忙しくても“ほしい情報”を効果的に収集する「選定」「習慣化」「ノイズ」3つの方法
こんにちは、佐藤慶一と申します。
普段はビジネス系Web媒体の編集者をしています。仕事柄、ネットを通じて大量の情報に触れているのですが、あるときから、このままではパンクしてしまう、と感じました。以来、自分にフィットする情報収集(と発信)を考え続けてきました。今回、そのエッセンスを紹介したいと思います。
現在、スマートフォンやSNSの普及により、文字通り「情報爆発」の時代が訪れています。ニュースアプリやキュレーションメディアの台頭は、さまざまな質・量の情報に接する機会を増やしてくれました。
しかし、大量の情報が流れる中で、自分がほしい情報にたどりつくのはむずかしいことです。検索サービスやSNSのパーソナライゼーションで徐々に自分の関心に近い情報と出会う可能性は高まるのかもしれませんが、そのパーソナライゼーションの根底にあるのは、あくまで過去の行動をもとにしたデータであり、現在や未来の関心・気分にマッチする情報を手に入れることはできません。
本記事では、日々忙しいビジネスパーソンの方々が効率的・効果的な情報収集を行うため、自分がほしい情報の種類を知ることで、必要な情報に出会いやすくする方法を紹介します。
無数のツールから情報源を「選定」する
まずは情報の種類について。ひとくちに情報といっても、手元にあっていつでも参照できるストック情報と、SNSなどリアルタイムに流れてくるフロー情報の2つがあるといえます。そこで、自分が求めているものが「ストック」か「フロー」か判断することが必要になるのです。ストック情報がほしいのにSNSやニュースアプリばかり見ていても、出会う可能性が低いからです。情報を発信するWebサービスやWebメディア、ブログなどは増え続けており、ほしい情報は手元に近づくばかりか見つけにくい状況にあるといえます。情報の種類と、情報を取得するためのツールの選定は、セットで考えなければいけません。
また、情報をどのようにチェックしたいのか、というのも重要なポイントです。ここではフロー情報を例に大まかに「広く浅く」「狭く深く」と分けてみましょう。
時事ニュースなど、リアルタイムのフロー情報を広く浅くカバーしたいなら「SmartNews」「antenna」などのニュースアプリやキュレーションマガジン、「Yahoo! ニュース」「livedoorニュース」などのポータルサイトにアクセスするのがベストです。
狭く深くカバーしたいなら、専門的なWebサイトにアクセスしたり、SNSのアカウントをフォローすることで効率的にほしい情報に出会うことができます。たとえば、スポーツなら「Number Web」、読み物なら「cakes」、エンタメなら「ナタリー」など、情報のトーンや深さ、更新頻度などをもとに自分と合うサイトを選ぶことが大切です。より狭く深く、ということであれば、個人のメルマガをはじめとする有料メディア・コンテンツがあります。
情報収集を「習慣化」するために
情報の種類を理解し、最適なツールを選定したあとは「習慣化」を目指しましょう。習慣化するにはまず、情報収集の方法を「能動的」か「受動的」かに分けて考えます。
自分からニュースアプリやWebサイトにアクセスするのは「能動的」な情報収集です。習慣化するには、普段づかいしたいアプリをスマホのトップ画面に置いたり、PCであればブックマークに入れたりなどの工夫が必要となります。ただし、使うアプリやブックマークの数が増えていくと、習慣化が崩れやすくなり「理想の情報収集」の実現がむずかしくなります。
一方、メルマガやプッシュ通知などは、自分から情報を取りにいかずとも勝手に送られてくる「受動的」な情報収集となります。メルマガであればメールの受信トレイに、プッシュ通知であればそれぞれのニュースアプリに情報が届きます。この方法は、自動的に情報が届くので、チェックするかどうかは自分次第となります。
「能動的」か「受動的」か。自分のライフスタイルや得手不得手に合わせて、適切な方法を把握することが大切です。そして、情報収集が習慣化したあとも、新しい情報源を探したり、ストック/フロー、能動/受動のバランスを調整するなど、アップデートは続いていきます。
ただ、情報収集自体が「目的化」してしまうのは非常にもったいないとも思います。実は筆者にも、情報収集が目的化してしまった時期が長くありました。毎日ニュースアプリに目を通し、できるだけ多くのWebサイトの記事を読み、気に入ったものをコメント付きでSNSに共有していたのです。要するに、アウトプットする場所がないまま、インプットだけが過多になっていました。
そのことに問題意識を強く感じた筆者は、アウトプットの場所として「ブログ」を選びました。この2年以上、海外メディアの動向を伝える「メディアの輪郭」というブログを更新しています。海外メディアの情報は、Twitterでメディアやジャーナリストのアカウントをリスト化したり、Google アラートでキーワード(「Snapchat」や「BuzzFeed」など)を登録したりして、収集しています。前者はフローであり能動的、後者はストックであり受動的。これまで述べてきた情報や手法の種類を意識し、バランスのよい情報収集を心がけています。
こうやって単なる情報収集から「情報収集+情報発信」へと変化したことで、情報収集の習慣が確立されていきました。
「ノイズ」が情報収集をレベルアップさせる
情報収集をレベルアップさせたいとき、次にやるべきは「ノイズ」を意識的に獲得することです。
現代のネット社会は「フィルターバブル」と表現されることがあります。これは、検索やSNSのアルゴリズムによって、自分の見たい情報だけが見えるようになっている状況を指す言葉です。つまり、情報を収集する環境は心地よくなっているにもかかわらず、外部の視点や意外な情報に出会いにくくなっているのです。
より豊かな情報収集を実現するためには、自分がほしい情報だけでなく適量の「ノイズ」が欠かせないと思います。ネットを通じた情報収集の環境を整え、習慣化した前提で、その後は情報収集源のバランスを整える必要性が出てきます。そもそも、ネットだけで情報収集を完結することはいまだ不可能です。まだ、実生活で触れる情報ほど種類も量もありません。ネットに加え、紙媒体や人とのコミュニーケーションを通じた「ノイズ」な情報の収集をおこなうことで、興味関心のあるトピックに対してさまざまな角度や質、量の情報に触れることができるでしょう。
たとえば、ジャーナリストの津田大介さんは、ネットと紙と人から受ける情報収集の割合は「3:3:4」であると、ある取材で話していました。Twitterやメルマガをはじめ、ネットを中心に活動しているイメージが強い津田さんでさえ、紙と人にかなり重きを置いているのです。みなさんも、ネットを通じた情報収集を確立したあとは、ぜひ知人・友人、イベント、書店などリアルな場にも情報の接点をつくってみてはいかがでしょうか。
最後に本記事で紹介したポイントを整理したいと思います。 「ストック」と「フロー」という2つの情報の種類を理解し、それに合ったツールを見極める 自分からサービスやサイトにアクセスする「能動的」な情報収集、メルマガやプッシュ通知など「受動的」な情報収集のどちらがよいのかを考える 情報収集はオンラインで完結せず、ノイズを取り入れるようにする
今回は主に忙しいビジネスパーソンの方々に向けて、ネットを中心とした情報収集についてお伝えしました。しかし、ネットにある情報はまだリアルにあるそれのほんの一部です。ネットでの情報収集を習慣化することに加えて、紙媒体やイベント、人にも情報を求めるようにすれば、より豊かな情報収集に近づくのではないでしょうか。
著者:佐藤慶一(id:kana-boon)
編集者。1990年生まれ。新潟県佐渡出身。出版社でWebメディアの編集をしながら、海外メディアの最新動向を伝えるブログ「メディアの輪郭」を運営中。
Twitter:@k_sato_oo
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