【Interview】生産物を守る新たな取り組み!オーナー制度プラットフォーム「OWNERS」とは?
TPPの大筋合意を前に、自国の生産物をどうやって守っていくかが、ここのところ大きく取沙汰されている。
参加後に起こり得る影響など、各メディアが連日のように取り上げているのは、読者もご存知のことだろう。
実際にどのような影響を受けるかは、ふたを開けてみなければわからない。しかし、TPPの有無に関わらず、生産者自身が既存の仕組みに頼らない手段で、個々の生産物を守っていく時代は、もうそこまで来ているのではないだろうか。
今回ご紹介する「OWNERS(オーナーズ)」は、まさにそのためのサービス。昔からある“オーナー制度”をITに組み込むことで、これまでにない新しいシステムを確立させた。
提供元は、出版・広告、コンサルティングをはじめ、幅広く事業展開しているエル・エス・ピー。OWNERS事業責任者の谷川 佳(たにがわ けい)氏に、早速詳しい話を聞いた。
・こだわりを持った生産者と消費者をつなぐ新たなプラットフォーム
Q1:サービス提供のきっかけについて、お聞かせください。
前職で企画やPRに携わっていましたが、イベントなどで瞬間的な話題作りができても、その勢いを継続させるのは、とても難しいと、常々痛感していました。
一方で、そうした土地で出会った生産者のお話は、その背景を知っているからこそ、食べたときのおいしさが増したり、消費の感覚そのものが変わるような体験をさせてくれます。
(そんなことから)生産者が単純に消費するのではなく、“自分ごと”として捉えられる新たな消費を提案できないかと思ったのが、サービス誕生のきっかけです。
Q2:「OWNERS」とは、どんなサービスなのでしょうか。
全国の“オーナー制度”を集めた、プラットフォームです。
“オーナー制度”というのは、昔から生産者にとっては当たり前にあった制度で、消費者が果物・野菜などの生産物(区画や、木など)に対して事前に登録を行い、登録期間中は“オーナー”として、収穫物や完成した商品を受け取れる仕組みのことです。
「OWNERS」では、こだわりを持った生産者のオーナー制度を集め、その中でのオーナー登録、決済、生産者とのコミュニケーションまでのすべてを、オンライン上で完結しています。
・消費のあり方やライフスタイルを再提案できるようなサービスをめざす
Q3:サービス構築にあたって最も苦労したのは、どんなところでしょうか。
共感してくれるパートナー(農家さん)を、見つけることです。特別なコネを持っていたわけではなかったので、とにかくこだわりを持った生産者を見つけ出し、一件一件訪ねていくという地道な作業でした。
「OWNERS」におけるオーナー制度では、事前に注文数を把握できるというメリットはあるものの、生産者たちが自ら情報を発信していく必要があります。
「リアルな消費者の声を聞きたい」「限られた人に対して、計画性を持って、こだわりの商品を提供したい」という想いを大事にしている生産者に出会うことが、一番大変でした。
Q4:これから「OWNERS」をどのようなサービスに育てていきたい、とお考えですか。未来の展望をお聞かせください。
注文すれば、翌日には自宅に届く今の世の中で、注文してから3ヶ月後に届く喜びと深み。これは、生産プロセスを知ることができるものだからこその、楽しみだと思います。
単純に“生産者と消費者をつなぐ”というだけのサービスではなく、今後拡充するコンテンツによって、そもそもの私たちの消費のあり方や、ライフスタイルを再提案できるようなサービスを、めざしていきたいです。
数多くの賞に輝く日本茶やこだわりのチーズなど、全国各地選りすぐりの逸品がそろう「OWNERS」。生産者に寄り添いながら応援できる本サービスは、消費者側にも新たな発見と喜びを与えてくれるに違いない。
ウェブサイト: https://techable.jp/
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