『古賀プラン』で東電批判したらクビ ? 経産省の古賀茂明氏が受けた「退職勧奨」とは何なのか?
東京電力の今後についての『古賀プラン』を迅速に公開し、議論のたたき台をつくってきたとも言える経産省の古賀氏が、先日事務次官から「退職勧奨」を出されたと報道されました。果たしてこれはどういうことなのか? 政策工房の原さんにきいてみました。(トップ写真は古賀茂明さん)
――「退職勧奨」とはどういうことなんでしょうか?
原:これは免職とは違って、単に「退職してはどうですか?」と勧めるだけの話です。これを受けて退職するかどうかは本人次第です。
――とはいえ、普通こういう風に言われたら退職しろという意味だと捉えるんじゃないかと思うのですが、これはどういう場合に出されるものなんですか?
原:伝統的には、天下りとセットで使われてきたものです。いわゆる霞が関の中央官庁では定年前に「こういう天下りポストがあるので、退職してはどうですか?」という形でこの「退職勧奨」が使われるわけです。退職するかどうかは本人次第なのですが、天下りとセットなので受けた人はほぼ確実に「勧奨受諾」します。
――今回はどういう理由で「退職勧奨」が出されたのでしょうか。
原:いくつか考えられます。
1.「政権批判的な言動」に対する懲罰
2.「メディアでの発言」に対する意趣返し。役所では暗黙の掟としてメディアに対する今回の古賀氏のように目立つ発言はおこなわないということになっています。
3.単に政府にとって不要な人材である
――うーん、不要な人材ということはあるんでしょうか
原:むしろ今、最も求められる人材の一人だと思います。まさに原子力政策をはじめとする電力政策の抜本的見直しが迫られている今、古賀氏は政府や経産省にとって必要です。「不要な人材である」というのはにわかに信じがたいですね。
――電力政策にとって必要な人物の退職を勧めるという判断を下したのは誰なんでしょうか?
原:本来の人事権者は経産大臣なのですが、実際のところは事務次官自身かもしれませんし、官邸からそれを示唆されたのかもしれません。
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霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか――。
高橋洋一会長、原英史社長をはじめ、政策コンサルティング専門の「株式会社政策工房」のスタッフが、直面する政策課題のポイントや視点、一般メディアが報じない政策の真相、マーケット情勢などのコンパクト解説を、読者の皆さんにお届けしております。
【原英史さんプロフィール】
原英史(はらえいじ) 1966年東京生まれ。東京大学法学部卒、米シカゴロースクール修了。89年通商産業省入省、07年から安倍晋三、福田康夫内閣で渡辺喜美・行政改革担当大臣の補佐官を務める。09年7月に退官後「政策工房」を設立。政策コンサルティングをスタート。近著に『官僚のレトリック』(新潮社)
トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。
ウェブサイト: http://getnews.jp/
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