福島第1原発 1号機のメルトダウン 「可能性高いが確証はない」と政府
枝野幸男官房長官は2011年5月13日午前に行われた会見で、前日12日に東京電力が福島第1原発1号機でメルトダウンが起きていることを認めた件に関して、「燃料の集合体が溶融をして、燃料集合体としての形状が維持できなくなり、溶けたものが重力によって下のほうに落ちるという状況(※)が、1号炉において生じている可能性が相当高いということについては、昨日(12日)東京電力から(原子力安全・)保安院を通じて報告を受けている」と述べ、メルトダウンについて明言を避けた。
また、その後に行われた原子力安全・保安院の会見において西山英彦審議官は、最新データを含めた検証の必要性などを理由に「メルトダウンが起こったということを確定的に申し上げられるほどの確証はない」と語った。
会見でニコニコ動画の記者(七尾功)は、枝野長官に「(前日)12日、東京電力が福島第1原発1号機でメルトダウンが起きていることを認めたことに対する政府の見解について」質問。
これに対し枝野長官は、
「メルトダウン(※)という言葉が、多義的に人によっていろいろな使われ方をしているので、ここは注意をしなければいけないと思っている。燃料の集合体が溶融をして、燃料集合体としての形状が維持できなくなり溶けたものが重力によって下のほうに落ちるという状況が1号炉において生じている可能性が相当高いということについては昨日(12日)東京電力から(原子力安全・)保安院を通じて報告を受けている」
と述べた上で、
「周辺住民の皆さん等に対する安全対策などについては、このことが明らかになったことで改めて問題になることは生じてこない」
と語った。
また、今後の事態の収束に向けた対応について枝野長官は、
「今回判明した事実に限らず、当初の工程表想定の段階とは違った事実が判明したり、あるいは事態が変化をしたりということは一定の考慮をしたうえでの工程表がつくられていると認識している」
と述べた。
※国による「メルトダウン」の概念
燃料集合体が溶融した場合、燃料集合体の形状が維持できなくなり、溶融物が重力で原子炉の炉心下部へ落ちていく状態をいう。
(平成23年4月18日 原子力安全・保安院 第23回原子力安全委員会配布資料第1-1号より)
◇関連サイト
・平成23年4月18日 原子力安全・保安院 第23回原子力安全委員会配布資料第1-1号 – PDF
http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan023/siryo1-1.pdf
・[ニコニコ生放送]枝野幸男長官会見~七尾記者質問部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv49658707?ref=news#0:24:35
・[ニコニコ生放送]原子力安全・保安院会見~七尾記者質問部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv49689716?ref=news#0:36:50
(七尾功)
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ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
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