外務省が入省者へ課す「TOEFL100点以上」はどの程度のレベル??

外務省が入省者へ課す「TOEFL100点以上」はどの程度のレベル??

外務省は職員にTOEFL100点以上獲得を目標として課すと発表

外務省は2016年度から、入省する職員に国際的な英語力テストTOEFLで100点以上の獲得を目標に課すことを決めたそうです。その狙いは、入省時から即戦力として高い英語力を身につけ、外交現場での交渉に役立てること、専門が英語以外であっても入省者全員に同じ目標を定め、必須な英語力の成長を期待するということにあるようです。

さて、このTOEFLですが、アメリカの試験機関が全世界に提供している、英語コミュニケーション能力を測定する試験です。アメリカ大学入学時の英語力判定試験として、最も知られているテストといえます。比較的アカデミックで「読む・書く・聴く・話す」の4技能をバランスよく取り入れ、結果はスコア表示されます。

長いTOEFL歴史の中で、PBTペイパー版試験からCBTパソコン版試験、そして、現在はIBTインターネット版が2006年に導入され、最も大きな変化としてはスピーキング試験が加えられたことでしょう。日本国内大学での入試選抜でスコアの利用が可能で、就労ビザなど取得の際に証明として採用されるこの試験、レベル的にはお馴染みの英検と比較してみると、最低でも準1級合格、1級合格レベルと言ったらわかりやすいかもしれません。100点以上ともなれば、レベルはかなり高いと言えます。

英語運用能力を養うには格好の材料

2019年にはセンター試験廃止、2020年からは先に述べた4技能を意識した英語試験改革、それに先立ち私立大学入試での動きも目を見張るものがあります。この4技能のうち、最も注目されるのはスピーキング能力です。TOEFLにてスピーキング能力を測定するには、与えられた文章を読み聴き、それについての意見を述べるなど、ほんの数分の制限時間の中での準備、そして簡潔にまとめる技能も求められることになりそうです。

高いスコアを目指すには、やや戦略的に望む必要もあるのではないでしょうか。英語を知識として持ち合わせるだけではなく、いかにそれを運用可能とするのか。第一線で働く者がこのレベルの英語力を養うことは当然要求されるべきことであり、入省後も英語運用能力に磨きをかけるためには格好の材料ではないかと思われます。

アジアの国々の中で、日本の英語力は常々最下位

TOEFLのような試験に目標を置き、努力を継続することはもちろん、あらゆる場面での英語運用実践も絶対に必要です。レベルに応じて今持つ英語力を育てる必要性は出てきますが、目標として定めるもの、自己を奮い立たせるものが各試験であり、合格、または目標スコアに到達することで安心してはいけません。さらなる向上を目指し、上等な実践ができるよう自身を動かすことが重要です。

残念なことにアジアの国々の中で、日本の英語力は常々最下位に位置し、加えて間違いを恐れる傾向にあり、それがスピーキング能力の育たない一つの原因であると考えられます。素晴らしい意見を持っているにもかかわらず、発することに抵抗を感じる、その部分への意識改善も強く求められるところでしょう。

実践練習をすることが即戦力の養成につながる

さて、外務省が掲げたこの目標は、この春に入省する者の日本の未来のために第一線で活躍を約束された者たちに必須なことであり、画期的な働き掛けだと思います。英語専門色の強い分野では、意志を伝えるだけの単なるスピーキング能力にとどまらず、実際に現場で求められる意見交換能力やディベート能力を意識した大会なども存在します。

公に資格として認められていないにしても、大変興味深いものです。試験に目標を置くだけではなく、このようなところで実践練習をすることが即戦力の養成につながるはずです。このような頼もしい大会からスピーキングに特化したコミュニケーション運用能力試験などが誕生することも期待できるかもしれません。

(ゴーン 恵美/英会話講師)

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