モバイルをテーマに開催されたアドビの開発者向けイベント『ADC MEETUP ROUND01』を振り返る

モバイルをテーマに開催されたアドビの開発者向けイベント『ADC MEETUP ROUND01』を振り返る

アドビ システムズは6月11日、デザイン・開発向けソフトウェア製品群『Adobe Creative Suite 5.5 』(以下、『CS5.5』)のパッケージ『Web Premium』主要製品の活用事例セミナー『ADC MEETUP ROUND01』を開催しました。『ADC』は『Adobe Developer Connection』の略で、ウェブ系の開発者向け技術ポータル。今後はウェブ系の開発者に向けたイベントやニュースレターなどの情報提供を『ADC』に集約していくとのこと。アドビ システムズ マーケティング本部ディベロッパーマーケティングスペシャリストの轟啓介氏に、モバイルをテーマに開催された先日のイベントを振り返っていただき、各ツールのモバイルへの対応など現状についてもお話しいただきました。

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開発者向けイベントをADCに1本化

轟啓介氏(以下、轟):『ADC』は、もともと2007年に技術記事をポータルとしてまとめたものがあって、アメリカは昨年9月、日本はまだベータですが最近システムをリニューアルしました。この名前をもう少しうまく使おうということで、最近のテクノロジーは動いているものを見てもらう方がイメージしやすいので、それをイベントの方に持っていき、記事と連動したものをできればいいなということで先日開催したのが『ADC MEETUP』です。今までバラバラにやっていたイベントを1本化して、技術系の情報は『ADC』に集約していこうかなと。

ADCのコンセプト

『ADC』をハブにして、『ADC MEETUP』というイベントがあったり、『Adobe TV』に『ADC Presents』のビデオを出したり、これまで出していた『Edgeニュースレター』を5月号から『ADCニュースレター』に統合したりとやっています。

先日の『ADC MEETUP ROUND01』は、500人以上の申し込みがあって、雨が降る中300人以上の方に来ていただきました。モバイルをテーマに扱っていたので、『Dreamweaver』をやって、『Flash』をやって、『Flex』をやってと進めました。それぞれ畑違いの人もお互いに興味があったようで、途中で帰る人はあまりいませんでしたね。HTML5に関しては、Flash系の人たちは皆興味を持ってくれて、逆にHTML5の人が『Flash』とか『Flex』に興味を持ってもらえたのでよかったと思いますね。

ADC MEETUP ROUND 1
http://www.adobe.com/jp/joc/adc/meetup/round01/[リンク]

アドビ製ツールのモバイル対応について質疑応答

ガジェ通:今回はモバイルがテーマで開催されたということで、フォローアップとしてアドビが提供する各ツールのモバイルへの対応状況を教えてください。

各ツールのモバイルへの対応状況

※図は取材に基づき筆者が作成

轟:(図を描く)
Dreamweaver CS5.5:Android、iOSのアプリ制作に『PhoneGap』で対応。開発言語はHTML+JavaScript
Flash Professional:Android、iOSのアプリ制作に『AIR』で対応。開発言語はActionScript 3
Flash Builder:Android、iOSのアプリ制作に『AIR』で対応。開発言語とフレームワークはActionScript 3とFlex 4.5

それぞれのツールは、携帯電話やスマートフォンなどデバイス上での動作を検証する『Device Central』とも連携します。『Flash Professional』では「デバッグする」で作ったものが『Device Central』上で試せる。加速度センサやGPS、マルチタッチのテストに対応します。『Flash Builder』は、シミュレータを使ってパソコンのデスクトップ上でAIRアプリの動作を確認できるのですが、『Device Central』で使うデバイスのプロファイルを持ってくることができます。『Dreamweaver』ではプレビュー環境に『Device Central』を利用できますが、『PhoneGap』アプリのテストではAndroid SDK、iOS Developer Tools(Macのみ)を設定して、『Dreamweaver』から起動したエミュレーターにより検証が可能です。

ガジェ通:『AIR』の各OSへの対応状況はどうなっているのでしょうか。

AIRの各OSへの対応状況

※図は取材に基づき筆者が作成

轟:リリース時期がずれていたので、今がいちばんややこしい時なんですよね(図を見せる)。一番最初はAIR 2.0でiOSに対応したんですよね。これは『Packager for iPhone』というもの。その後アップルの規約変更で使えなくなり、「もうやらない」と宣言しました。それで去年の『MAX』(昨年10月に開催されたアドビ主催のカンファレンス)のタイミングでAIR 2.5を出して「AndroidとBlackberryに対応します」となりました。ところが『MAX』の直前にアップルのOKが出て、もう間に合わないからAIR 2.6でiOSに対応しようということでこうなりました。

ただし、iOS4以降しかサポートしません。このあとに『CS 5.5』が出ました。『CS5.5』はAIR 2.6以降に対応するので、iOS3はサポートしません。

AIR 2.6とは何かというと、この空白部分(AIR 2.5でiOSに対応していない時期)を埋めるために機能実装をしています。AIR 2.7は何かというと、完全にパフォーマンスチューニングです。2.6は機能を入れたけどパフォーマンスが最適化されていませんでした。

『AIR』については現在、モバイルアプリも対象とするコンテスト『Adobe AIR Contest 2011』の作品を募集しています。7月31日が締め切りです。最優秀賞の受賞者は、10月にロサンゼルスで開催される『Adobe MAX』へご招待しますので、開発者の方には是非参加して欲しいですね。

Adobe AIR Contest 2011
http://www.adobe.com/jp/joc/aircon2011/[リンク]

参考記事:
HTML5/CSS3やマルチスクリーンへの対応進む『Dreamweaver』最新動向を聞く
“Mobile is Here.” 米アドビ社のプロダクトマネージャーがFlashプラットフォームのスマートフォン展開を語る
【Adobe CS5.5】HTML/CSS3対応に加えモバイルアプリの書き出しが可能になった『Dreamweaver CS5.5』
【Adobe CS5.5】Android/iPhone向け開発に機能を強化した『Flash Professional』と『Flash Builder』

次回は8月に開催

轟:次回は8月3日に『ADC MEETUP ROUND02』。テーマはHTML5を予定しています。これはアメリカで開催した『HTML5 CAMP』のコンテンツを一部持ってくるというもので、外国人講師が来る予定があります。

ADC MEETUP ROUND 2
http://www.adobe.com/jp/joc/adc/meetup/round02/[リンク]
開催日時:2011年8月3日(水) 12:30開場 13:00開始
会場:ベルサール渋谷ファースト
参加費:無料(事前登録制)
定員:500名

ユーザーからは「ROUND03あたりでFlashコテコテのやってください」という声もあります。最近はFlash系の勉強会が少ないので、情報に飢えているのかなと思います。『ROUND01』で今後発売されるかもしれない機能や製品紹介する『Sneak Peaks』というセッションがあって、『Flash Player 11』相当のGPUを使った3Dレンダリングのデモをしたときに、参加者から「楽しい」「勉強会をしたい」という声が聞かれました。やはり言葉とか文字とかウェブサイトのビデオじゃなくて、ライブで見せるだけで全然印象が違うのですが、今までうまく連動できていなかったので、いい場所になるかなと。結構自由に使ってみようかと思っています、この『ADC MEETUP』というハコは。

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shnsk

宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

ウェブサイト: http://mogera.jp/

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