超解説! 近くの店舗で買える商品も検索できる『Google ローカルショッピング』
Googleは、9月16日に身近な店舗で買える商品を検索できる『Google ローカルショッピング』をリリースしました。これによって、『Google ショッピング』はリアルとオンラインを横断する買い物情報を検索できる仕組みへと発展したことになります。Googleの目指す“お買い物サービス”とはどんなものなのか、わかりやすく解説してみましょう。
『Google ショッピング』とは?
欲しいモノを探すとき、まずネットで検索して商品情報をチェックし、各ショッピングサイトの値段を比較する人は多いのではないでしょうか。『Google ショッピング』は、ネット上のさまざまなオンラインショップの商品をまとめて検索するしくみ。2010年10月から日本でも利用できるようになりました。
Google検索のメニューに、「画像」「地図」「動画」「ニュース」とならんで「ショッピング」が表示されているので、「すべて」で検索した後に「ショッピング」で購入したいものを絞り込むこともできます。日本でのローンチから約1年を経て参加ショップも充実。『Amazon』『無印良品』『フェリシモ』『アスクル』『ヨドバシカメラ』などの大手ショッピングサイトから、個人商店まで幅広いラインナップのなかで豊富な商品を検索できるようになりました。AndroidおよびiPhoneにも対応しています。
新たにリアル店舗の検索も可能に
今回リリースされた『Google ローカルショッピング』は、『Google ショッピング』で「近くの店舗で買える商品を検索できる」という機能。Google Blogによると、オンラインショッピングの市場規模は毎年2ケタ以上の成長率で伸びている一方で、「97%以上のショッピングは実店舗で行われている*」そうです。たしかに、検索で商品を探しても、購入するときには店舗で実物を見てからということは多いですよね。
(* 出典=経済産業省『電子商取引に関する市場調査』 2011年6月2日)
Googleのミッションは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」。検索対象をオンラインからリアル店舗の棚にまで広げようとしています。たとえば、電球が切れて買わなければいけないときに『Google ショッピング』で「電球」を検索すると、検索結果に地図のピンアイコンと「付近の店舗」を表示。「お住まいの地域」として設定した場所に基づいて、最寄りで電球を変える店舗を教えてくれます。
「付近の店舗」をクリックすると、商品ページに周辺の地図、近くの店舗の在庫と価格、営業時間などの情報を一覧できます。店舗を選択してクリックして、地図上に吹き出しを表示。行き方(ルート)を調べることも可能。これらの機能のために、パートナー各社は店舗ごとの商品在庫情報をGoogleに送信しています。
現在は、東急ハンズ、西鉄ストア、阪急リテールズ(ブックファースト)、マツモトキヨシ、ヨドバシカメラ、無印良品、ローソンHMVエンタテイメントが参加。近々ローソン店舗の検索も可能になります。『Google ローカルショッピング』の各機能は、数日中に全ユーザーに利用できるようになる見通しです。
今後、さらにパートナーが増えて、近所の商店街の在庫までわかるようになれば、本当に便利になりそうですね。ただ、パソコンとネットが普及したとはいえ、ローカルになればなるほどまだまだ在庫管理をデータ化していない店舗も多いでしょうし、「八百屋の在庫をGoogleでチェック!」というのは今はまだ非現実的。現段階では、そういった地域活性化的な意味合いよりも「ショッピングに特化した検索機能の充実」という方向で捉えたほうが良さそうです。
『Google ショッピング』に商品を登録するには
『Google ショッピング』に商品を登録、つまり“出店”するには『Google Merchant Center』を利用します。Googleアカウントがあれば無料で登録を行うことができ、小さなショップでも比較的気軽に参加できるのが特徴です。商品データは、『Google Merchant Center』のデータフィードから直接アップロード、あるいはECサイトが出力するXMLやテキストファイルをGoogle Botに取得させるか、FTPでアップロードします。
商品の在庫などの管理をしっかり行う必要はありますが、これで『Google ショッピング』の検索対象になるなら店舗にとってはかなりうれしい話かもしれません。一方、「Google側にどんなメリットがあるの?」と一瞬ふしぎに思いますが、『Gooogle Adwords』と連結する機能が搭載されており、そこで収益をカバーすると考えれば納得できますね。
実際に、『Google ショッピング』で検索すると、意外と小規模店舗の商品も多いようです。こういった店舗の参加によって、将来的に『Google ローカルショッピング』がどんどん面白くなっていく可能性もありそうです。
ソーシャルサークルとショッピングの関係
Googleは、今年6月末にGoogle版「いいね!」ボタン機能『+1』をリリースしました。この機能は、「おもしろい」と思ったサイトで『+1』ボタンをクリックすると、Googleが認識している“ソーシャルサークル”の友人や知人の検索結果に反映されるというもの。もし、ECサイトの商品ページで友人が『+1』ボタンを押していたら、『Google ショッピング』で商品検索をした際に、「あれ、これは○○さんが『+1』しているからいいのかも」と判断材料にすることができるというわけです。
現在のところは、多くのECサイトが『+1』ボタンを導入しているわけではなく、友人の意見を参考にしながら『Google ショッピング』を閲覧できるという状況にはなっていません。しかし、ソーシャルネットワークサービス『Google+』もリリースされ、今後の可能性としては充分ありえるでしょう。
こうして見ていくと、Googleがミッションとして掲げる「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」ということが、どんなことを意味しているのか少しイメージがわいてきます。裏を返せば、Googleは「世界中の情報」と「世界中の人々のアクセス」のインフラを握ろうとしているわけで、ひとつの企業が展開するサービスに日々依存を高めていくのはちょっと怖くもあります。かの有名なGoogle社是「邪悪になるな」(Don’t be evil)をしっかり守り続けていてほしいものですね。
京都在住の編集・ライター。ガジェット通信では、GoogleとSNS、新製品などを担当していましたが、今は「書店・ブックカフェが選ぶ一冊」京都編を取材執筆中。
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