『バットマン vs スーパーマン』はどの劇場で鑑賞するのが最適なのか?
3月25日に公開を控えている『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』。
有名ヒーロー同士が激突するため”世紀の対決”と位置付けられており『マン・オブ・スティール』の続編であり、『DCエクステンディッド・ユニバース』の本格的な幕開けとなる作品だ。
本作はフィルムIMAXカメラで撮影されており、その技術仕様の点からも注目されている。
最近の映画はIMAXを代表に様々な上映規格が混在している。本項では本作をどのシステムで鑑賞するのが一番最適なのかを考えてみたい。
本作のフォーマットについて
本作はIMAXカメラによる15/70mmフィルムで撮影されている。所謂フィルムIMAXカメラなのだが、これは映像を1.43:1のアスペクト比で撮影する。このアスペクト比は正方形に近い形となる。つまり通常の映画作品とは異なった映像が鑑賞可能となる。
全編がIMAXカメラで撮影されているわけではないので注意してほしい。フィルムIMAXシーンは劇中に25分ほど盛り込まれている様子だ。
IMAXフィルムは8K~10Kと言われる解像度を誇る、現時点では最高峰の映像となる。
3D版も公開されるが、本作は撮影が2Dである。3Dはポストプロダクションでの後付になるので、3Dで鑑賞する利点はあまりないと言える。
音響はDOLBY ATMOSに対応している。他にもAuro11.1、IMAX 12-trackなどにも対応している。
まとめると以下のようになる。
映像
・IMAX 15/70mm 2D(フィルムIMAXシアター)
・4KレーザーIMAX 2D
・IMAX デジタル(2K)
・デジタル上映(普通の映画館にある上映方式 解像度は2K)
音響
・DOLBY ATMOS
・Auro11.1
・Datasat
・IMAX 12-track
・Dolby Surround 7.1
・IMAX 6-track
※参考URL http://www.imdb.org/title/tt2975590/technical?ref_=tt_dt_spec
どの劇場で見るべきなのか
日本にはフィルムIMAXシアターが存在していない。厳密にいうと福岡のスペースワールドや各地の博物館等にフィルムIMAXシアターは存在しているが、ここではドキュメントや教養作品のみを上映している。そのため発作でも起こさない限りは劇映画が公開されることはまずない。
日本国内に限ると、この時点でIMAX 15/70mmフィルム上映は除外されてしまう。
IMAXデジタルシアターなら完璧、と思い込んでいる人も多いがそうではない。全国的に展開されているIMAXデジタルシアターは解像度が2Kでアスペクト比が1.90:1である。そのためフィルムIMAXカメラで撮影された”1.43:1シーン”では上下の映像が失われて上映されることになる。通常のシネコンではスタンダードサイズが主流なので、上下の映像が更に失われてしまうことになるのだ。
日本ではフィルムによる鑑賞はできないが、フィルムIMAXカメラで撮影された1.43:1の映像を楽しむことは可能だ。
大阪の109シネマズ大阪エキスポシティにはIMAX With Laserシアターが存在する。所謂レーザーIMAXシアターなのだが、これは解像度が4Kであり且つ1.43:1の映像が投影可能である。つまり、フィルム上映でなくともフィルムIMAXカメラで撮影された映像が楽しめてしまうわけになる。
16年3月現在、日本では109シネマズ大阪エキスポシティにのみレーザーIMAXが存在している。つまり監督が意図した”完全な映像”を楽しめるのは大阪だけとなる。エキスポシティではレーザーIMAXの2D版が上映される。
IMAX公式『Twitter』がIMAX1.43:1、IMAX1.90:1、スタンダード2.40:1の比較映像を公開している。
Only in IMAX do select sequences filmed on our cameras expand vertically to fill the entire screen! #BatmanvSuperman pic.twitter.com/qZi2RNZaPP
— IMAX (@IMAX) 2016年3月18日
※参考URL:https://twitter.com/IMAX/status/710913219867443200
IMAXデジタルの1.90:1、スタンダードサイズ2.40:1で失われる情報量の差が一目瞭然だ。
このように、映像に関しては109シネマズ大阪エキスポシティ以外は考えられなくなる。
次に音響だ。
本作はDOLBY ATMOSやAuro11.1、IMAX 12-trackなどを採用している。
DOLBY ATMOSは最大128トラックの音響要素を記録出来て最大64chのスピーカーで出力可能な立体サラウンドだ。映像に合わせて音が飛び交うシステムということである。
DOLBY ATMOSにより今までは不可能だった細かな音作りを実現させることが可能となりスーパーマンが頭上を飛び越え、バットモービルが真横を駆け抜けていく体験ができてしまう。
IMAX 12-trackは前述のレーザーIMAXシアターに付随しており、ほかにもTOHOシネマズ新宿と109シネマズ二子玉川で導入されている。109シネマズ大阪エキスポシティならレーザーIMAXによる1.43:1映像とIMAX 12-track音響の両方を一気に楽しめてしまう。
ただし、IMAX 12-trackはDOLBY ATMOSに比べると音の細かさに欠けるため、やはりDOLBY ATMOSが有利かもしれない。
本作はTHXでも公開される。すべての基準を満たした劇場のみがTHXとして認定される。基準を満たさない場合は認定が取り下げられるほどの厳格さだ。
高音と低音のバランスが取れた音響と細かな調整により、臨場感のある”音”を実現している。今までは聞こえてこなかった音がはっきりと聞き取れるなど、劇中にいるような感覚を覚えるほどだ。
音響に関してはDOLBY ATMOSかTHXで甲乙がつけがたい。これに関しては結論を出すことは難しい。
まとめ
映像面では109シネマズ大阪エキスポシティのレーザーIMAXが最適となる。監督の意図した映像を楽しめるのは現時点でここだけになる。
音響はDOLBY ATMOSかTHXのどちらかになる。DOLBY ATMOSは全国的に展開されているが、THXは認定劇場が少ない。どちらを選ぶかは読者次第だ。
お金と時間に余裕があるという人は海外に目を向けるのもいいだろう。
オーストラリアの『IMAX シドニー』が本作をフィルムIMAXで上映する。今年初めには上映システムをレーザーIMAXへと置き換える予定だったが、本作のために導入を遅らせるという英断を行った。IMAX シドニーは世界最大のスクリーンを誇っている。本作で最後のフィルムIMAX上映となるので記念に鑑賞しに行くのも良いだろう。
なおDOLBY CINEMAという規格でも上映される。DOLBY ATMOSとHDR上映に対応したDOLBY VISIONが一体となった規格だ。こちらも日本には存在しない映画上映規格なので、上映規格マニアの方々はこちらを体感してみてはいかがだろうか。
ただし、上映規格が物語に影響を与えることはないので、その点は留意してほしい。
※画像は権利者に帰属します。
http://wwws.warnerbros.co.jp/batmanvssuperman/
http://www.imax.com/ja/node/3778
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(執筆者: さよたま) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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