宮崎吾朗監督、ニコファーレでの手嶌葵ライブは「自分もモニター越しに観たかった」

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手嶌葵さん(左)のライブ会場に駆けつけた宮崎監督(右)

 スタジオジブリ主催の「『コクリコ坂から』公開記念 手嶌葵 360°ライヴ in ニコファーレ」が2011年7月21日、東京・六本木のニコファーレで開催された。ニコファーレでは壁面と天井にLEDモニターが設置されており多彩な演出が行えるが、このライブでは映画監督・庵野秀明氏率いるスタジオカラーが演出を担当。ライブを中継したニコニコ生放送の画面では、AR(現実拡張)技術を用いた映像を楽しむこともできた。ライブ終了後、会場に駆けつけた『コクリコ坂から』の監督・宮崎吾朗氏は、「自分もモニター越しに観てみたかった」と、ライブの感想を語った。

■「今日の葵ちゃんは本当に可愛かった」

――今回のライブ会場は四方にLEDモニターがあり、手嶌さんは監督が構築した世界観のなかで歌ったわけですが、いかがでしたか。

宮崎吾朗監督(以下、宮崎):良かったですね。より(世界観が)膨らむといいますか。自分で観ていても、作品の裏側というものを葵ちゃんの歌が表現してくれていたと思います。それはもう、素晴らしい経験でした。

――庵野監督率いるスタジオカラーに映像演出を依頼することになった経緯を教えてください。

宮崎: 『コクリコ坂から』を作っているとき庵野(秀明)さんが(ジブリに)遊びに来たことがあって、スタジオカラーのCG部門の「仕事がない」と言われまして(笑)。まだ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』(の企画)が動く前で、「暇なんですよ」と言っていたのを鈴木(敏夫プロデューサー)がおぼえていて。今回ニコファーレでライブをやることになったので、「じゃあ庵野さんのところに頼んでみよう」と。

――実際、会場でできあがったものをご覧になっていかがですか。

宮崎: 面白かったですね。たぶん(ニコニコ動画の)モニターで観てるほうが面白いんだろうなと思いながら観ていました。でも、(ライブの途中で)手書きのヤツ(映像)が出てくるじゃないですか。それを観ていると「やっぱり手書きもいいな」とも思いました。

――監督はニコニコ動画をご覧になったことはあるのですか?

宮崎: このあいだの中継のとき初めて見ました。面白かったですね。要するに既存のメディアと違って、やっていることの反応というものが目の前で出る。それがすごく新鮮で。ふだんは間接的にしか伝わってきませんから、リアルタイムで伝わってくるというのは面白い。(ドワンゴ会長の)川上さんを持ち上げるわけじゃないですが、新しい可能性を持っているメディアだと思います。

――視聴者の反応は、やはり気になりますか?

宮崎: 自分もモニター越しに観てみたかったですね。(会場にニコニコ動画の画面が映されたときは)いっぱい(拍手を意味する)「8」をもらえたので、あれでよかったんじゃないかなとは思います。今日の葵ちゃんは本当に可愛かったですから。『コクリコ坂から』の製作が始まって、レコーディングがあってライブがあって、今日の舞台。(それぞれ)まるで違います。本当に彼女自身が成長してるし、雰囲気も変わってきている。今日は本当に可愛かったです。

■『コクリコ坂から』は中高年の観客が多い?

宮崎監督が「成長した」と評する手嶌葵さん

――7月16日に『コクリコ坂から』が公開されて数日が経ちましたが、手ごたえはいかがですか。

宮崎: 劇場に中高年の方が多くて(笑)。「1963年が舞台」というパブ(宣伝)が効きすぎたみたいで(笑)。全然若い人がいないという話を聞きまして。中高年の方が多いのもうれしいんですが、若い人にも観にきてほしいなぁと思いました。でも今日これ(ライブ)があって、若い人で観てくださった方も多いと思うので、(映画に)興味を持っていただければ。

――若い人にはどのようなところを観てもらいたいですか?

宮崎: どこでもいいんですよ。やっぱり試写を見た高校生たちからは「等身大の主人公たちが描かれていた」という意見をもらっているので。そういうものを通して何か感じてもらえれば。

――作品中で描かれた1963年と今では、恋愛のかたちも違うと思うのですが。

宮崎: でも初めて人を好きになったときの気持ちって変わらないですよ、たぶん。今も昔も。

――映画『コクリコ坂から』の製作では、主人公の「海」ちゃんがどういう子なのかを探し続けることが重要だったと思うのですが、いま監督にとって「海」ちゃんとは?

宮崎: そうですね…葵ちゃんみたいな感じですかね。やっとなんとなく正体がわかってきたというか(笑)。(「海」は)葵ちゃんみたいに可愛いだけじゃなくて実は芯がしっかりしていて、大きな可能性を持っているんじゃないかなぁと。(将来は)お医者さんになるのか下宿屋を続けていくのかわからないけれども。

――これから羽ばたいていこうとしている、と。

宮崎: そう。早く(作品中の主人公のように)「エスケープ」してほしい(笑)。葵ちゃんはずっと箱入り娘で、『ゲド戦記』でのデビュー以来、実はあまり表立った活動をしていない。コンサートにしても、しょっちゅうやっているわけではないですし。

 だから(『コクリコ坂から』公開に合わせて)この間、キャンペーンとか全国各地をまわってインストアライブをやりましたけど、そういった経験は彼女にとってすごく大きいんです。後ろにエスカレーターがあって、「エスカレーターにお乗りのお客様は…」というアナウンスが流れるなかでも歌えるようになった(笑)。それでも「ちゃんとお客さんと一緒に楽しもう」という風になってきたのは、彼女の成長だと思います。

 今日も冒頭から終わりまで笑みを絶やしませんでしたが、『コクリコ坂から』をやるまではなかったこと。だからそういう成長する瞬間に立ち会えてよかった。それは「海」ちゃんの場合でも同じで、彼女が「俊」君と出会って変わっていくのを横で見守ることができて、よかったですね。

――「親のような気持ち」とでも言いましょうか。

宮崎: すっかり「おじさん」です。葵ちゃんも一人でインタビューを受けるときには、僕のことを「素敵なおじさま」とか言ってるらしいんですが、「このやろー『お兄さん』って言えよ」と思っています(笑)。

(土井大輔)

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]手嶌葵 360°ライヴ in ニコファーレを視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv54343553?po=news&ref=news
・nicofarre ニコファーレ – 公式サイト
http://nicofarre.jp/
・コクリコ坂から – 公式サイト
http://kokurikozaka.jp/

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