Album Review: 未来の沖縄音楽シーンを担う新星ネーネーズによる意欲作『ディッカ』
オキナワン・ポップスにおいて、ネーネーズはとてもユニークな存在だ。民謡の大家であり、同時にコンテンポラリーな沖縄音楽を追求してきた知名定男のプロデュースにより、1990年にデビュー。沖縄における女性コーラス・グループといえば、彼女たちというくらいの存在に成長した。メンバーチェンジを行いながら昨年は結成25周年を迎え、平均年齢が20代前半という若返った新布陣でセルフ・カヴァー作『reborn』をリリースしてメジャー復帰。そして、その流れでいよいよオリジナル・アルバム『DIKKA』が発表された。
本作には、コンテンポラリーなサウンドを取り入れた作品が充実している。のっけから、ラテンのリズムを取り入れた「HEY MAN」で始まるのはインパクトが大きい。続く「島酒の唄」では、BEGINの島袋優によるブルージーなギターが響き、ファンキーな「ちゃーびらさい」には、かりゆし58の前川真悟がラップ調のヴォーカルで新たな血を入れる。初代ネーネーズはライ・クーダーと共演するなどジャンルを超えた活動が話題になってきたが、その伝統を見事に受け継いでいるといえるだろう。エルヴィス・プレスリーのカヴァー「好きにならずにいられない」を沖縄言葉でさりげなく披露するところも、彼女たちの柔軟な姿勢をあらためて実感できる。
また、メンバーのひとり、世持葵が2曲ソングライティングでクレジットされることにも注目したい。彼女たちはただ歌うだけでなく、クリエイティヴにも関わっていることで、大きな将来性も感じられる。若いからといって侮ってはいけない。未来の沖縄音楽シーンを彼女たちに託すのは、もはや当然といってもいい。そんなことまで考えさせてしまう意欲作なのだ。
Text: 栗本 斉
◎リリース情報
『ディッカ』
ネーネーズ
2016/01/01 RELEASE
3,240円(tax incl.)
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