池田信夫氏、周波数オークションについて「放送業界は勘違いしている」

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周波数オークション導入を提言し続けている経済学者の池田信夫氏

 上武大学特任教授で経済学者の池田信夫氏は2011年7月8日、ニコニコ生放送「周波数オークションに関する”ウラ”懇談会~”電波利権”を暴く!」に出演。池田氏は、周波数オークションについて「放送業界が、周波数オークションは彼らの既得権益を侵すものだと勘違いしている」と語った。

 テレビ放送や携帯電話に利用できる電波の周波数帯域には限りがある。周波数オークションとは、その周波数帯域の割り当てをオークション(競売)によって決定する方式だ。周波数オークションには、周波数帯域割り当ての決定過程が透明化されることや、新規参入による競争促進・産業発展などのメリットがあるとされる。現在、周波数オークションはOECD(経済協力開発機構)のほとんどの国で導入されている。一方、日本ではことし3月から総務省で周波数オークションの導入を検討する「周波数オークションに関する懇談会」が開始されたばかりだ。

 番組の中で、司会の慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科のジョン・キム准教授が、従来から周波数オークション導入を提言してきた池田氏に「周波数オークションと電波利権について」問いかけた。これを受けて、池田氏は「周波数オークションはもともと、放送の帯域をオークションにかけると言っていない」とした上で、

「(テレビ局は)オークションというと、放送の帯域を携帯電話業者に取られるんじゃないかという妙な被害妄想を抱いている。その人たちが意味もなく『オークションは良くない制度だ』ということを、当時の郵政省の方々に吹きこんできたことが、この問題のボタンの掛け違いの始まりだ」

と語り、日本で周波数オークションの導入が遅れている理由・背景を分析した。さらに池田氏は、

「放送業界の人は、意味もなく、根拠のない被害妄想を抱いて、周波数オークションが彼らの既得権益を侵すものだと勘違いしている。(そういう勘違いをしている人が)いまだに多いという印象」

と指摘し、「極めて初歩的な誤解をまず解くことが必要だ」と語った。

(山下真史)

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 「周波数オークションと電波利権について」から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv55598264?po=news&ref=news#7:28

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