炎上し暴徒が叫ぶ、故郷イギリスの今――「ロンドン暴動リポート」
※本稿はTimeOutTokyoからの寄稿です。記事は情報が入り次第更新され、最新の出来事が上に追加されています。
8月9日 午後4時40分 現在
ちょっと面白い情報が。昨夜、マンチェスターでも、4、5台の車が攻撃されたという、明らかに同じような動きがあったらしい。しかし、マンチェスター警察によると、「こういった事件はマンチェスターではいつも起こっていますので、特に暴動事件とは関係ないでしょう」と発表したらしい…。マンチェスター!
8月9日 午後4時30分
素晴らしいニュースが。ロンドン市警によると、ロンドン警察の全ての牢屋などの収容施設が一杯になってしまったらしい。これ以上逮捕者を収容するスペースはなく、この後は、ロンドン市外の警察署まで移送するしかないという。
8月9日 午後4時20分
タイムアウトロンドンからタイムアウト東京の読者の皆様へメッセージが。
「応援してくれて本当にありがとう。私たちの街、社会が混乱していく姿を見るのはとてもつらいです。願わくば、この経験から多くのことを学ぶことができ、癒されることを。」 @TimeOutLondon (http://twitter.com/#!/TimeOutLondon [リンク])
8月9日 午後4時15分
ツイッターに気になる投稿があったので掲載。「アイルランド人の友人(ロンドン在住)の住居の1階が暴徒に占拠されてしまったそう。
昨日の夜は警察は来るわ暴徒は暴れるわ、怖くて眠れなかったって。
幸い今は落ち着いているとのこと。まさか友人がそんな目に遭っていたとは…。
こっちの地震も怖いけど向こうも…。」 @sobarbarbie (http://twitter.com/#!/sobarbarbie [リンク])
8月9日 午後4時00分
重要:昨夜のイギリスでの統計(英国紙ガーディアンより)から。
昨夜を通して、バーミンガムでは100名が逮捕された。この街では中心地やBull Ringのモールなどショッピングエリアで暴徒が破壊行為を繰り返した。リバプールでは、車が放火され、ゴルフクラブなどその場しのぎの武器を片手に警察を襲う姿が目撃された。リバプールのトックステス地区に住んでいる人は、戸締まりを確認して、表には出ないようにした方が良い。ブリクストルの住民は、中心地には近づかないように。夜の間に、150人の暴徒が暴れ回ったと言われているので。ノッティングシェア警察によると、ノッティンガム地区のセントAnne地区だけで、夜を通して沢山の散発的な暴動が確認された。地元の警察署は襲撃され、40以上の自家用車は破壊され、家々の窓ガラスは割られ、200個のタイヤに火をつけられたという。
ケントからの報告によると、ミッドウェイ地区でトラブルを起こした5名が警察に逮捕されたという。チャットハムやレインハム、ギリングハム地区全体に夜通し火を放たれたという。
8月9日 午後3時25分
なんと!ザ・スミスの元フロントマンであるモリッシーからも気になるニュースが!
8月7日(日)にブリクストンでライブを行ったとき、ステージで彼がこう語ったという。「デーヴィッド・キャメロンがトッテナムに行ったってみんな本当に思うかい?俺はそうは思わないな」。デーヴィッド・キャメロンはとても裕福な家庭に生まれたので、トッテナムのような貧しいエリアに近付いたとは考えられないらしい。しかしキャメロンが実はスミスのファンだったということが判明し、それに対しては「ファンになることなんて許さない」と答えたらしい!
8月9日 午後3時05分
昨夜の暴動に関して、イギリスの報道機関から反応があったので報告する。BBCラジオ4の主任政治レポーターのノーマン・スミスの言葉より。「昨夜の警察の行動は、明らかに失敗だった。政府としては今夜はなんとしても上手くまとめなくてはいけない。暴動が4日間も続いてしまうことはなんとしても避けなくてはいけない。これ以上は政府としても耐えられないだろう」。
BBCの政治レポーター、ロビン・ブラントの言葉より。「デーヴィッド・キャメロンにリーダシップがあるかどうかが試されているんだよ。問題は、誰に責任があるのか?ということ。暴徒たち?警察?それとも政府?」
一方では、ノッティンガムも標的のひとつだったという報告も入り始めている。 BBCによると30名ほどの暴徒が関わっただけの小さなものだったというが、それでも車40台、200個ものタイヤに火を点けていったという。
警察署にめがけて火炎ビンを2本投げたとも報告されている。この状況を鎮静化するために100名の警察が出動したという。
8月9日 午後2時45分
本日、警察からマーク・デュガンへの発砲に対する法医学的分析の結果についての発表がある予定。8月5日(金)に起こった、デュガンに対する警察の発砲事件がきっかけとなって今回の暴動が始まっている。警察は既にあの事件が起こったときに一度警察は調査をしていたが、その時はデュガンが先に発砲したのだと報告している。しかしながら、この地域の目撃者によると、デュガンは一切発砲は行っていないという。この事件に対する抗議が8月6日(土)にトッテナムで湧き起こってから、最初の暴動が始まっている。デュガンを意図的に撃ったのかどうか、という警察からの結果には注目が集まっている。
8月9日 午後2時15分
イギリスの首相デーヴィッド・キャメロンは、イタリアで過ごしていた休暇を切り上げることに。コードネーム『コブラ作戦』なる作戦の指揮をとるためにイギリスへと戻ることになったという。8月6日(土)までにイギリスに戻ると思われていたけれども戻らなかったので、彼がのんびり休暇を過ごしていることに対して国中の批判が高まっていた。ロンドン市長であるボリス・ジョンソンも同じく休暇を切り上げて首都に戻ってきている。今日中には彼らから何らかの公式発表があると思うので、それを待っていよう。
8月9日 午後1時47分
Facebookページ (http://j.mp/nEELir [リンク]) より、あるリーダーからのコメントを記載。「英国ほど、経済の停滞や社会の不満が急速に表層化するところはありませんね。オイルショックを自国経済では乗り切れなかった煽りでの’70年代のパンク時代の不景気といったら、日本のオイルショックからは考えられないほど。今回は警察当局の発砲による死者の発生ということから、ロサンゼルスの暴動を喚起させます。自分たちのコミュニティに放火するまでの絶望。果たして上流階級と知識階級は、それを理解し、その上での手を打てるのか。突発的なものゆえ、警察力と政治でしか対応できないのですから」。
8月9日 午後1時30分
『Skyニュース』のレポーター、マーク・ストーンは「クラファム・ジャンクションのメインストリートは、一軒残らず暴徒に襲われた。”ドラッグ”欲しさに薬局の『Boots』まで襲われる始末。警察が全くいない状態が2時間ほど。その間に男の子から女の子まで若いキッズ達がやりたい放題やっていたよ」と語る。ツイッターには、鳥のさえずりと警察のサイレンが入り交じった沢山のメッセージが届けられている。夜明けは近い。ロンドンの人達が地獄から抜け出す瞬間も近付いている。
8月9日 午後1時15分
BBCによると、暴徒はグループ単位で物凄いスピードで移動しており、携帯電話を駆使して攻撃計画を立てている模様。そのため警察が彼らの攻撃に備えることはとても難しい状況にあるという。軍が市内に入ってきて事態を治めて欲しいとという要望があちらこちらから聞こえてくる。まだ、軍が実際に介入するかどうかは定かではない。
8月9日 午後1時05分
重要な情報 :
クラファムジャンクション通りとクロイドン地域の住民は避難するように勧告されたと、新聞『テレグラフ』が報道。さらに「テレグラフ」が暴徒の1人をインタビューしたところ、「店を襲うのは、自分たちの税金を取り戻すためだ!」と語っていたという。
8月9日 午前12時45分
ジョン・ウィルクス(http://j.mp/nyJeLZ [リンク])の言葉をそのまま記載。「沢山の日本人が僕に『暴動の原因は何か?』というツイートを送ってくれています。レポートの最初にも書いた通り、まだはっきりとした答えは見つかっていません。失業率の増加や支出削減が主な原因だと多くの人が言っています。(トッテナム地域では、沢山の若者向けクラブが政府によって閉鎖させられているという事実もありますし)。 ただ、最近のイギリスの若者はみんなこういう性格の輩が多いと言う人も多いのも事実です。僕個人的には、2つ目の原因に関してはあまり信じていません。そこにはもっと社会学的な原因があって、問題には根拠となる何かがあるハズです。イギリスのほんの10%を占めている富裕層が、貧しい層の人たちよりも100倍の富を集めているという現実があります。そして、現在の保守色の強い政府が『労働者階級』と呼ばれる層からの信頼を失ってしまっている。本当の原因が分かるまでは、まだ時間はかかります」。
8月9日 午前12時40分
エリック・クラプトンやローリングストーンズがデビューを飾ったことでも良く知られているイーリング・ブロードウェイからの報告によると、路上には炎上した車が確認され、すべての路面店のガラスは割られてしまっているという。まるで、ゾンビ映画だ…。
8月9日 午前12時30分
イギリスの新聞『ガーディアン(http://j.mp/muiX11 [リンク])』によると、「334名が逮捕され、そのうち69名が何らかの罪で起訴され、2名が厳重注意となっている」と市警が語ったと報道している(イギリス時間午前3時50分)。
8月9日 午前12時15分
ロンドン北部のエンフィールドにあるソニーセンターの最新の映像がBBCに届けられた。
インタビューを受けている人物はこのエリアのホテルにいた模様。窓が叩き壊される音が聞こえ、何事かと飛び出してきたと語っている。20人ほどの若者がソニーセンターから飛び出してきて、ソニーのゲーム機Wii(※本当はNintendoのゲームだが”彼”の証言をもとに翻訳)や、その他ソニーの商品を盗んでいる姿が目撃されている。若者の一人が、この男性が目撃していることに気が付き、襲ってきて殴られたという。ここで見たこと、起こった出来事を伝えるために、急いで走って戻ってきたという。火事の延焼は広範囲に渡っており、彼の泊まっているホテル「プレミア・イン」は180メートルほどしか離れていないため、すぐにも火の手が及ぶのではないかと恐れ、ホテルの宿泊客全員の無事を確認した後、消防署に連絡したという。
8月9日 午前12時13分
ここは僕の祖父が住んでいる街で、子供のときによく遊びにいったものだ。祖父はもう亡くなったから、この街の姿を見なくて済んだことが唯一の救いかもしれない…。
※画像: http://www.bbc.co.uk/news/uk-14453264
8月9日 午前12時10分
どこで暴動が起こっているかが分かるマップ(http://j.mp/qzMqzv)を発見。どんどんと火の手が広がっているのが分かる。
8月9日 午前12時00分
ケガを負った男性を助けるのかと思ったら、愚かしい若者は平然と彼のバックパックから何かを盗み取っていた。人々は頭がおかしくなってしまったのだろうか…。とても、悲しい気持ちになってしまう。https://www.facebook.com/video/video.php?v=10150333636850851 [リンク]
8月9日 午前11時46分
イギリスの新聞『ガーディアン()(http://j.mp/qdQHFm)』のウェブサイトに大量の高画質写真がアップされた模様。ロンドンはいまや、まるで戦場だ。イギリスへ向かう旅行に何か影響はあるのかについて、イギリス大使館にコンタクト中。今現在は、まだ公式発表はなされていない。情報が得られ次第、すぐにここで告知する。
※画像: http://www.guardian.co.uk/uk/gallery/2011/aug/09/london-riots-croydon-hackney
8月9日 午前11時15分
Post riot clean-up: let’s help London(※訳:暴徒を排除しよう:ロンドンを助けよう http://j.mp/r5E8fz)というフェイスブックのページが設立された模様。1時間半のあいだに、350個の「いいね!」クリックが集まっているほど、注目を集めているようだ。ロンドンっ子たちは怯え、そして怒っている。自分たちの街を取り戻したいのだ!
8月9日 午前10時50分
世田谷の自宅で静かなウィークエンドを満喫していた最中、僕の故郷イギリスが燃え上がっているというトンデモない映像を目の当たりにした。色々な意味で、3月の震災で津波を目撃したときよりもずっと、いてもたってもいられない気持ちになっている。
東日本で起こった震災は甚大な自然災害であるが、今イギリスで起こっていることは、人間が引き起こしたものであり、まだ原因ははっきりとは理解できない。
北ロンドンのトッテナムで先週の土曜日(つまり8月6日)に始まった暴動は、首都から南部へと広がっていった。昨夜の段階で、まるで発火寸前の火薬庫に火がついたように、暴動の狂乱はイギリス中に飛び火していった。この文章を書いている今にも、炎上しているリバプールを目指し、沢山の報道車が駆けつけている。僕の生まれた街バーミンガムでは、警察と暴徒の間で激しい衝突が起こったという。友達からはツイッターで「家に帰宅中の車が、フードを被った若者のギャングに囲まれていて、ドアをロックしてじっと耐えているしかない…」と報告を受けたり。
ロンドン中心部では、同じように僕の元クラスメイトもアパートに閉じ込められた状態。家のドアは蹴破られ、家の前に停められた車には片っ端から火をつけられている状態だという。更には「今、近所のおばあさんの寝室に暴徒が侵入している」と友達から報告を受けるような事態も発生しているようだ。
さっきも言ったように、この暴動の本当の原因は不明であるが、今分かっている範囲では、マーク・デュガンという男性をロンドン市警が撃ったことが発端(http://j.mp/qjyR6R)のようだ。
デュガンが銃を携行していたかどうかは定かではないが、警察に対しての抗議は急激に加熱し、今テレビの前で起こっている出来事へと繋がっている。たった3日間でイギリス国中へと広がってしまったことから考えると、デュガンの事件は単なるきっかけでしかなかったのではないか。「高い失業率や支出削減などに対する政府への不満」が、この事件をきっかけに吹き出したのだと分析する評論家もいる。それと同時に「退屈して傲慢になった若者達の暴力的な行動」でしかないと切り捨てる人もいる(ほとんどの暴徒はティーンエイジャーなので)。
原因究明には時間がかかるが、それについてみんなが考え始めている。現時点では、なるべくストリートには近づかず、警察がしっかりと治安を取り戻してくれるのを待つしかないだろう。個人的には、事態に進展が生まれるたびにこのサイトを通して報道していこうと思っている。もう、僕の知っている姿とはかけ離れてしまった街の姿を。炎上する車とバス、暴徒が狂乱するストリート…。これが、僕の故郷の街で起きていることなのだ。
テキスト: ジョン・ウィルクス, 翻訳: 西村大助
ジョン・ウィルクスはタイムアウト東京のエディトリアルディレクター(Twitter @jonniewilks http://j.mp/q9EKGN)
※本稿はTimeOutTokyoからの寄稿です。転載元ページは情報が入り次第更新されていますので、最新の情報はTimeOutTokyoの当該ページを御覧ください。
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