民主・馬淵氏「東電の原発は国有化すべき」 ニコ生出演・全文書き起こし

馬淵澄夫氏

 民主党代表選出馬の意向を固めている馬淵澄夫前国土交通大臣は2011年8月18日、ニコニコ生放送「田原総一朗談論爆発!」に出演した。馬淵氏は景気回復・経済政策を多く語る中で、東日本大震災からの復興を目指す中での「増税」に対しては否定的な見解を示し、代表選のライバルである野田佳彦財務相との違いを明確にした。また大連立についても「連立ありきではダメ」と慎重な姿勢を見せた。さらに東電の原発については「国有化すべき」との考えを示し、「使用済み核燃料」の問題にも言及。自治体間取引の可能性などについても触れ、「国民全員が原子力に向き合わなくてはいけない」と主張した。

 以下、馬淵氏と番組の司会を務めたジャーナリスト田原総一朗氏のやりとりを全文、書き起こして紹介する。

・[ニコニコ生放送] 田原総一朗 談論爆発! ゲスト:馬淵澄夫 前国土交通相 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv59896808?po=news&ref=news#0:01

■代表選立候補に必要な20人の推薦は集まった

田原総一朗氏(以下、田原): 田原総一朗です。よろしくお願いします。

馬淵澄夫氏(以下、馬淵): よろしくお願いします。

佐々野宏美アシスタント(以下、佐々野): 馬淵前国土交通大臣のプロフィールをご紹介させていただきます。馬淵議員は奈良県奈良市ご出身で、現在50歳。大学卒業後、5年間のサラリーマン生活の後、上場企業の役員を経て、2003年11月に衆議院議員に初当選して政界入りを果たしました。その後2005年に起きた「マンションの耐震偽装問題」では、証人喚問などでの鋭い追及で一躍脚光を浴びています。そして、民主党が政権交代を果たした2009年の鳩山政権時代に国土交通副大臣に就任。翌年の菅第1次改造内閣では、国土交通大臣、内閣府特命担当大臣、沖縄および北方対策就任で初入閣を果たしました。しかし、「尖閣諸島映像流出問題」が起こり、参議院で提出された問責決議案が可決。今年1月に行われた内閣改造に伴い、大臣を退任されています。そして、プライベートでは、なんと6人のお子さんを持つお父さま。趣味のボディビルで鍛えた肉体と精神力で民主党を支えていらっしゃいます。

田原: よろしくお願いします。馬淵さん、6人のお子さんがいらっしゃる。男何人、女・・・。

馬淵: 1男5女です。

田原: 1男5女。一番上はおいくつか。

馬淵: 大学4年生で、一番下は小学校6年生。息子は4番目だから、今高校2年生。

田原: その大学にいる娘さんは、馬淵さんが(民主党代表選に)手を挙げる事に賛成か、反対か。

馬淵: うーん、何も言わないけれど、心配している風だ。

田原: 心配している。そこでちょっとお聞きしたい。(代表選に馬淵氏を)推薦する20人は集まったか。

馬淵: はい。今さらに拡大を目指している。

■復興へ向かう中で「増税」は無い

田原: もっと拡大を。しかし僕は、6人子供がいるだけで国民栄誉賞ものだと思う、この時代にね。ところで馬淵さん、今手を挙げる、それは当然民主党の代表になる、そして総理になる、首相になるわけだが、まず何をやるか。

馬淵: まず、復興。復興と原発収束という危機管理。これは徹底してやらなければダメだ。これをまず実現をした上で、15年間デフレが続いて、結局何をしようにもこの国の財政負担ということで、今予算措置もできなくなっている。まず一に経済、景気回復。ここを徹底的にやる。デフレ脱却、景気回復。

田原: 原発も聞きたいが、まず景気回復からいきたい。例えば東日本の復興のために大体、金が20兆くらいいると。10兆は復興国債を出す。あとの10兆をどうするかで、これを税金にしよう、あるいは消費税にはしないけれども、例えば法人税とか所得税でやろうという声がある。この辺は馬淵さんはどうか。

馬淵: 今ご指摘の10兆円ほどというのは、13兆円と政府は試算しているか。少なくとも19兆円と、向こう5年間という中ですでに6兆円が使われているので、13兆円の財源を確保しなければならないということで、今増税の話が出ている。私は常に申し上げているが、復興という状況の中で、これは当然震災があって復興なのだから、経済に大変厳しい状況が起きているわけだ。その時に増税を持ち出すというのは、先ほど申し上げた景気回復には全く逆に向いてしまう可能性がある。

田原: デフレだからね。

馬淵: デフレだから。

田原: 景気が悪い時に、さらにこれで増税したら、景気はもっと悪くなる。

馬淵: これは悪くなる。増税というのは、景気の回復局面の時に打つべきだというのは、内閣府も財務省も今までの報告書の中で常に言ってきている。ここで増税というのは、私は無いと思っている。過去を見ても、阪神淡路(大震災)の時にも、増税という手当てはしていない。当然ながら、復興という厳しい状況の時には、これは長い期間を考えて、償還期間を60年、50年、40年、長い期間を考えた国債を発行するべきであって、今なぜ10年だとか・・・。

田原: 今の復興国債は10年なのか。

馬淵: 10年、あるいは5年というところから議論が始まっている。これを短期間に終わらせて、その間、皆で負担しようと言っているけれど、私はそれは違うと思う。

田原: 負担するというのは、増税ということだ。

馬淵: 増税ということ。実は復興というのは、阪神淡路も16年かかった。東日本大震災は本当に町のインフラすべてを失った。阪神淡路の時には、建物は崩れた。しかし、働く場所は周辺、大阪の大都市もある。働く場所はある意味確保することは可能だった。今回は働く場所すらない。

田原: 働く場所もないし、阪神淡路は復興ではなく、復旧でよかった。倒れた家を建てれば良かった、壊れた道路を直せばいい。今度は津波ですから、元の所に建てたのでは意味が無い。

馬淵: すべて失ったところを立て直していく、復興していく訳だから、これは10年なんてスパンで考えるべきではない。

田原: 復旧ではなくて、本当に復興なのだ。

馬淵: そうだ。戦後60年以上かけて作り上げた町を消失したわけだから、改めて作るためには、長い時間かかることを覚悟して。

田原: どのくらいかかるか。

馬淵: 30年、もっとかかるかもしれない。あるいは逆に短くできるのかもしれないが、少なくとも複数世代に渡って、おじいちゃんから息子、孫の世代にまで渡って、その町づくりを委ねていく。本来はそういう考え方を持つべきでないだろうか。

田原: ということは、30年かかるとすれば、復興国債は10年、5年なんて言ってナンセンスだ。

馬淵: 私は全く分からない。

田原: 何でこんなことを言っているのか。

馬淵: イメージするには、「増税ありき」ではないかと思う。

田原: 先に増税ありき。

馬淵: ではないのかと。

■ライバル野田財務相との違いは明確

馬淵澄夫氏

田原: 名前出すのは悪いけれど、(民主党代表選に出馬意向の)野田(佳彦)財務大臣は増税ありきと言っている。

馬淵: とにかく、今こうした短い期間で財源を確保しようとする考え方というのは、私は増税を前面に打ち出している以外、何ものでもないとこう思っている。

田原: 野田さんはなぜ増税と言っているのか。

馬淵: 財務省は、やはり「財政健全化」ということが一番重要だと考える役所だから、「財政健全化」に対しては批判もしない。必要だと思う。ただし「今ではない」ということをずっと申し上げている。

田原: 野田さんは、財務省から相当責っ付かれて言われているのか。

馬淵: 財務大臣でいらっしゃるので、財務大臣として「財政健全化」ということを大切に考えておられるのかもしれないが・・・。

田原: 財務大臣ではない。民主党の代表になって、総理大臣になるんだ。総理大臣になったのに、財務大臣のままだと困るじゃないか。

馬淵: 私は自らの思いで、景気回復を一番に掲げたいのだということを申し上げている。申し訳ないけれども、野田財務大臣のことがどうかということは、私の中では言う立場にないと思っている。

■小泉政権の「量的緩和」は不十分だった

田原: それにしても失われた20年、つまり90年からずっと景気悪い。なんで90年から景気は悪くなって、良くならないのか。どこに間違いがあるのか。

馬淵: 私は98年からのデフレ状態、これが一番大きいと思っている。98年から15年間に渡って、今日までデフレが続いている状態。このデフレに対しては、当時2001年から2006年の5年間、「量的緩和」という金融政策を打った。

田原: 2001年から2006年まで、5年間。

馬淵: 5年間。この「量的緩和」を打って、若干景気の回復が見られたということで、そこでまた金融引き締めを行った。「量的緩和」を解除した。

田原: この2001年から5年間というのは、小泉(純一郎)内閣だ。

馬淵: そう。

田原: 小泉内閣のやったことは良かった?

馬淵: ただし、不十分だった。

田原: 何が不十分だったのか。

馬淵: この「量的緩和」の中身だ。本来「量的緩和」というのは、中央銀行が当座預金に残高を積み増ししていくこと。そしてそれは長期国債、長い償還期間の国債を持つことによって、ある意味安定した国債だから、それを買い入れることによって積み上げた残高から、銀行がお金を貸し出しに動いていくという、そういう仕組み。「総需要」と呼ばれる一般の人たちが、消費に向かう方向性を後押ししようという政策だ。

 ところが、当時の5年間の長期国債のその中身を見てみると、残りの残存期間が1週間だったり、あるいは半年だったりと、長期国債と称しながらも、1年未満の残存期間のものが大半だった。つまり、本来世界で言われている「量的緩和政策」とは似て非なるもの、中身が「長期国債買いオペ」という形の金融緩和になっていなかったというのが、私は最大の問題だと思っている。

■「聖域」は民主党政権に替わっても生まれた

馬淵澄夫氏

田原: もう一つ、今の負債がとても多い問題。民主党が政権を取った。馬淵さんのせいではないけれど、鳩山(由紀夫)さんが、自民党の予算は無駄が多いと。民主党が予算を作れば、まず初年度「7兆円」、次年度は「12兆何千億」(の無駄)を減らすと言った。全く減っていない。何でこういう嘘を民主党はつくのか。

馬淵: 全体として数字が達成できていないことは、真摯に反省しなければいけないと思う。でも、例えば私や当時の前原(誠司)大臣と一緒にやった国土交通省では1年目で、4年間で達成するという公共事業費の削減を実現した。

田原: いくら?

馬淵: 1兆円。つまり15%削減を実現した。4年間で達成すべき目標をわれわれはやった。

田原: 国土交通省はやったのに、ほかはどうしてできなかったのか。

馬淵: ここが問題だと思う。結局、民主党政権に替わっても一部で聖域が生まれてしまってはいないか? ということ。

田原: 聖域とは。

馬淵: 手がつけられないところ。

田原: それは例えば?

馬淵: 例えば、社会保障の問題。これも本来は見直しをかけなければならない部分があるかもしれない。

田原: 厚生労働省だ。

馬淵: あるいは、そのほか予算が増えたところというのは、やはりそういった見直しが必要だと思う。国土交通省に関しては、1年目で15%削減と、これは大変な数字だった。小泉さんが今までシーリング(概算要求基準)をつけたのは3%減だった。公共事業を3%減らすために大変な騒ぎだった。でも、われわれは1年目でやった。だから、やろうと思えばできることがまだあるはずだ。

田原: やろうと思えばできるのに、他の省庁は全くやらなかった。なぜか?

馬淵: いや、やろうとされていたかもしれないが、十分に結果を出せなかった。

田原: なぜ、できなかったのか。

馬淵: それこそ組織のマネジメントにかかわるかもしれない。

田原: 馬淵さんに期待しているから言いたい。やっぱり今、国民の多くはもう民主党に期待していない。民主党は嘘ばっかりついていると。

馬淵: はい。

田原: 国土交通省はできたけど、ほかはできなかった。これはなぜだと思うか。

馬淵: 役所をうまくコントロールすることが難しかったのかもしれない。

田原: 難しいとはどういうことか。

馬淵: いくら政治がリーダーシップを持って「やれ」と命じても、その通りに動かなければ結果は出せない。私は他の役所のところの仕事の中身までつぶさに見ているわけではないので分からないが、少なくとも国土交通省においては――自分のところだけれども、役所の局長以下、彼らが出してくるものに対して、われわれ政務三役が真剣に向き合って、「もっと削れないのか」とか、あるいは「こういう部分は無駄ではないのか」、必要な部分は「これは必要だよ」ということをやり合った。あれほど激しいやり取りをやった役所は、少なくとも国土交通省という中で言うと、「結果を出せた」と思っている。ほかが(結果を)出せなかったのは、私は中にいないから分からない。でも、相当抵抗があるのは事実だから、そこに対峙する中で、大変な苦労があったのではないかと思う。

■日銀に強い態度で臨み、政策目標を共有する

田原: なるほど。もうひとつ、さっきの続き。小泉さんの時にちょっと景気が良くなったけど、すぐダメになってしまった。それから全然良くならない。これはなぜか。

馬淵: 先ほど申し上げたように、デフレを放置している状況だからだ。

田原: 放置するとはどういうことか。

馬淵: 日銀を含めて。これは中央銀行の金融政策しかないから、ゼロ金利を解除し、量的緩和を解除して、今日までダラダラと1%未満のデフレがずっと15年間続いているわけだ。だからここは、徹底的な金融政策、量的緩和を断行する以外ない。

田原: 例えば、今日本は大変な円高だ。誰が考えたって、日本は独歩高だ。ユーロが落ち、それからもちろんアメリカも落ち、日本は独歩高。普通に考えても、日銀はもっと円を刷れよと。なんで日銀は刷らないのか。

馬淵: 伝統的金融政策の中で、なかなか彼らには受け入れ難いものがあるということだと思う。日銀の方はよく、「頑健性」ということを仰る。

田原: 「頑健性」とは?

馬淵: 「伝統的な政策であるものはしっかりしている」ということだろう。量的緩和などというのは、非伝統的な政策だから、これはなかなか簡単に踏み出せない。そういう心理が働いているのだろうか。

田原: これを聞くと馬淵さんはちょっと困るかもしれない。日銀を変えたらどうなの?

馬淵: 仰る通りだと思う。

田原: 政府がやっぱり、今はどうしたってもっと円を刷るべきだ。今、日銀は独立していて「刷れ」と財務省が皆言っても全然刷らない。これは変えたらどうだろう。

馬淵: 日銀法の改正というのは当然出てくると思う。

田原: 馬淵さんはどうするか。

馬淵: 私が先にやらないといけないと思っているのは、法律改正となると、ねじれ国会の中でなかなか、またそれが政局化してしまう可能性がある。だから法律を変えなくても、まず今できることは何かということをすべて出していく。

田原: 日銀がこんな円高なのに円を刷らない。具体的にどうすればいいか。

馬淵: これはもう長期国債の引き受けも含めて、決断していただくことだが。

田原: どういうことか、具体的には。

馬淵: 具体的には、日銀総裁に対して、時の総理が「政策目標を一致させよう」ということをはっきりと・・・。

田原: 具体的に。

馬淵: 長期国債の買いオペを実施する。

田原: 日銀が買えと。

馬淵: 買う。

田原: 「長期国債を日銀が買え」。馬淵さんが首相になったらやると。

馬淵: 日銀が独立していると言うけれども、しっかりと総理が政府の政策目標として、日銀総裁と共有するという強い態度で臨む以外ないと思う。

田原: 今の菅さんは全然ダメだけども、馬渕さんがなったらやると。

馬淵: これはまず第一にやらなければいけない。日銀総裁と向き合って。その時に使えるツールは、「経済財政諮問会議」というのも一つかもしれない。これは小泉・竹中(平蔵)路線のまるで残滓のように言われるけれども、ある意味、内閣(府)設置法の中で法定された制度だ。法律としてこれは決まった仕組みだから、そこに日銀総裁もやってくる、関係閣僚はいる、経済人も入る中で、しっかりと政策目標を共有するという非常に重要な場になり得る。

田原: これはやると。

馬淵: だから私は、先ほど申し上げたように、「今あるすべて使える道具は使う」というのが、この、時の経営者たる総理が行うべきことだと思う。

■「節電」を「我慢」ではなく「産業政策」に

田原総一朗氏(左)と対談した馬淵澄夫氏

田原: もうひとつ、今何人かが手を挙げてこの(民主党)代表選、そして総理選を狙っているけれど、ちょっと内向きになり過ぎている。この前ASEAN(東南アジア諸国連合)の会議が行われた。インドネシアで行われたけれど(主要)6カ国とも、特にインドネシアが「日本、もっと協力しろよ。もっと出てこいよ」と、「なんで日本は全然協力しないのか」と(言っていた)。インドネシアは2億6千万(人)で発展している。なんで日本はこんな消極的なのか。

馬淵: 一にも二にも、国内経済・・・。

田原: 国内経済がダメならもっと出て行くべきだ。

馬淵: 企業にどんどん(国外に)出て行ってもらいたいという、その思いを政府は今まで持っていたと思う。ただし企業にそれだけの体力がなければ、出て行けない。リスクを冒してまで、なかなか出て行けない。だから私は順番としては、まず国内経済に対して本気で変えていくぞ、景気回復させるぞと。

田原: どう変えるのか。

馬淵: これはもう、先ほど申し上げたように「デフレ脱却」「金融緩和」だ。

田原: さっきの円を刷るのはいいけど、ほかに何をやるか。

馬淵: もう一つは、産業政策として「エネルギー政策」を私は大きく転換させるべきだと思う。

田原: どういう風に。

馬淵: コスト構造を変えていく。一つは、「発送電分離」と言うと、いきなりそれが全部変わるかという話になってしまうけれど、今原発が止まっている中で、電力の需給問題が大変課題になっている。供給が減ってきた、電力が減ってきた。では、その時に「皆さん我慢して下さいね」という節電の話が出てきているが・・・。

田原: そんなことをしたら、企業がどんどん出て行ってしまう。

馬淵: 出て行ってしまう。だから私は節電を「我慢」という位置付けではなくて、ある意味「産業政策」に置き換えることが必要だと申し上げている。例えば、需要をしっかりとコントロールするという意味で、「蓄電池」。この蓄電池というものを、どんどん家庭に配備できるような政策を打ち出していく。

田原: 太陽(太陽光発電)にしたって風(風力発電)にしたって、そういうのは全部「蓄電池」が必要なんだ。

馬淵: 蓄電池が必要。あるいは、どういう風に今電力が使われているかというのを、リアルタイムで逐次知るための「スマートメーター」という新しい技術もある。これはインターネットと接続させて、それこそ家庭や事業者が自分たちの使い勝手を変えていくというもの。具体的に何がダメなのかが目に見えるわけだから、それで需要を減らしていく。これは、自分たちが我慢する話ではない。新しい機器や新しい機械や新しいサービスを必要とする。そこに政府が「後押し」をする。

田原: 「後押し」をするというのは金を出すということか。

馬淵: いろんなやり方があると思う。いま電力の「買取制度」の話があるが、例えばそこの買取制度の中に含むという方法だってあるかもしれない。逆に言うと、もうこれは完全に「国の支援」ということで、蓄電池やあるいはスマートメーターの設置に対して、補助を出していくという手もあるかもしれない。金額がそれほどかからずに、需要を下げてコントロールすることができる。こういうことをやっていくと、まさに「エネルギーの世界で大きく転換を図る」というメッセージにつながる。

■電気代は上がるのか?

馬淵: 次に大事なのが、先ほど申し上げた発送電分離も含めて、全体の電力のコストをどう下げるかということ。そこにメスを入れる。

田原: そこなんだ。これも具体的に聞きたい。新エネ法(新エネルギーの利用等の促進に関する特別措置法)が(衆議院を)通る。参議院も通る。この新エネ法というのはつまり、企業なりあるいは個人も含めて、作った電力を全部電力会社が買う。値段はいくらか?

馬淵: 40円ほどか? 43円か?

田原: 今43円。

馬淵: 段々下がっていく。

田原: だけど企業は43円で買うか? もし43円なんかで電力会社が買ったら、電気料金を上げないといけない。それこそ1カ月に150円、200円上がる。上がってもいいか。

馬淵: 今回はとりあえず、この法律を通してということでやるけれども、このエネルギー再生について・・・。

田原: 特に聞きたいのはね、新聞などに「新エネ法通す」ってあるが、「いくらで買い取るんだ」ということが全く出てこない。

馬淵: 一応、細かい数字が出ているはず。

田原: いくらか?

馬淵: 段階的に下がって行くから・・・。

田原: 例えば太陽(太陽光発電)はいくら?

馬淵: 申し訳ない。細かな数字は持ち合わせていないけれども、40円弱、39円くらい・・・。

田原: だから40円で買っていいのか? そんな高いの買ったら、電気料金が跳ね上がると思う。

馬淵: 再生可能エネルギーを今後進めていくために必要なステップとして、今回は法律として通していただくことが前提になっている。

田原: 繰り返し言うけれども、電気料金が上がってもいい?

馬淵: いや、電気料金を、全体をそれで上げることが目的ではない。

田原: だって上がるよ、これは。

馬淵: 何度も申し上げるように、そこで全体のコストを下げていくために、発送電分離をはじめ、総括原価方式の見直しをはじめ、まさに電力のあり方そのものを大きく変えていくことに踏み出さないといけない。それをいきなり「9電力体制の解体」と言ってしまうと、これはもう、にっちもさっちも動かなくなると思う。

■東電の原発は国有化すべき

馬淵澄夫氏

田原: いま例えば民主党の中にも、原発部分は国有化したほうがいいんじゃないかという話がある。馬淵さんは?

馬淵: 東電に関しては、まず真っ先にやるべきではないかと思う。

田原: 事実上の国有化はね。JAL(日本航空)みたいなものになってしまう。だって賠償を、弁償を国が税金でやるのだから。東電だけが国有化して、関電とかほかはそのままでいいのか。

馬淵: いえいえ、これはまず順序。何でもすべていっぺんに終わらないから順番だ。その順番、プロセスが重要だということをいつも申し上げている。東電に関しては福島第一・第二。第一は事故を起こした。第二も停止状態。一方、柏崎刈羽というのがある。この3つに関してはひとつのパッケージにして、東電から原発を切り離すということが、私は考え方として可能だと思っている。じゃあ、今事故を起こしていない他の電力会社の原発はどうするのかという議論は当然出てくる。ここに関しては、民間の会社、事業者だから、取り上げる・召し上げるという話ではない。

田原: 株主もいるわけだし。

馬淵: だからここは、原発のあり方そのものを国としてどう実施していくのかを示さないと、全部切り離せという話にはならない。順番が大事だというのはそこだ。東電に関してはご理解いただけるかと思う。それを切り離した上で、じゃあ、そもそもわれわれは原発に対してどう向き合っていくのか。脱原発依存という話を私はしてきた。脱安全神話ということも言ってきた。でも原発がゼロに今なったとしても、消えない問題がある。それはバックエンド問題と称される「使用済み核燃料」の話だ。

田原: そこだ。それを聞きたい。仮に原発ゼロにしても、いま全国の電力会社の原子炉には、使用済み核燃料がいっぱいある。これは六ヶ所村(青森県上北郡六ヶ所村にある六ヶ所再処理工場)で中間処理はやると言っている。つまりガラス(固化体)状に。これもうまくいってない。最終処理なんて考えてもいない、場所もない。脱原発するとしても、最終処理までちゃんとやらないといけない。どうするのか。

馬淵: この最終処理というのは確かに3段階あって、仰るように再処理と中間貯蔵と最終処分とある。今世界のすう勢は最終処分を考えるよりも、中間貯蔵――「Wait and See(成り行きを見守る、静観する)」と言うけれども、向こう60年、70年間安定した状態で中間貯蔵しながら、この使用済み核燃料の「核種」と言われる核の半減期を短くするような技術開発、こういったことに特化していこうという流れだ。

■われわれは核と生きていかないといけない

田原: 具体的に聞くと、中間貯蔵はやはり六ヶ所村でやるのか?

馬淵: これも、私はいろんな議論があると思っている。今六ヶ所村は一つのモデルケースになるかもしれないが・・・。

田原: いっぱいだよ、もう。

馬淵: 今燃料プールの中に(使用済み核燃料が)ある。これは中間貯蔵でも何でもない、仮置きだ。これについて全国の自治体はそれぞれ享受してきたわけだ、電力の供給で。じゃあ自治体は、自らの判断で中間貯蔵をやると選択できるのかということを、それこそ国民的議論として問うていかないとダメだと思う。

田原: ということは、六ヶ所村を言ってみれば全国に作れと。九電も作れ、関西電力も作れと・・・。

馬淵: いや、仮にだが、だからまさに政治が責任を持って動かないといけないところだが、国民的議論となった時に皆さん仰るのは「自分のところは嫌だ」と。そういう話が出てくるだろう。

田原: 総論賛成、各論反対だ。

馬淵: 皆さん、「絶対自分のところは嫌だ」という話になるだろう。そこで、では受け入れ可能な自治体はあるのか? ということになってくる。場合によっては青森は六ヶ所村もあって、受け入れることは可能だという、いわゆる「自治体間取引」だって選択肢に出てくるかもしれない。だから「われわれは原子力に向き合わなくてはいけないんですよ」ということをまず認識しないといけない、国民全員が。原発ゼロを訴える方におかれても、われわれは核と切り離して今から生きていくことはできない。だからゼロという話を今議論するのではなく、われわれは核と生きていかないといけない。原子力技術については、これを無くすなんてことじゃなくて・・・。

田原: 10年20年は少なくともまだ共存しないといけない。

馬淵: (共存しないと)いけない。だからこれをしっかりと行う、持ち続けて再処理や凍結をする。

田原: 具体的に聞きたい。六ヶ所村以外にああいうところを、あちこちに作るのか、作らないのか。

馬淵: これは自治体の判断も当然必要になってくるが、簡単ではない。

田原: 簡単ではない。

馬淵: まあ大反対が起きて・・・。

田原: 簡単ではないけど、どうするのか?

馬淵: 繰り返し申し上げるように、六ヶ所村も含めて、私は「自治体間の取引」というのも一つだと思っている。国がどこに作れというよりも、国民全員が自分たちが享受してきたわけだから、その責任を自ら考えた時に、初めて答えの出し方というのが出てくると思う。国が「どこに作れ、お前のところは我慢しろ」と今までずっとやってきて、しかも札束ではたいたような形なわけだ。これがダメだと言われてきた。もう一度真剣に考える。こんなことをやってきたのであれば、本当に責任を持って請け負わなきゃいけないと思う住民の方々、自治体が出てくるかもしれない。それができないと言われるところは、「いいよウチで受けてあげるよ」というところが出てきた時に、自治体間取引の可能性もあるかもしれない。

田原: いや、ちょっと今の馬淵さんのは納得できない。下手すると鳩山さん(鳩山由紀夫氏)になるな・・・。

馬淵: いや、私はだから・・・。

田原: 鳩山さんは、普天間の基地(米軍の普天間飛行場)を県外に置くと言った。県外はいっぱいあるからどこかに置ける、(と言っていたが結果的に)どこにも置けなかった。どうする? 今の(発言)は、ややその曖昧さがある。

馬淵: いや、だから、私が申し上げているのは、それくらいまず自らのことを考えないといけないと。六ヶ所(村)というのは一つの選択肢になる。だけど今ここで、じゃあ六ヶ所があるから六ヶ所にしなさいという話を、ここで国民の責任が曖昧なままでやっていいのかという議論だ。

田原: 少なくともその通り。

馬淵: 私はとにかく国全体、国民全員が自分のこととして受け止めなければならない。普天間の話をされたが・・・。

田原: あの、ちょっと提案したい。今の(使用済み核燃料の)最終処理、中間処理を含めて、あるいは原発を国有化するかどうかを含めて、いろんなことを。中曽根(康弘)さんが臨調(臨時行政調査会)をやった。原発臨調をやったらどうか。例えば馬淵さんが、本当に。原発臨調に自民党が入るかどうかまだ聞かないが、やったらどうか? 本当に、本気で。馬淵さん以外の手を上げている人は誰も言っていない。

馬淵: 繰り返しになるが、原子力からは切り離せない。逃げられない。

田原: だから臨調を作ったらどうか。

馬淵: 一つの方法だと思う。

田原: あまり(その案には)乗らない?

馬淵: いえ、今私は細かな政策は外を向いてほとんど言っていないが、一つの案だと思っている。自分なりに考えている中の一つではある。

■大連立ありきではダメ

馬淵澄夫氏

田原: もう一つ。野田さんが「大連立」ということを言った。自民党、公明党と。これは馬淵さんはどうか?

馬淵: 大連立というのは世界のすう勢を見ても、いわゆる第一党が過半数を持たないがゆえに作られる政権の枠組み、構造だ。民主党は政権政党として、衆議院では過半数を持っている。

田原: 圧倒的多数を持っている。

馬淵: であるならば、われわれは国会という場を使って、政策協議をしながら、一つ一つ課題を解決していくのが本来の道筋だと思う。ただし、結果としての連立を否定はしない。大連立ありきでやると、結局は野党はハードルを上げてくるだろうし、また投票した側にすれば「一体何だったんだ」という気持ちに多くの有権者が陥られるかもしれない。

田原: われわれは民主党を選択したのに、大連立するなら、それはもう選挙の違反だろうと。

馬淵: (そういう)気持ちになられる方も多数出てこられるだろう。

田原: もう一つ。自民党が大連立したければ、谷垣(禎一)総理ならやってもいいなんて(言っている)。

馬淵: だから、そもそも「(大連立)ありき」だと、そういう議論になってしまう。私は大連立ありきではダメだと。まず政策協議をやる以外はない。

田原: そこで聞きたい。つまり自民党といえども、東日本大震災の復旧・復興、これは足を引っ張る気はないと思う。ここは協力すべき。その場合はどういう協力を自民党にしてもらえばいいのか。あるいは公明党に。

馬淵: 今少なくとも復興に関しては、三党合意もあって進んでいるわけだから、ここは粛々と進めていくことではないだろうか。

田原: 粛々と進める時に、やっぱり自民党から大臣を入れるなんてことはしない?

馬淵: そういった「大臣を入れなければ動かない」という状況が生まれるかどうかだ。私はもう既に平野(達男)復興担当大臣がきちっと復興基本計画の基に、自治体からの計画を基に物事を進めようとされているから、今ここで立ち止まってしまうような、行き詰ってしまうようなことは起きないと思っている。

■中央の力を地方に――官僚も意気に感じている

田原: もう一つ。例えば明治維新の時には、幕藩体制を壊して皆が政治に参加できる体制にした。それからアメリカに負けた時には、それまでの軍国主義日本を捨てて民主主義日本になった。実は僕は今度の3.11(の地震)で、今度も何か変わるんじゃないか、変えないといけないんじゃないかと思っている。さっき馬淵さんが仰った、例えば津波の問題もあって、陸前高田とか気仙沼とか、例えば阪神淡路(大震災)の時の「復旧」ではなくて「復興」だと。本格的復興をしなくてはならない。同じところに建てたら流されちゃうから。復興するとなると、地域によって全部事情が違う。だから僕は中央集権をなくすチャンスだと思う。これはどうか?

馬淵: 仰る通りだと思う。まさに東日本、東北が新しい街づくり、それも少子高齢化の中でどういう住まい方をするべきなのかということが問われている。街が失われてしまったわけだから、新たな構想が作れる。ある意味、日本全国に波及する新しい都市のモデル、農村のモデル、あるいは漁村のモデルが作れる。そこは一生懸命自治体が復興計画を作り、それを中央に上げて取りまとめていこうという作業をやっている。これはいろんな形で各役所が自前の部隊を送り込んでやっている。

田原: 国家公務員、官僚を地方にもっとガンガン送ればいい。

馬淵: まさに仰る通りで、私は今は離れているけれど国土交通省から、自治体に対して応援の人間を送っている。ただ地方の復興計画というのを、地方自治体の職員の皆さん方が細かなことまで、いわゆる都市計画の考え方を全部ご存じかというと、そうではない。

田原: 全然違う。僕は何でこんなことを言ったかというと、今こそ地方分権だと、地方主権でこの中央集権をやめようと言ったら民主党の幹部たちが、「田原さん、理想はそうだけど現実は全く違う」と(言う)。例えば陸前高田にしても気仙沼にしても、市役所とか町役場がみんなやられちゃっている、まともに働けない。本当ならば県がまとめてやるべきなのに、県が全く機能してない。どうしようもないんだと。だから例えば松本龍(前復興担当大臣)が、あの県知事や何かをぼろくそに言ったのはよーく分かると。平野さんだって今イライラしてる、全く県が動かない。どうすればいいか?

馬淵: いま中央の役所から、いろんな形で人間を送り込んで手伝っている。

田原: でも彼らには、そういう復興させるというノウハウが無い。

馬淵: 彼らとは地方の方々という意味か?

田原: そう。

馬淵: 何度も申し上げているように、少なくとも国交省からは人を送り込んで、復興計画を作っていく、さまざまなノウハウをそこに出している。もちろん国が中央から抑えつけるんじゃなくて、地方の方々の思いを受け止めて作業の手伝いをしている。これは非常に前に進んでいる。

田原: 言っては悪いけれども、陸前高田にしても気仙沼にしても、市役所で復興計画なんてやったことないと思う。

馬淵: だからこそ中央の力を、地方の皆さん方に今どんどん出している。

田原: やっている?

馬淵: やっている。

田原: やっているんだ。官僚は嫌がらない?

馬淵: いや、むしろ意気に感じている。私も東北地整(国土交通省東北地方整備局)に行って、(首相)補佐官退任後、岩手から宮城、被災地をすべて回ったけれども、市や小さな町を含めて非常にそこに入り込んで、大変自治体の皆さんにも喜んでいただいている。中央の霞が関の役人が来て、一緒になって、ノウハウを提供してくれると。私はだから、そこは現場を持つ役所の強さがあると思っている。少なくとも国土交通省はそういう形で現場を持っているから。全国の地方整備局に人間がいて、中央の役所とのパイプを持って、いろんな形で情報をやり取りしている。

田原: 国土交通省の中央の官僚が地方に行く時、誰がマネジメントするの? 誰が仕切るのか?

馬淵: 現場で? 現場は自治体だ。

田原: 仕切れないじゃない、自治体は。

馬淵: いや、そこはきちっと作っていただけるような手伝いをする。あくまでも国がコントロールするのではない。

田原: いやいや、それは分かる。だけど、それは理想ではあるけど・・・。

馬淵: 大変だけれど、それを厭わずにやっている。私は本当にこういう取り組みやってくれてありがたいと思った。整備局の皆さん含め激励させていただいて、自分は今は役所を離れたけれども、まさに今必要なこと、今最も求められることを役所として、中央官庁として、責任持ってやってくれているわけだ。だから本当にそこは素晴らしい取り組みだなと感心した。

■菅総理は本当に辞めるのか?

馬淵澄夫氏

田原: もう一つ。余計なことを聞くけれど、本当に菅さんは(総理大臣を)辞めるのか?

馬淵: それは辞められますよ(笑)。

田原: だって本人、「辞める」と言ってないじゃない。

馬淵: いやそれは出処進退を・・・。

田原: 辞めなかったらどうするか?

馬淵: 辞められますから。

田原: 辞めなかったらどうする?

馬淵: はははは(笑)。問題なくこれは辞められる前提で。私は補佐官を退任した後、翌日会ったけれど、ご本人ははっきりと仰っていた。

田原: なんで今まで粘ったのか。

馬淵: いや、粘ったのではなくて・・・。

田原: だって6月2日に辞めると言っとおいて、今までずっと粘っていた。

馬淵: やはり一定の目処というのが、ご本人の中でも、それは区切りを付けたい、けじめを付けたいというのがあるのではないか。

田原: けじめとは何か?

馬淵: 一番大きいのは特例公債(特例公債法案)。これをしっかりと通すことが一番懸念だと仰っていた。私はだから菅さんの言葉を聞いて、そのことに一番思いを致されているんだなと。これが通れば辞めるというのは、ご本人の中で決めておられるなと思った。

■小沢さんとはすでに会った

田原: もう一つ。馬淵さんは、小沢(一郎)さんという人をどう考えているか?

馬淵: やはり稀代の政治家として、今まで常に政界の中央部でおられたということは、政策のみならず選挙も政局も含めて、大変な見識をお持ちの方だと思う。

田原: 小沢さんははっきり言って増税反対だ。馬淵さんは増税反対だから、そこは一致する。

馬淵: まあ、いろんな方がいらっしゃるので。私が言ってることが、これは自分の考えと一緒だなと思っていただけるのであれば、それはありがたい。ただ、意見が食い違う所があれば、それは私は自分の考えを伝える。

田原: 小沢さんの――小沢さんではなくても、グループとは話し合いしているか?

馬淵: グループとの話し合いはしていない。

田原: 「グループ」ではなくて「人」。

馬淵: これは一対一だから、私は常に。

田原: だから一対一ではやっているか。

馬淵: はい。いろんな方と。

田原: 反応はどうか?

馬淵: 興味を持っていただいていると思う、政策としては。

田原: 興味を持っている?

馬淵: はい。興味を持って、真剣に聞いていただいている。

田原: (小沢グループは)馬淵さんがいいと?

馬淵: 決められるのは皆さんだから。でも大変高い関心を持って聞いていただいているなというのは、お話していて分かる。こいつ何言ってるんだという顔ではない。やっぱりちゃんと、なるほどなという顔をしていただいているので、ある意味手応えを感じながらお話している。

田原: 例えば具体的に、(代表選に)手を挙げるのは28日か分からないけれども、手を挙げる前に小沢さんに会う予定はあるのか?

馬淵: もうお会いした。

田原: あ、もう会ったのか。その時どうだったか?

馬淵: 田原さんと同じことを仰った。

田原: なんて?

馬淵: 「菅さん辞めるのか?」と言われた(笑)。「君が代表選に意欲を示すのは、なかなか勇気のあることだから、頑張りたまえ」と。「でも、そもそも代表選あるのか? 菅さん辞めるのか?」と(田原氏と)同じことを言った。私は(補佐官)退任の翌日に直接お会いしたら、菅さんのお顔、声音、すべての中から辞められるという覚悟をお持ちだと感じた。

田原: 多分そこ(小沢氏との会合)で増税はしないと。つまりデフレからの脱却、経済を良くするのが大事だと。原発の問題もこうしないといけないと仰ったと思う。それに対して小沢さんの反応はどうだったか?

馬淵: すごく象徴的だなと思ったのは、小沢さんは「復興はそれこそ地域の皆さん方がトンカチ持ってどんどん槌の音が響いていくと、これは進むんだ」と。もちろん国はしっかり支えなきゃいけないけれども。だけれども、「原発はほっといてもダメなんだ。復興は皆が気持ちを一つにしてやっていけるけれども、原発の収束は国が責任を持ってやらないと、これは止まらないぞ」と。ここが一番の問題だと仰っていた。

田原: 小沢さんは脱原発か?

馬淵: いや、そのことについての話はなかったけれど、原発の収束は国が責任を持ってやらないといけないと、これを強く仰っていた。

田原: なるほど。

馬淵: そこは自分が補佐官として3カ月間、昼夜を分かたず取り組んでいたから、そんな話をした。「危機管理という観点からも復興はきちっといくだろう」と。「だけど原発は国が責任を持ってやらないと、避難されている方々のことも考えないとダメなんだ」と(小沢氏は)仰っていた。

田原: じゃあ、小沢さんとお会いになって、あまり違和感は無かった?

馬淵: 私はどなたとも違和感は無いけれども・・・。

田原: どなたとも無いのでは困っちゃうんだ。

馬淵: はははは(笑)

田原: 小沢さんとは?

馬淵: 別に違和感はない。私は基本的に、自分と合うところと合わないところは当然あるけれども、合わないところは無理に合わないと際立たせてみる必要もないと思っている。合うところを見れば違和感はない。

■仙谷さんは”問責”の戦友

馬淵澄夫氏

田原: もう一つ。本当は知らないが、新聞なんかで見ると、野田さんのバックには仙谷(由人)さんがいると言われている。仙谷さんとは会ったか?

馬淵: 会った。

田原: どうか?

馬淵: いや、もう「大変だろうけど頑張れよ」と。というのはグループを持たないから。グループを持たないで(代表選に)挑戦しようなんてことは大変だと。「大変だな。大変だろうけれど、頑張れよ」と。仙谷さんとはある種、戦友的な感覚がやはりある。

田原: あ、2人ともやられたから。(尖閣諸島・中国漁船衝突事件への対応が不適切として)問責(決議)を受けたから。

馬淵: 問責受けた大臣だから。

田原: 問責同士だ。

馬淵: そう言っては大先輩に対して失礼かもしれないが。問責で辞めた2人だから。そういう意味で「あの時は大変だったな」とか、そういう昔話も交えながら。

田原: しかし僕が勝手に思っているけど、あの問責の時に菅さんは冷たかったね。

馬淵: ははは(笑)。自分が決めることではないから。

田原: まあいいけれど。問責はいい。問責にしたって何だと、そのまま馬淵さんだって続けさせる手もあった。

馬淵: まあ、そこは総理の判断だから。

田原: そうか。仙石さんにも違和感はあまり無いのか。

馬淵: 無い。もちろん全然違うこともある。私が大臣時代に意見が合わないことがいくつもあった。だけどそこを際立たせて、この人は俺と違うとやってしまったら、人間社会なんて成り立たない。だから合うところをしっかりと見る。ただし、肝心要の時には合わなければ、そこはきちっとはっきりさせる。でも決める時に両者が拮抗したら別。私の場合は明らかに官房長官と所管大臣だから、そこは立場がはっきりしている。官房長官一任となった時には、長官の決断に対しては、これは従う。

田原: なるほど。一緒にクビになった同士であると。

馬淵: そこは間違いない(笑)。

■「無駄を無くす」のは民主党の党是

田原: メール(視聴者からの質問)いきましょう。

佐々野: 東京都の男性からの質問。「どんどん支持率が落ちていく菅政権ですが、馬淵さんが総理大臣に必要なことは何だと思いますか? リーダーシップ、それとも発言力? 教えてください」

馬淵: 今は組織のマネジメント力だと思っている。党、それから行政、このいずれもリーダーとしてまとめていかないといけないわけだ。霞が関をまとめていく、行政をまとめていく力と、そして党をまとめていく力というのは、これは実は異質だ。

田原: どう異質か?

馬淵: 霞が関というのは大ピラミッド組織だから。本当にそういう意味では上意下達で、一言命令を下せば末端まで下りる組織。ところが党というのは、やはり議員1人1人が一国一城の主で、有権者の代表として集まっているわけだから、命令でダーッと下りるという形ではない。むしろ、皆さん方の意見を集約するという非常に丁寧な地道な作業が必要。これを厭わずにやれないと、党のトップであり、霞が関のトップである――これが代表で、総理だから、それはできないと思う。

田原: 具体的に官僚のことを聞きたい。自民党の時に、渡辺喜美(現・みんなの党代表)が中心になって「公務員制度改革」をやろうとした。最終的に廃案になった。またそれを民主党でやろうとした。「天下り禁止」もやった。でも堂々と天下りが行われている。なぜ「公務員制度改革」が民主党もできないのか。

馬淵: 私は担当所管ではなかったけれど、見ている限りでは、霞が関をコントロールしていく上において「公務員制度改革」を第一番に掲げると、「これはうまくいかないな」と判断された部分はあったのかもしれない。

田原: なぜ、うまくいかないのか。

馬淵: 「公務員制度改革」というのは、ある意味、既存の既得権を持つ官僚たちの首を絞めることになるから。ところが政権与党に就いて、政権運営というものは「霞が関を動かすのはなかなか大変だ」という中で、力を借りざるを得ないという中で、いったんはこれ(公務員制度改革)は横に置いておこうという判断をされたのではないか。

田原: 馬淵さんはまたやるか、これ(公務員制度改革)。挑戦は。

馬淵: 少なくとも、まず先ほど申し上げたように、一番やらなければいけないことは景気の回復だ。これをやること。それをやりながら、もちろん復興、原発収束をやらなければいけない。もう一つやらなければいけないことは、ご指摘のように「公務員制度改革」というよりも、「無駄を無くす」ことについては民主党の党是だ。だからこれをやるためには、霞が関を動かして、かつ霞が関にある無駄も削っていかなければいけないわけだから、これは避けて通れない。

田原: だけど菅さんだって「天下り禁止」と言いながら、全然(できていない)。今、天下りは堂々と行われている。何だこれは。

馬淵: 残念ながら、天下り根絶のための法案というのは出ていないから、それは民主党政権の中である意味、優先順位が下がったということになってしまったのだろう。ただこれは、国民の皆さん方から見れば「なんだ、取り込まれているじゃないか」という話になるだろうから、これはある意味、非常に大きな課題としてやらないといけないと思う。

■増税をせずに、財源はどう確保するのか?

馬淵澄夫氏

佐々野: 北海道の男性の方からの質問。「馬淵さんは増税に反対していますが、震災の復興のためには、ただでさえお金が無い日本。本音は増税をしてほしくないですが、正直必要だと諦めています。馬淵さんは増税をせずに、どうやって財源を確保しようと考えているのですか」

馬淵: これは最も財務省の言っているところ、ロジックにはまったご意見。それは無理もないと思っているが。そもそも何度も申し上げるように、復興というのは複数世代に渡って負担すべきものだと私は思っている。なぜこの短い期間で、10年や5年で負担しなきゃいけないか。まずそこを大前提として考え直していただきたい。複数世代に渡るということは、長い償還期間をもった国債を発行することによって賄うことができる。長い期間の国債というのは、建設国債もそう、赤字国債もそうだが、60年間の期間の償還とする時に、「財源はこの税金です」なんて充てていない。今日わが国は、それを充てていない。将来の増収、税収というものを想定して「償還計画」は出すけれども、そこで具体的な税目を決めているというのはない。通常の建設国債と同様に、長い期間でやればいいじゃないかと。今、目の前で5年とか10年と言うので「財源が無い、財源が無い」という騒ぎになる。そこがそもそもロジックとして、財務省の言っているロジックにはまってしまっている。

田原: 馬淵さんが言うのは、この復興国債をわざわざ10年5年と短くするということは、実は裏に「増税ありき」ということだ。

馬淵: そういうこと。

田原: それはおかしいと。

馬淵: 5年10年にすれば、増税せざるを得なくなってしまう。そもそも、何度も申し上げるけれども、個人で家を建てたって30年ローン。町を変えていくのだから造っていくのだから、私は長い期間、複数の世代が引き継いでいくことは当然だと思う。

■海江田氏の出馬は「素晴らしい」

佐々野: 大阪府の男性の方からの質問。「報道によると、海江田(万里)議員が代表選出馬の意向を示したそうです。これについて率直なお気持ちをお聞かせ下さい」

馬淵: はい、「素晴らしい」のではないか。

田原: 素晴らしいけどね、ちょっと海江田さんは馬淵さんと重なるところがある。彼もやはりデフレ脱却、景気を良くすると言っている。ちょっと怖いのではないか。野田さんは違うからいいが。

馬淵: いや、だって政策を実現するために、われわれは政治家をやっているわけだから。自分の思う政策が実行できるのであれば、それは最も国民にとってプラスだ。

田原: 馬淵さんを選ぶか、海江田さんを選ぶかという時に、違いが分からなくなる。

馬淵: いや、政策だけではない。最後はその人の人格、見識含めて、あるいは行動力、先ほど仰ったリーダーシップ。いろんな要素で皆さんは投票をされてきたわけだ。これは別に代表選ではなくとも。

田原: 国会で涙をこぼすような男はダメか?(※海江田氏は7月29日の衆院経済産業委員会で辞任時期を追及され涙を見せた)

馬淵: いや、大変心優しい方だし、誠実な方。先輩として本当にいろいろな局面で教えを請うてきたし、尊敬申し上げている。だから今回そうやって決断をされたことは素晴らしいと思っている。

■マニフェストを見直す・見直さないの二者択一ではない

馬淵澄夫氏

佐々野: 東京都の男性の方から質問。「馬淵さんが首相となった場合、民主党が政権を取った時のマニフェストを遵守するおつもりはありますか。もしそうでないのであれば、衆議院を解散して国民に信を問い直すおつもりはありますか」

馬淵: マニフェストは今検証を行っている。検証結果が出る。その検証結果を基に、われわれが足りない部分については、財源が無いのでできないという判断になれば、ここは国民に真摯に説明をし、お詫びもしながら、そして新たな今できることは何かを提示していかなければいけないと思う。もちろん進んでいるものもあるから、そのマニフェストを見直すか見直さないかという二者択一ではなくて、マニフェストで掲げた理念をわれわれは進めていくんだということは変わらない。その上で内的要因、外的要因、環境が変われば当然見直しが必要なものも出てくるだろう。ここは正々堂々と見直していく。

田原: ただ馬淵さん、そもそもマニフェストがおかしい。マニフェストは初年度で7兆円(の無駄を)減らす、次年度では12兆何千億円減らすと、これが前提だった。減らないのだから、あんなマニフェストはそもそもインチキではないか。

馬淵: 財源のところに関しては、読みが甘かったという部分はあるかもしれないが、ただ繰り返し申し上げるように、1年目でやったのは国土交通省だけだった。だからほかの省も含めて、本当に徹底的な見直しというものは、やっぱりここは捨ててはダメだ。先ほど「解散総選挙」の話もあったけれど・・・。

田原: 2年目なんか見直しも何も言われていないじゃないか。

馬淵: それはきちっと各省は頑張っておられると思うけれど、足りない部分はしょうがない。それでマニフェストができないから解散というのは短絡的な話で、ある意味、野党の言い分に乗っている話だ。われわれが実現しなければいけないことは、4年間の付託の中で国民生活をより良くすることだ。そこを成果として、果実として出すことがわれわれの仕事であって、マニフェストを一言一句変えない、マニフェストに書いた数字通りやらなければダメだ、そんなことを国民の皆さん方にわれわれは問うてきたわけではない。4年間の責任を果たすという強い覚悟が求められている。

 私はだから、「解散総選挙」という言葉に関しては総理の専権事項だから、それは判断としてはあるかもしれないが、マニフェストについては見直しも含めて、しっかりと国民の皆さまの前に明らかにしていくこと。そして、できているものについては、ちゃんとそのことは確認をしていただく。できていないこと、その原因を明らかにしながらどうするのか。こういう形で具体的に変えていく、国民生活に反映していくということを伝えるのが総理の責任だと思う。

佐々野: 実際、今はあまりそこは見えていない。

馬淵: 今、だから検証が・・・私も今は党の役員ではないので見えていないけれど。

田原: 馬淵さんに言っては悪いけど、僕は民主党のあんなもの(マニフェスト)無くしてもいいと思っている。

佐々野: マニフェストの中身を?

田原: はい。だってもともと財源は無いんだもの。

佐々野: 最後の質問。千葉県の男性の方から。「民主党は、野党時代に自民党政権をいろいろと否定していましたが、与党になっても何一つできていないと感じます。与党になり、馬淵さんが政権に入って初めて知ったことというのはありますか。具体的に教えて下さい」

馬淵: 与党になって初めて知ったこと――それは沢山あるけれど。ただ、その前段の部分のところで、「できていない」と。これはある意味、そのように言われてしまう部分があるのも否定はしないが、先ほど申し上げたように、検証していくと進んでいるものもある。8割9割進んでいるものもあるわけだ。だから、何をもってできていないというか。二者択一だとか、単純化する議論というのは非常に危ないと思っている。きちっと中身を伝えて、われわれもそのことに対して説明をする責任はある。そういった議論は必要だと思う。

田原: 今、評判が良くないけれど、やっぱり事業仕分けは自民党にはできなかった。あれは民主党においてやった。

馬淵: そう。

田原: つまり民主党が一番やろうとしたことは、プロセスをオープンにしようとした。自民党は密室談合で、全部秘密だと。そこは相当できているのではないか。

馬淵: そうですね。ただ、プロセスをオープンにしようとするがために、ある意味消化されてしまったという批判もあった。だから私が思うのは、事業の見直しというのは、企業だと当たり前にやっている。

田原: そうそう。

馬淵: 不断の努力の話だから。

田原: 当たり前。

馬淵: だから、あまりにもオープンにすることにこだわる必要はないのではないかと。手間ばかりかかる。1週間なり1時間なりの時間でやろうとするので。これはむしろ、「不断の見直し」をしっかりと仕組みとして作れば、やればいいわけだから。そこは「事業仕分け」という、ひとつセンセーショナルなものがあったけれども、これを「不断の見直しの仕組み」にどう落とし込むかというのが、一番重要ではないかと思う。

■新たなリーダーの責任とは

対談終了後に握手を交わす田原総一朗氏と馬淵澄夫氏

田原: 時間も残り少なくなったが、改めて聞きたい。はっきり言って国民のほとんどが、今の日本に不満を持っていると思う。やっぱり(原因は)不況か。

馬淵: 私はそう思っている。景気だ。

田原: それと率直に言って、この間、時事通信で世論調査があった。これは民主党の支持率が10%、自民党の支持率が15%、両方合わせて25%。75%が「国会なんかどうでもいい、どうなっているのだか分からない」と言っている。どうしてこうなってしまったのだろうか。

馬淵: 政治の信頼を失ってしまった責任は重いと思う。

田原: なんで失ったのだろうか。

馬淵: それは意思決定のプロセスが見えないからだろう。だからわれわれは、改めて民主党を再生していくためにも、新たなリーダーが国民に分かりやすく説明していく必要があると思う。もう問われているのはそこ1点だ。

田原: そう、そこが一番。75%が今の国会は無茶苦茶だと言っている。あなた(アシスタントの佐々野氏)は何か聞きたいことはあるか。

佐々野: 先ほどのマニフェストの問題の話では、進んでいることもあると仰っているが、全然見えてこなくて悪いところばかりしか見えない。

田原: それはマスコミが悪いんだ。悪いことばかり報じるから。とにかく菅さんが辞めると言って辞めないでいるから、もうとにかく悪いことばかり報じている。

佐々野: 言うこととやることが全然違うという印象がある。

馬淵: そこは率直に認めないといけないところはあると思う。民主党政権としてできなかったことも含めて。その上で何度も申し上げるけれど、4年間付託を受けているわけだから、われわれは一言一句計画通りに物事を進めるということを皆さんに言ってきたのではなくて、国民の生活をいかに変えるかということ、無駄をいかに無くすかということを言ってきたわけだから、それは結果として出す。これが一番の責任ではないか。

田原: とにかく馬淵さん、もし代表になったら、総理になったら、「変わった」と、「今までと違う、ここが変わったんだ」ということを見せてほしい。どこで見せるか、変わったんだと。

馬淵: 先ほど申し上げたように、組織をそれこそ縦横無尽に動かしていく、これしかないと思う。今まで自民党は丸投げだった。官僚に丸投げだった。(民主党は)違うと。民主党はそれこそ霞が関をガッとグリップして、そして新しい発想で大胆に動かしていく、これしかないんだと思う。

田原: なるほど、頑張って下さい。

馬淵: はい、ありがとうございます。

佐々野: 今日は馬淵議員に「ニコニコ生放送」にご出演いただいて、対談形式ということでやっていただいた。いかがだったか。

馬淵: 楽しかった。

佐々野: 実際に(ニコニコ生放送の)コメントがリアルタイムで出てくる。

馬淵: ごめんなさい。ずっと田原さんを見ていたので、コメントをあまり見ていなかったのだけれども。でも、いつもながら田原さんの突っ込みが・・・。

佐々野: 今日はちょっと厳しかったか。

馬淵: いえいえ、大丈夫。

佐々野: 今日の対談のまとめを田原さん、お願いします。

田原: この元気さ、男っぷり。こう言ったら女性差別になるかもしれないけれど、ここが馬淵さんの魅力だ。やっぱり6人子どもがいるというのはいいね。しかも12人家族だって。両方の親がいて。

馬淵: 両方の親と同居をしていた。1人父が先に亡くなったので11人に減ってしまったけれど。だからよく田原さんから子どもの話をされるけれど、僕がいつも言っているのは両方の親。長男長女の結婚なので、この同居は大変。こっちの方が話としてはより広がりがある、深みもある。

田原: そうそう。嫁と姑の問題というのは、両方抱えているのだから、それは大変だ。

馬淵: だから家の中で喧嘩をしたら、間に入って出て行くのは私ですよ(笑)。

佐々野: 「家庭の問題」と「国の問題」と、どちらの問題の方が大変か。

馬淵: それはもう、一番大事なことは「国の問題」だけれども、でも「家庭」あってだから。やはり「家族」ということを大事にしたいと思っている。

(了)

(協力・書き起こし.com

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