであれば耐えていればいいかもしれないですけど、僕の見通しとしてはそんなことをしても全然(チャンスは)来ないなという。それよりは外で思いっきり動いたほうができるんじゃないかというくらいの感じです。
長谷川: 外でという意味は?
古賀: 辞めて。
長谷川: 辞めちゃってもね。
古賀: ええ。
長谷川: なるほど。ある時期からは経産省という枠の中であれ、あるいは外であれ、自分のお考えになっているような政策ラインというものを実現するのは、まあどっちでもいいかと。
古賀: そうです。
長谷川: そういう発想に変わったということですか。
古賀: うーん。変わったというのか、要するに周りの環境がどんどん悪くなっていって、それまでは、ある程度許容されながら改革をやることもできたのだけど、その環境がどんどん悪くなるわけですね。
長谷川: 悪くなる、はい。
古賀: 悪くなった時に、「そのうち流れが変わるかな」ということではなくて、悪くなる一方。だから、だったらそこで一生懸命、我慢しながらずっと先まで生き延びるのがまず先だみたいな。民主党政権と同じですけど、とりあえず自分の命を守りましょうみたいな。そういう風に行っても結局できないだろうなという気がしたので。だったら思い切り行って、思い切ってできるかもしれないし、できなくても、それで外に出ても中にいてできなくてもあまり変わらないよねという。
長谷川: なるほど。視聴者の皆さんにはひょっとしたら申しわけないかもしれないけども、古賀さんの話があまりにも本質を突いているので、僕は一挙にここで、もう(話を)ガラッと変えてしまいたいんですけど、今、古賀さんが仰っていることは凄く実は大事なことで、ご覧になっている方の中に公務員の方もいらっしゃるだろうし、それから会社勤めをされている方も、もちろんいらっしゃると思う。でも古賀さんの仰っていることは、今凄くあまりにも本質を突いているので、僕はそこをどうしても追究したい。
■「変えられるチャンスが来れば、中にいても外にいてもできる」
長谷川: それでちょっと脇道から離れてしまうかもしれないけどあえて聞きたいんですが、つまり古賀さんの置かれた経済産業省という枠組みはある。でも自分のやりたいことは、別途もちろんあったわけですよね。「改革をやりたい」という志があった。その「改革をやりたい」という志を実現するためには、自分がとりあえず身を置いている経済産業省という枠組みを離れたって、実現する道はあるんではないかということを今仰ったわけでしょう。
古賀: そうです。ええ。
長谷川: そのことって、例えば(ニコニコ生放送を)ご覧になっているサラリーマンにも僕はひょっとしたら通じるんではないかと。今日の非常に大きなテーマは、やっぱり「日本経済をどうやって元気にしていくか」ということが、僕は核心の問題だと思うから、ここの問題をちょっと詰めたいんです。詰めたいのはつまり、官僚であれ、サラリーマンであれ、「自分が置かれている枠組みが絶対ではない」ということをあえて言えば仰っている。
でも多くの人は、自分が置かれている枠組みが絶対かも知れないと思って、皆そこから一歩出ることに怖がっているんですよ。私の観察している限り多くの人たちは。それを古賀さんは、経済産業省というもの凄く恵まれていて、そこでその組織のルールに従っていれば、それこそゆりかごから墓場まで守られていたにも関わらず、その枠組みを突破したと。その枠組みの外にも、ひょっとしたら自分の志を実現できる道があるのかもしれないということを古賀さんは仰っているわけね。
古賀: そこは、もちろん本当にできるかどうかという確信はないですけど、逆に本当に日本を変えられるという時が来るとすれば、永遠に来ないかもしれない。永遠というか破綻しちゃうかもしれないけど、その前に変えられるというチャンスが来るとすれば、中にいても外にいても自分のやりたいことをできるのではないかという気はしているんです。
長谷川: そこを是非、僕は、今日視聴者にはそこの話だけでもういいと思う、はっきり言って。1時間半、この番組をやるつもりなんだけど、今の話はいきなり「核心中の核心」ですよ。そんな難しい話でも何でもないんです。つまり自分がやろうと思っている志というのがあるわけです。今日ご覧になっている方も皆、絶対志があるに決まっているんです。でも、その志を実現するのに、とりあえず置かれた枠組みというのを離れてもできる道があるんだと。そのリスクを取ったというところが、やっぱり古賀さんの本当にすごいところだなと思うんです。
だって、僕だってこんな偉そうなことを言っているけど、新聞社の人間なんですよ。はっきり言って恥ずかしながら。未だにその枠組みから僕だって飛び出てはいないわけ。だからそんな人間が、飛び出てしまった古賀さんを解説するのも、はっきり言って僕はおこがましいと思って、恥ずかしい気持ちもちょっとはあるけども。でもここは大事な核心部分だと思うから、あえて僕はその語っていることの本質をやっぱり、ちょっと解説しておきたいと思うんですね。やっぱり、その辺なんじゃないですか。本当の日本経済の活力みたいなものを展望しようと思ったら。
古賀: そうですね。本当に、何と言うのかな、一人一人がやりたいと思うことを、思い切りやってみるという、やることができるような社会を作っていくというんですかね。それが結局、日本経済の再生につながるということだと思います。
長谷川: そこですよ、そこですよね。
古賀: 僕ね。このあいだ、ちょうど辞めた日にたまたま、市民活動やってる人たちの講演会に前から約束してたんで行ったんです。そこで話をしてたら、たぶんネットの人は結構、ネットを見ておられる方はよくご存知かもしれないですけど、私について何か「非公式まとめ」っていうページを作っている方がおられて、たまにあの・・・。
長谷川: 「togetter」(トゥギャッター)?(笑)
古賀: 見たことはあるんですけど。そうしたら、それを作ってる方が来られてて「実は僕、作ってるんですけど」という話になって。その方が「いや、僕はニートなんです」ってわりと正々堂々と言われて、でもそういうネットのいろんな技術を持っておられる方で、若い方ですよ。自分はこういうことをやって、改革をやっている人を応援してるんだと。それが非常に楽しいし嬉しいという話をされてて。僕はその話を聞いて何て言うのかな、何か組織に属していないと何かできないとか、そういうことではなくて、そういう風にまったく一人でいてもその人なりにすごい、多分あそこのページを見てる人はものすごく沢山いると思うんですね。それだけ社会に対して貢献・・・貢献って言うと自分も偉そうに聞こえるけど、そういうかたちでいろんな社会の活動に関われる。やっぱりこのネットとかツイッターとかフェイスブックとか、こういろいろ出て来ているものというのは、すごい手段として大きなポテンシャルを持っているということで。
これからの社会というのは、そういういろんな新しい技術とか、いろんなシステムというのを活用しながら、一人一人の人が本当に自分のやりたいことは何かと考えて、それでやってみるということは、ある意味、昔よりはずいぶんやりやすくなったんじゃないかなという気がします。
長谷川: そうですね。
古賀: ええ。
長谷川: 古賀さんご自身もツイッター・・・あまり発言されてないようで。毎日お忙しいから・・・。
古賀: すいません、忙しくってね。だから怒られちゃって。「写真をちゃんと貼り付けろ」とかいろいろ言われてるんですけど。でもね、要するに、僕は例えば個室に入っちゃうでしょ、入ってたでしょ。しーんとしてるし、周りの人は何を考えてるかって分からないしね。時々次官とかに呼ばれて何かこういろいろ変なことを言われるわけじゃないですか。だけど例えばツイッターを見たり、あるいはネットでいろんな情報を見たりすると、自分のことを応援している人は沢山いるというのが分かるわけですよ。ネットがなかったら分からないですよ、全然。もちろん手紙が来たりとかいうのはあるんですけど、それはやっぱりネットで流れる情報に比べれば数として圧倒的に少ない。そういう今新しくどんどん社会が変わっていくというのが、その声というのが、やっぱりすごい励みになるんですね。
そこで思ったのは、改革を進める時にやっぱり最後は、国民のサポートがないとダメなわけじゃないですか。特にいま高齢化が進んでいて、参政権を持っている・・・投票権ね、20才以上の中でも50才以上がもう何年も前に過半数になっちゃってるわけですよ。若者の声がなかなか通りにくいという状況になって、改革が非常に進みにくい状況になるのだけど、そこでやっぱり若者の武器というのは、お爺ちゃんお婆ちゃんと言うと悪いけれど、そういうお年寄りにはなかなか使いこなせない、そういう武器というのがあるので。若い人たちに会うと必ずお願いしてるのは、とにかく自分たちの声というのをツイッターでも何でもいいからどんどんどんどん発信して、それをできれば今度は政治家に向けてね、どんどんぶつけてほしいという話をしてます。
改革派の議員で(自民党の)河野太郎さんとかね、そういう人たちとも良く話すんですけど、やっぱり彼らもちゃんと見てるんですよ。もちろんいちいち返すということはできないんだけど、ものすごく見てるわけ。それで元気をもらう、勇気をもらう、そういう世界になってるんで。そうするとね、若い人たちの声というのは、結構力を持ってくるなぁという風に思いました。
■経産省で「天下り団体を潰したりとか、よかったこともあった」
長谷川: 今、こうやってお話をしてる間でも「古賀さんフォローしてるよ」という発言が(コメントで)いっぱい出ていますよね。本当に今ご覧になっている皆さん、沢山いると思うけど、古賀さんが仰ったことはすごく大事なことで、僕も実感を持って感じられる。それは後で説明しますけど。古賀さんが、もしたった一人で経済産業省と戦っていたら、これまで頑張れたかどうかこれは分からない。古賀さんご自身が今仰ったのは、こうやって今ネットを通して見てくださって、ツイッターで「あなたをフォローしてますよ」「頑張ってくださいね」ということが古賀さんのツイッターやこういうネットメディアを通じて、古賀さんの耳に入ってきたから頑張れたということを仰ってるわけですよね。
古賀: そうです。
長谷川: 今見てる人は2500人くらいかもしれないけれども、これは大変なことなんですよ。私も実はツイッターを始めたのは、経済産業省とオフレコ問題でばたばたばたばたバトルをやっている時に僕も初めて始めたんだけど。そういうすごく孤立感を味わう時に、ツイッターみたいなことで励まされると、実は自分の議論を支持してくださる方がやっぱり、今日でいえばさっき2500ということだから2500人もいたんだということが、はっきり言ってすごくやっぱり元気づけられますよね。
古賀: そうですよ。それでね面白いんですけど、だいたい役所の幹部とかそういう人たち・・・もう(視聴者が)1万1000って出てますね。
長谷川: いま1万1000人もいらっしゃるんだ。すごいすごい。
古賀: 幹部とかね、それから経済界でも偉い方々と話をしていて「ツイッターではこうですよ」とか「ネットではこうですよ」という話をすると、彼らはまだよく分かってなくて、「いやネットでしょ」という反応なんですよ。何か偏見みたいなものを持っていて、だから要するにまだよく分かっていない人たちが沢山いるんだけど、でも逆に言えば、だからチャンスがあるというかね。お年寄りはそういう世界をバカにして、あまり・・・お年寄りでもちろん見ておられる方もいらっしゃるかもしれない。そういう人にはちょっと失礼かもしれませんけど、やっぱり若い人たちがそうやって、一人じゃなくて、一人一人は小さいかもしれないんだけど、僕も含めてね。それがこのネットでどんどんどんどん横に広がりを持ってくという、その可能性は本当にちょっとね、なんとなくワクワクするなっていう感じはあるわけです。
長谷川: いやこれはね、本当に本当の話なんですよ。だから今(視聴者が)11000って出ましたけど、是非見てる方はツイッターで「古賀さん頑張れ」って今発信していただきたいなと思います。これは本当の話なんです。古賀さんが1年9ヶ月も経済産業省の個室の中で戦っている時というのは、やっぱりすごく、僕は孤独感があったと思う。これは例えば、ネットの世界がそんなに発展してなかった時は、僕は1年9ヶ月も頑張れたかなと・・・。
古賀: そうですね。
長谷川: 思いますよ。それがやっぱりやれたというのは、このネットやツイッターやそういうところでやってくれたという、いま1万1000、1万2000という数字だけれども、これは大変な応援ですよね。
古賀: ええ。その1万といっても要するに「この世界」ってわざわざ見に来てる人なんです。
長谷川: そう。
古賀: テレビってつけっ放しにしてて、たまたまスイッチがオンになってるから見てることになってるけど、実際ほとんど見ていないというケースも多いので。そういう意味で、視聴率10何%とかですごいっていうけど、こういうネットでわざわざ見てくれるという人の数というのは、おそらくテレビに比べれば10倍とか100倍とかにカウントして見るべきものじゃないかなという風に思います。
長谷川: 少なくとも古賀さんは、不肖私なんかにとってはそういう激励というのはとてもありがたかったということは、是非言っておきたいなと思います。だって本当に霞が関と闘って辞めた人というのは、ツイッターが広がってから古賀さんが最初の例ですからね。
古賀: うん、そうですね。
長谷川: これは、これからもひょっとしたら霞が関だけじゃなくて、民間の会社とか、いろんな場でこれから起きてくるかもしれない。例えば永田町だって、この間鉢呂(吉雄前経済産業大臣)さん、ああやってみんなに叩かれちゃってお辞めになった。その議論はあるにせよ、本当に孤立している局面というのはあるかもしれない。でもそういう時に、自分のことを本当に気持ちを吐露して、こうやって双方向で議論できる場というのは、これはやっぱり戦っている人間には絶対必要な場だなと僕は確信しています。
古賀: そうですね。
長谷川: さて、それを申し上げた上で、ちょっと視聴者の方から質問がありますのでお聞きしますが、「経産省に入省してよかったなと思うことはありますか?」
古賀: まあわりと何でしょう。最初入る前というのは、入る前にいろんな役所を回るんですね。当時の大蔵省にも行きましたし経産省にも行って、いろんな人と会ってですね。経産省は何となく楽しそうだなと思って入っちゃったんですけど、入った最初の日から何か間違えたかなとか思いながら。
長谷川: 最初の日から(笑)。
古賀: ええ。もともとやっぱり官僚にあんまり向いていなかったのかもしれないですけど、やっていた。下積みの本当に1年生から係長ぐらいまでというのは、何か周りでいろいろ嫌なことを見るばっかりという時間が長かったような気がしますけど。課長補佐ぐらいになると、いろいろな新しいことをやろうということが、権限も増えてきますし、やりようになってはできるようになるんですよ。
だから幾つか自分としては非常に大きな仕事をやったなということがあって、本にも書きましたけど、持ち株会社の解禁とかね。あるいはいろんな天下りの関連の法律を廃止して天下り団体を潰したとか、普通の人には絶対できないようなこともやらせてもらって。それなりに面白かったんですね。そういう意味で楽しい経験もさせてもらったなという意味で、もちろんよかったことはあるんですよね。
・元”改革派”官僚・古賀氏「霞が関にも志を秘めた官僚はいる」 番組全文(後編)
http://news.nicovideo.jp/watch/nw121860
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 全文書き起こし部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv64777432?po=news&ref=news#0:00:05
(協力・書き起こし.com)
【関連記事】
“改革派官僚”古賀氏の処遇は? 枝野経産相「これまでの大臣の判断を引き継ぐ」
「放射能うつす」発言報道の裏側で何があったのか 検証番組全文書き起こし(前編)
ジョブズ退任でアップルはどうなる? ITジャーナリストが白熱の議論、全文書き起こし
田原総一朗×津田大介×学生たち 「次世代ジャーナリズム」論で激突 全文書き起こし
「前もって教えていたのはダウンタウン松本だけ」 島田紳助さん芸能活動引退会見 全文
ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。