Googleがストリートビューで被災地の被害状況を記録するプロジェクトを開始
Googleは、『Googleマップ』のストリートビュー技術を活用し、東日本大震災の被害状況を『デジタルアーカイブプロジェクト』として記録・保存するための撮影を開始しました。撮影期間は7月8日から3~6か月を予定。東北地方から北関東の主要都市および海岸エリアを対象とします。
Googleは、被災地状況の記録・保存へのストリートビュー技術の活用についてかなり早い段階から議論をしてきましたが、被災地の状況や被災者の心情などを考慮し実現していませんでした。しかし、現地の地方自治体関係者、ボランティア、医療関係者、研究者たちからも、「ストリートビューで震災を記録・保存してほしい」という声があったためプロジェクトに着手することになりました。同プロジェクトでは、すでにストリートビューのサービスが提供されていた場合も、撮影対象地域の画像はすべて今回撮影したものに置き換わります。震災以前に撮影した画像については、何らかの形で継続して公開・アクセスできる方法を検討しているそうです。
Googleの取り組みに対し、気仙沼市長 菅原 茂氏は「震災で手を差し伸べてもらった世界中の方々に『自分が支援した市はこうなのだ』と知ってもらい、5年後、10年後にストリートビューでもう一度撮影してもらい『このように復興できているのだ』と感じてもらいたい」とコメント。また、日本車化情報学会(JSIS)会長 伊藤 守氏は「震災前の街や風景のアーカイブ化とともに、震災後の『今』を残す街や風景の映像の記録と保存は、被災者の『記憶』や『思い出』をつなぎとめる役割が期待されます」と、街や風景の記録が果たす役割について期待を寄せています。
Googleは、被災地や震災体験の記録となる写真や動画の投稿を募集するプロジェクト『未来へのキオク』を5月下旬にスタートするなど、被災地を映像や画像で記録・保存することに意欲的です。『未来へのキオク』では震災前と震災後の画像を一覧で閲覧可能。地震と津波が壊し去ってしまったものはなんだったのか、そして震災以前の風景に“復興”するまでの道のりの遠さについて、改めて考えさせられます。
未来へのキオク
http://www.miraikioku.com/
京都在住の編集・ライター。ガジェット通信では、GoogleとSNS、新製品などを担当していましたが、今は「書店・ブックカフェが選ぶ一冊」京都編を取材執筆中。
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