いくつ当てはまる?あなたを天職から遠ざけている“もったいない思考”
就職先や転職先を探すとき、次のような考え方をしていませんか?
・まだこの会社で学べることがあるのに、辞めるのはもったいない
・学生に人気の大企業にせっかく入ったのに、辞めるのはもったいない
・有名大学を出たのに、その仕事につくのはもったいない
・資格を取ったのだから、活かさないともったいない
・理系で大学院まで行ったのに、文系就職なんてもったいない
・英語ができるから、活かさなければもったいない
・苦労して入社した会社を辞めるのはもったいない
新たな仕事に就こうとするときに、これらの“もったいない思考”を持つのは、自分に合った仕事に出会えない“天職難民”の特徴だと天職コンサルタントの梅田幸子さんは言います。
そこで今回は、なぜもったいない思考が天職を遠ざけてしまうのか、また、もったいない思考を脱して天職に近づくための方法について、梅田さんに伺います。
「もったいない思考」が天職を遠ざける理由
なぜもったいない思考は、天職との出会いを遠ざけてしまうのでしょうか。
「天職とは、自分がしたいことを、したい方法でする仕事。そして、自分のありたい人生を歩むことです。それは、自分の心に従った『自分軸』の生き方であり、『未来』に無限の可能性が広がっています。誰でも、何歳からでも、天職を実現できます。
一方、『もったいない思考』は、他人の価値観を基準にした『他人軸』の考え方であり、『過去』に縛られます。つまり天職とは逆の考え方なのです」
天職を遠ざけるもったいない思考の4タイプ
このようなもったいない思考の例として、梅田さんは以下の4つを挙げます。
【1】まだ学べることがあるのに辞めるのはもったいない
転職や独立のために退職することを決意したものの、それを引き止めようとした上司や先輩の「まだこの会社で学べることがあるのでもったいない」という言葉で躊躇してしまう人は多いもの。 しかし、人は、どこで何をしていても学ぶことができると梅田さんは言います。
「『まだ学べることがあるので、もったいない』と言っていたら、定年まで辞めるチャンスは来ないでしょう。 研修制度がしっかりしていても、優秀な人が多くて学びの大きな仕事環境でも、それが、自分の学びたいこと・成長したい方向でないならば、天職にはつながりません。
自分の考えではなく、他人が考える『もったいない』を基準にして現状にとどまることで、天職への一歩を踏み出せないほうが、『もったいない』と思います」
【2】人気の企業・仕事なのに辞めるのはもったいない
人気企業に勤めている人が転職や独立をしようとすると、「えぇ! 学生に人気の企業なのにもったいない」「せっかくの大企業なのにもったいない」と言う人がいますが、このもったいない思考も、天職にたどり着くことを阻む大きな原因のひとつなのだそうです。
「『人気企業』『憧れの企業』についても、完全に他人の基準で語られるものであり、多くの人に人気の企業が、自分の心が喜ぶ場所・仕事とは限らないのです。
ファッションに例えてみましょう。『エルメスの“バーキン”は女性の憧れ!』とよく紹介されますが、これも、他人の基準にすぎません。女性のなかには別のブランドが好きな人もいれば、布のトートバッグに可愛さや使いやすさを感じる人もいます。みんなの憧れを手にしているから幸せだとは、限らないのです。
同じように、『憧れの企業を辞めるなんてもったいない』という思考をする人は、自分の仕事選びでも、他人の目を気にしてしまいます。だから、自分が本当に求めることに気づけないのです」
【3】時間とお金を投資したのに活かさないともったいない
「『簿記の資格を取ったのだから、経理職に就かないともったいない』『理系で大学院まで行ったのに、文系就職なんてもったいない』『中国語ができるから活かさなければもったいない』『アロマについて学んだのだから、セラピストにならないともったいない』…
自分の天職がわからない人の中には、このように、過去の学びの延長線上に自分の未来を描く傾向があります」と梅田さん。
しかし、実際には、「学んでみた結果、好きではない・向いていないことがわかった」というケースも多いもの。つまり、過去の学びを活かした仕事を考えようとするのは、例えるなら“クローゼットの中身は好みでない洋服ばかりなのに、それだけでコーディネートしようとしている状態”なのだそうです。
また、梅田さんは、学んでみた結果好きだとわかったことであっても、必ずしも仕事にすることにこだわる必要はないと言います。
「例えば、私はフラメンコをしていますが、プロの踊り手になったり教えたりする人はほんの一握りです。踊りや書道、音楽など“習い事”と呼ばれる事柄ならば、誰も『レッスン代を払って何年も通ったのだから、仕事にしないともったいない』とは言いませんよね。
でもそれは、学びにも同じことが言えるはずで、時間とお金を投資したからといって仕事につなげるのではなく、『楽しいから学んでいる』でも良いのです」
【4】目標を途中であきらめるのはもったいない
「長く続けてきたことを途中でやめてしまう=それまでの苦労を無駄にする」と感じることから、「ここまで頑張ってきたのだから、途中であきらめるのはもったいない」と考える人は多いですよね。
しかし、真剣に目指していた夢や目標も、時が経つにつれ変化するもの。求めていない目標を追い続けることについて、梅田さんは次のように語ります。
「例えば、『海外旅行先では、○○を買おう』と決めて出かけたとします。飛行機、電車、バスを乗り継いで、途中で事故による足止めをされながら、ようやく現地の目当てのお店に着きました。
しかし、いざ欲しかった商品を見て、ほしいと思わなかったら、どうしますか? 『ここまで苦労して来たのだから、買わないのはもったいない』と購入しても、きっと使わないですよね。
つまり、せっかくここまでやってきたからといって心から求めていない目標にしがみつくのは、過去の時間を大切にするあまり、未来の自由を捨ててしまう行為なのです。夢や目標は、変化するもの。変わった時点で、新しい夢や目標を目指せば良いのです」
もったいない思考を脱して“自分軸の生き方”を手に入れる方法
ここまで見てきたように、もったいない思考は他人軸に基づいて、過去に対応させて自分の生き方を決めてしまう考え方です。では、他人軸ではなく“自分軸”、過去対応ではなく“未来創造”の生き方を手に入れるためには、どのようにしたらいいのでしょうか。
●お金・時間・努力を費やしたものにこだわりを持たない
例えば、参考書を買って勉強したり、講座に通ったりした結果得ることができる資格やスキルなど、お金や時間を使い、努力して得たものを利用せずにおくことは、一見損するようで勇気が必要ですよね。
しかしそうしたものにこだわるのを辞めたときに、天職の方向が見えてくるのだそうです。
「就職に有利そうな資格やスキルが今すぐに活かせなかったとしても、後々、巡り巡って必ず活きるときが来ます。まるでパズルのピースがはまって絵ができあがっていくように、一度捨てた学びが驚くほど無駄なくつながる日が来るのです。
しかし、自分では想像していなかった活かされ方になることが多いです。ですから今は、決して無駄にはならないと信じて、一度、お金・時間・努力を費やして得た資格やスキルに対してこだわるのを辞めてみましょう」
●“自分の心の声”を基準にキャリアを考えてみる
「コンサルティングをしていると、『本当は、○○がしたい』というセリフをおっしゃる方に出会います。『本当は』と理想の姿がわかっているのに、本当じゃないところから天職を探そうとしている人も、実はよくいらっしゃるのです」
過去の学びや実績、今の能力、状況を全く考慮に入れないで良いとしたら、どこで、何を、どんな風にしているのが幸せでしょうか。そのように過去や現状にとらわれず考えることで、自分の心の声を基準にして、自分の未来を自由に描けるようになるのだそうです。
●学ぶことは“有利か”ではなく“好奇心”に従って選ぶ
そもそも、『おもしろそう』ではなく、『それを学ぶと有利だから』と物事に取り組もうとすると、『時間やお金を投資したのだから活かさないともったいない』という発想になってしまいがちなのだそうです。
「天職思考での学びは『面白そう』『知りたい』『してみたい』という純粋な興味・好奇心からはじまります。学びながら『これを仕事にしたい』と思えば、仕事にしても良いですし、『学んでみたら、違った』、『あぁ、楽しかった』で終わっても良いんです。
大事なのは、学んだ結果、どういう気持ちになるのかを感じること。これが天職に向かう自己分析なのです」
●自己分析をしながら目標を変える
一度夢や目標を設定すると、それを達成することに意味を見出してしまいがちですが、梅田さんによると、目指した夢や目標はどんどん変わっても良いのだそうです。
「私がお会いした優秀な経営者や、自分らしく活躍される方に共通するのは、『やってみたら別のほうに興味がわいたので方向修正した』『途中で違うと思って辞めた』『自分には合わないので変えた』など、非常に柔軟であるという点です。
新しい情報を得たら、判断が変わっても当然です。夢に向かって行動したりしていくと、日々いろんなことが起きます。それらの出来事に対して抱く自分の感情に敏感になると、常に軌道修正ができるのです。
この自分軸・未来創造の選択こそが、天職をつくっていくといっても過言ではありません」
また、「幸せな成功者は、自己分析の頻度が圧倒的に違う」と梅田さん。
「一つひとつの仕事をやり遂げるたびに自己分析をするのは当然のこと、その過程に起こる日々の小さな出来事も、成功者は自己分析の材料にしています。
成功する人は、自分軸にそった仕事で自分らしく働きながら、『私の喜びの源泉は○○だな』『○○が苦手だな』と、さらに自己分析をします。ですから、どんどん軸の精度が高くなるのです」
このように、天職で働くことを実現している人は、日常の小さな出来事を材料に、日々自己分析をし、“らせん”を描くように自然と自分の「核」となる価値観に近づき続けていくのだそうです。
まとめ
いかがでしたか。ご紹介したもったいない思考に心当たりのある人は、まずは、今自分がもったいないと感じることが本当に自分の心の声に基づくものかを再確認してみましょう。その一歩から、天職に出会うための未来図が描けるようになるはずです。
取材協力: 梅田幸子(うめだ・さちこ)
天職コンサルタント。東証第一部上場企業からベンチャー企業まで3社にて、採用・研修を中心に人事業務を経験後、2005年に開業。その人の持つ魅力と喜びの源泉を見つけ、仕事につなげるコンサルティングや、キャリア講座の講師をつとめる。また、複数の企業で、面接や研修をおこなっているため、応募者、企業双方の視点を踏まえたコンサルティングに定評がある。『だから内定をのがす! もったいないカン違い45』(日本経済新聞出版社)、『あなたの天職がわかる 最強の自己分析』(中経出版)など著書多数。
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