意気込みは言い訳だ!~マガジンハウス担当者の今推し本『40歳からはカラダで差がつく!エリートの最強コンディショニング』

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こんにちは。マガジンハウスです。今回おすすめしたい一冊は、自ら15kgの減量に成功し、ダイエットアカデミーを主宰。数々の企業研修や、ミス・ユニバースジャパン代表のダイエットも手掛ける上野啓樹さんの最新刊です。これが、ジム通いもお金も不要の、まさに最強のコンディショニング術。ご本人にお話を伺えたのですが、上野さんご自身もかなりの強めキャラでした!

――――初めまして! この本を読んでいる間は、膝を打ってばかりでした。私は男性でもないしエリートでもないので、最初は他人事気分で読んでたんですけど、気になるところに付箋を貼っていたら、ライオンのたてがみのように付箋だらけになってしまいました。この本に書かれている教えは、すべて上野さんの実体験からくるものですか?

上野 「そうです。よく聞かれるのが、どこかで教わったんですか、誰かに習ったんですか、ということなんですが、そういうのはないんです。とにかく理論ではなく実践、実績だと思うんですよね。たとえば、炭水化物抜きダイエットは理論としては完璧なんです。でも、じゃあ実践できるかって言ったら、僕はパスタもピザも大好きですし、ごはんも甘いものも食べる。半年とか期間があるならできるんでしょうけど、一生レベルで考えた時にできないものはやらないっていうのがスタンスです。だから、理論的には間違ってるって僕のこと言う人もいますけど、理論、机上の空論じゃないんです。学者でないですし。だからできないことはやらない」

――――だから、難しいダイエット理論と違ってわかりやすいんですね。

上野 「僕のポリシーは、健康を文化にする。ということは、誰でもできないとダメ。大人だけが理解できて、子どもには理解できないものは違うと思ってるんですね。だからこの本は、中年男性だけじゃなく、老若男女、誰にでも役に立つ内容です」

――――意識高めの人だけが実践できるとかじゃないんですね。

上野 「違います。だって僕もエリートじゃないですからね。エリート、ビジネスアスリートになるための健康法です」

――――ビジネスアスリートって、なんとなくイメージはわかるんですけど……。例えばこの本の中でも、アメリカの実業家が登壇するセミナーに参加されたら、その方が太ってて見苦しくて、こんな人の話聞けるか!って思ったというエピソードがすごく面白くて(笑)。その人は一瞬、成功者かなと思うんですけど、上野さんが考えるエリートではないですよね。

上野 「全然違うと思いますね。やっぱり、長期ですよね。10年とかじゃなく、30年40年と、まあその人が何歳までビジネスするかにもよりますが、たとえば65歳までだったらその年までちゃんと体調維持してうまくやり続けてる人が、やっぱり僕はエリートだと思います。ぽっと出の、ぱっと花火上げてるだけの人は……」

――――このくだりを読んで、でも、日本でもアメリカでも、実業家とかお金持ちの人って太ってたりするよなって思ったんですけど、それはぽっと出だからですか。

上野 「そもそも、媒体を通して知る人は、本当のお金持ちじゃないですよ。だって本当のお金持ちだったら、アピールしたら国税局や税務署から狙われるわけだからテレビなんか出ないし、SNSもやらないです。あの人達はお金が欲しいからテレビにも出て、自分を媒体にして使ってるに過ぎません。本当のお金持ちはTシャツにジーパンにG-SHOCKでしょう。キンキンギラギラ、車何台も持ってる金持ちなんて見たことない」

――――いわゆる成金というか、金時計してるような人は太ってるイメージですもんね。

上野 「そうですね。豚に真珠ってそのことですよね、まさに」

――――ひー。では、最近、上野さんが「この人はすごいな」って思った方はいますか?

上野 「そうですね、先輩から紹介された二人がいて、どちらも43歳かな? 年収何十億以上で……」

――――ねんしゅうなんじゅうおく!?

上野 「はい、年商じゃなく年収です。まあ一生困らないお金があって、仕事も人生もうまくいってる。だけど太ってて、コンディションが悪い。それが二人とも悩みで、体調を良くしたい、コンディションを上げたいと、僕のところに来られました」

――――そこまで豊かでも、体が悩みなんですね。

上野 「どんなに家庭がうまくいったとしても、病気になったら何にもなりませんから」

――――残すは体調だけ、なんですね。そのお二人はもう上向きになってるんですか?

上野 「はい、もう終わって、二人とも目標の7kg減をクリアしましたし、何より疲れなくなったとか、朝起きるのが楽になったとか」

――――それほど成功して順調な方でも、体調がイマイチっていうのは、上野さんの見立てだと一番の問題点はどこだったんでしょう。

上野 「体調が悪くなったり太ったりする原因は、一つじゃないんですよ。すべての要素がかみ合わないと太らない。実は太るって難しいんですよ、努力しないと太れないし。とはいえ、僕が一番大事だといつも言ってるのは、睡眠ですね。一に睡眠、二に食事、三四がなくて、五に運動。睡眠って簡単なんですが、簡単なことが一番大事なんですよね」

――――でも、本書にもあるように、みんないきなりジムに行きますよね。

上野 「そう。意味がわかんない。やっぱり、簡単なことを大事にする人が成功する。僕は女性によく言うんですが、美は細部に宿る、と。細部を大事にする人は美しいんですよ。それはビジネスでもなんでもそうなんです」

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教え子にはミス・ユニバースジャパン代表が②名も。美は細部に宿る。しっかりメモしました!

――――ちょっと話変わりますが、上野さん、いま40歳ですよね。ご自身の周り、同世代の人を見渡して、どういう感じの人が多くなってると感じますか?

上野 「3点セットですね。太ってハゲて老けてるっていう」

――――ハゲも関係あるんですか!

上野 「ありますよ! 僕、親戚一同、オヤジもお爺ちゃんもみんなハゲてますもん。僕はシャンプー使わないですし、食べ物も気を付けてるのが大きいですよ」

――――なんとかなるもんですか?

上野 「そりゃあ完全にというのは無理だと思いますよ、遺伝はやっぱありますから。ただ進行を遅らせる、アンチエイジングっていうのはありますよ。スピードを遅らせる。僕、別に童顔じゃないけど若く見られるっていうのは、進行を遅らせているに過ぎない」

――――30~40代の読者は、今からでも間に合いますか?

上野 「遅すぎることはないです。ただ、今やらなかったらその分、進行するだけです」

――――年は関係なく、社長や取締役で太ってる人も多いですよね。

上野 「自分の体を管理できない人は、社員の管理なんてできないですよ」

――――ひー。

上野 「僕が投資家だったら、そんな会社には投資しません。あと、自分を太らせるお金があるんだったら、その分、社員に還元してほしいですよね」

――――格言ポロポロ出てきますね。

上野 「だから僕、太ってる社長を見ると、なんて経費の無駄遣いをしてるんだろう、って思いますもん。国税庁もほんと、そういうとこ見たほうがいいです」

――――ひー!

上野 「だってそうですよ。太るってことは毎晩飲み歩いててお金使ってるわけでしょう。腹を見たら一発でわかりますよ。僕だったら社員に奢ったりして還元しますよ」

――――やー……ほんとそれですね。しかし、この本読んでてもそうなんですが、上野さんってドS……いや、ストイックなこと言いますよね。

上野 「ストイックじゃないですよ。そう思う人が甘いんです、厳しいんじゃないです。僕より厳しくてストイックな人、山ほどいますよ」

――――……まあ、そのタイプはきっとこの本に手が伸びないですよね。ということは、これ読んでる時点で相当甘ちゃんなんですが(笑)、そういう人が一念発起して、考え直してやるための本ですね。それで、すごくストイックで厳しいなと思う一方で、「セクシーバーベキュー」のような面白いくだりもあり。

上野 「あれ、大人気なんですよ」

――――単なる飲み会や打ち上げも、“セクシー”と冠をつけることで気分を上げるという素敵なアイデアに脱帽しました。他にセクシーものはあるんですか?

上野 「セクシー花見はありましたね。大濠公園でやるセクシー花火も。ただ名前にセクシーってつけるだけなんですけどね」

――――これから飲み会が多くなる時季ですが、本書にある「行ってはいけない飲み会7条」の通りにすると、行ける飲み会がほとんどなくなっちゃうと思いました。

上野 「だったら行かなくていいんじゃないかと。年末だから飲みに行くっていうイベントがおかしいんです。ハロウィンだから仮装する、バレンタインだからチョコあげる、とかも。執着しすぎなんですよ」

――――ハロウィンじゃなくてもしたいときに仮装すればいいですよね(笑)。でも、飲み会だと付き合いが悪い奴って言われたり、飲ミニケーションというのもあり……。

上野 「それで崩れる関係だったら続かない、ほかの要素でも必ず崩れると思います。『付き合いが悪い』っていうのは、相手のことを考えてない台詞ですよ。エゴですよ。飲み会に来ないって聞いたら、『じゃあ何かあるんだろうな』、『最近続いているからね』って考えてあげるのが本当の優しさだと思うんです。『あいつ付き合い悪いよね』なんて、言うほうが悪いと思います」

――――そんな奴は切ってしまえと。

上野 「そう。だって、自分が癌になっても、その人たちが面倒みてくれるのかっていうと、絶対みてくれないですよね。『付き合い悪い』なんて言う人はお見舞いにすら来ないですよ」

――――そういう基準で選んでいったら、年末の飲み会が全滅です。

上野 「それだけ無駄な会が多いってことですよ。僕、それでも行く飲み会はありますから」

――――それがセクシー飲み会と(笑)。

上野 「セクシー忘年会もあります(笑)」

――――あと、反省会という名の飲み会もやめろ、っていうのも面白かったです。

上野 「だって反省しないでしょ。反省どころかその話題すら出てこない。僕も飲むの好きですし、飲み会にも行ったりしますけど、選ぶっていうのが大事ですよ。“付き合い”っていうのは選んでないです。惰性です」

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にこやかな表情で刺さることを次々語る上野さん。至って普通のことを言っているようです。

――――この本で今の私に一番、耳が痛かったのは、「ながら食べをしない」でした。スマホを見ずに食べたら減量できるっていうのは、すぐできるじゃん! と思いつつも、でも果たしてできるだろうかと。間が持たないんじゃないかとか。

上野 「ははははは。変われない人の条件として第一に挙げられるのが、やらない理由を考える、なんです」

――――わあああ。

上野 「世界3大言い訳っていうのがあるんですが、お金がない・時間がない・タイミングが合わない、っていう」

――――全部言えます! いくらでも出てきますね、言い訳って。

上野 「だから僕、自分の会社のスタッフが『頑張ります!』って言ってきたら、『頑張らなくていいから結果出してくれ』って返します。頑張るっていうのは言い訳であり、頑張ってる人はそんなこと言わないですから」

――――意気込みとかも言わんでいいと。

上野 「意気込みは言い訳です」

――――面白いですよね、上野さんって!

上野 「だって頑張ってる人って絶対『頑張ります』なんて言わないですよ。一生懸命生きてる人だって『生きたい』なんて思わない。死にかけてる人が『生きたい』って言うんです。一緒ですよ」

――――上野さんのそういう厳しいところ、本でも伝わってきましたよ。

上野 「う~ん、厳しいかなあ? だって、歯磨くのと同じレベルですよ」

――――そんな上野さんが、いま、ご自身で「こうなりたい」って理想はあるんですか? 今の俺がパーフェクトって思ってるんじゃないですか?

上野 「いえいえ、全然だと思います。僕、その年一年間、何があったのかを書き出すんですね。大きなトピックを立てて、それぞれが何点だったか、そして一年トータルで何点だったかを自分でつけるんです。で、去年は僕、100点中4点でした」

――――4点って……。低すぎません?

上野 「でも僕はその感覚なんです。自分は全然だと思ってるんで。8年前に起業した年に初めて0点が1点になったんですね」

――――そこまで大きいことしてやっと1点なんですか。

上野 「……で、今年は色々これからもあるんで、まあ、いっても今の感じでいくと100点中6、7点ぐらいかな」

――――本がベストセラーとか。

上野 「それぐらいじゃダメですね」

――――ひー。じゃあ100点にならないじゃないですか!

上野 「いいんです。死ぬまで100点はとらないで、死ぬ瞬間に100点になれれば。死ぬときに一気に加算されるような人生なら。ほんと、自分では本当にまだまだだと思ってます。全然できてない」

――――自分に厳しいですね。だから他人にも厳しいんですね。

上野 「そうかなあ。優しいはずなんだけど」

――――いや、太ってる人に厳しいってことですよ。

上野 「痩せすぎの人にも厳しいですよ。健康じゃないってことですから」

――――やっぱり厳しいじゃないですか!

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厳しくも楽しいお話、ありがとうございました!(写真・中島慶子)

今週の推し本

『40歳からはカラダで差がつく!エリートの最強コンディショニング』
  上野啓樹 著
ページ数:224頁
ISBN:9784838727957
定価:1404円 (税込)
発売:2015.10.29
ジャンル:ビジネス
[http://magazineworld.jp/books/paper/2795/]

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