ネットでは得られないこともある。「リアル書店」の活用メリット
皆さん、最近はいつ「書店」に足を運びましたか?
「電子書籍を読んでいる」「本はネットで購入している」という人も多いかと思います。
しかし、リアル書店で本を眺めたり手に取ったりしてこそ発見できることもあります。そこで、大型書店の三省堂、八重洲ブックセンターに「書店ならではのメリット」「書店の便利な機能」についてお話をお聞きしました。
「トレンド」「最新キーワード」が一目でわかる
「書店の棚は毎日変わっています。毎日数百点もの書籍や雑誌が入荷する新刊書店の棚は、毎日入れ替わる『生きている』棚です。新刊コーナーをご覧いただければ、何がトレンドなのかが一目でわかるでしょう」(三省堂)
「有名企業の社長を頻繁に店内でお見かけするのですが、書籍の表紙だけをひたすら眺めて5分ほどでお帰りになります。もちろん購入してくださることもありますが。おそらく時代のキーワードみたいなものを探されているのではないでしょうか」(八重洲ブックセンター)
取引先などと話をしているとき、ふと出てきたワードに「えっ、何それ?」と焦ったことはありませんか。「いつのまにか自分だけが知らなかった」ということを防ぐためにも、定期的に「最新ワード」をチェックしておきたいものです。インターネットのデジタルなレコメンデーションやランキングも参考になりますが、面でトレンドを掴めるのがリアル書店の魅力です。なお、「キャリアチェンジを考えているとき、これから伸びそうな分野を大型書店でリサーチした」という人も。
自分では思いつかないアイデアのヒントが得られる
「ネット検索で何か情報やアイデアを探そうとした場合、自分が思いつくキーワードの範囲にとどまります。一方、書店に並ぶ書籍を眺めていると、そのタイトルからだけでも、思いもよらなかった発見ができます。情報番組を制作している方などは、『ネタに困ったとき、書店の一番上から下の階まで全部見て回ると、いくつかひらめきがある』とおっしゃっていました」(八重洲ブックセンター)
サーチエンジンへの対策が進むインターネットでは、検索結果も似たようなページが出現しがち。思いついたキーワードに対する情報か、または関連した情報へのアクセスにとどまります。また、たくさんの情報を得るためにはそれなりに時間もかかるもの。未知のジャンルやテーマと出会えるのが書店の良いところです。企画を考える仕事はもちろん、顧客や取引先との「雑談ネタ」の引き出しを増やしておきたい人にもオススメ。
本からのメッセージを「五感」で感じ取ることができる
「棚に置かれている多くの本を眺めていると、自分に訴えかけてくる一冊に出合えたりします。流し読みをしがちなネット情報とは異なり、本はじっくりと著者と向き合い、その人生に触れられる手段。お金を出して手に入れることで、その本の重みは自分の血となり肉となるのではないでしょうか」(三省堂)
単に情報を得る目的ではなく、誰かの「思想」や「生き方」から学びたいと考えたときには、実物の本を手にとってみるといいでしょう。書籍の場合、本文だけではなく装丁にも著者や関係者のこだわりが込められていることも。本の重量感を感じながら、パラパラとめくってみるだけでも、メッセージの一端が何となく感じ取れるものです。
求めている情報を短時間で発見することができる
「ちょっとしたことを調べるために、ネットでハイパーリンクをクリックし続け、ハッと気が付いた時にはとても長い時間が経っていることがありますよね。書店の棚はいわゆる『ディレクトリ方式』。情報が分類されているので、結果的に探しものが短時間で済むこともあります」(三省堂)
「どんな本を求めているのか、書店スタッフにおたずねください。『こういう書籍を探している』というより『こういうジャンルに詳しい人に、こういうことについて聞きたい』と問い合わせるのがいいでしょう。もちろん、お電話でも構いません。詳しい担当者が休みであることもあるので、『今日中でなくてもいい』と付け加えていただければベストな対応が可能です」(八重洲ブックセンター)
「この本がほしい」「この作者の本がほしい」など明確に探している本がある場合は、書店に探索機が置かれているため瞬時にアクセスは可能です。この点はインターネットも同様ですが、目的の書籍や作者は決まっておらず、「こういう知識や情報が書かれている本がほしい」と思った場合、ネット検索よりも人力検索の方がスムーズに、最適な本が見つかることもあります。
イベント、セミナーが開催されている
「当店ではイベントに力を入れています。新刊の刊行記念のトークショー、講演を頻繁に企画しています。講演やセミナー会場に足を運ぶよりも気軽に立ち寄れて、本のエッセンスを本人から直接聴くことができます」(八重洲ブックセンター)
書店のイベントならではの、本に記載されなかったこぼれ話を聞くことができそうです。会場にはその本のテーマに興味がある人が集まるので、自分と志向や価値観が合う人々と出会い、人脈を築くきっかけにもなるかもしれません。
宣伝・告知の場としても活用できる
「何か宣伝したい場合は、有料ではありますが、ご相談いただければ協力も可能です。書店に来るお客様は気持ちが『読む』モードになっているので、ポスターやチラシなどにも目が留まりやすいようです。実際、掲示したポスターの誤字脱字などをすばやく見つけて指摘されることもありますので」(八重洲ブックセンター)
イベントやセミナーなどを主催する立場にある方は、ぜひ参考にしてみては?
<仕事帰りや仕事の合い間に!都内の大型書店>
いずれも売り場面積1000坪以上で、幅広いジャンル、豊富な蔵書が揃う。カフェや文具店を併設している書店も多い。講演会、サイン会などのイベントにも注目。
●八重洲ブックセンター
●ジュンク堂書店/池袋本店
●丸善/丸の内本店
●紀伊国屋書店/新宿本店
●ブックファースト新宿店
<大型書店にはない魅力も。都内の個性派書店>
●ONLY FREE PAPER(オンリーフリーペーパー)/渋谷
フリーペーパー・フリーマガジンの専門店。地域型・クーポン多用型・全国に普及する情報誌・アートや写真を扱ったカルチャー誌など多様な種類が揃う。企画展も開催。
●Magnif(マグニフ)/神保町
「雑誌」 の古書店。1950~70年代のヴィンテージものを含め、国内外のファッション雑誌バックナンバーを扱う。それぞれの時代や文化の変遷を見ることができ、企画・マーケティングのヒントに出合えるかも。
●天狼院書店「東京天狼院」/池袋
ワンドリンクオーダーで Wi-Fi、電源、席の利用が可能。畳、堕落するソファ、こたつなどが備えられている。部活、ラボ、イベントなどもあり「社外人脈」を築く場として活用しても。
●DARWIN ROOM(ダーウィンルーム)/下北沢
「教養の再生」を理念に、選りすぐりの古書、動物剥製などの標本、研究生活に便利な道具の販売、専門家を招いたリベラルアーツ・カフェを展開するショップ&ラボ。知的好奇心を満足させてくれそう。
EDIT&WRITING:青木典子
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