原発30キロ圏内のみ補償金 同じ南相馬市民でも「金銭的に差別」と市長が憤り
東日本大震災による原発の被害で揺れる福島県南相馬市の桜井勝延市長は2011年6月29日、東京都内で開催された外国人ジャーナリストの出版記念シンポジウムに出席。同市長は、東京電力による仮払い補償金の支給対象区域が福島第1原発から「半径30キロ」で線引きされていることについて、同じ南相馬市の住民のなかでも補償金を受給できる人とできない人が格差が生じていると、怒りをあらわにした。
南相馬市は福島第1原発の北方約10キロ~40キロの範囲に位置する。東京電力・広報部によると、南相馬市鹿島区など原発から半径30キロ圏外の地域は、7月1日現在、仮払い補償金の支払い対象とはされていない。
「原発から半径30キロ」という線引きで、同じ南相馬市の住民のなかでも補償金を受け取ることができる人とできない人がいることになる。その点について、桜井市長は、
「南相馬市民はズタズタになったと言わざるを得ない。避難先で不安な日々を過ごしながら、放射能の被害と同時に金銭的にも差別されてしまう。30キロを境にして0円と100万円だ」
とした上で、こうした東京電力の判断に「私は怒りを覚えています」と憤った。
また桜井市長は、6月28日に開かれた東京電力の株主総会で提出された原発の廃炉を求める「脱原発」議案について、南相馬市が株主として賛同したことにも言及。
「当然の結果。どれだけコストがかかるかわからない原発に対しては、もう廃炉に向かうしかない」
と発言すると、会場からは拍手が巻き起こった。さらに桜井市長は、今後について「震災で亡くなった人たちの気持ちをしっかりと受け継いで、心を一つにつなぐ形で南相馬、福島を復興させたい」と力強く語った。
(松本圭司)
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