小佐古氏の発言に「SPEEDIでの予測から、すでに実測へと移行している」と細野豪志氏

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 細野豪志統合本部事務局長は2011年4月30日18時頃、福島原子力発電所事故対策統合本部の共同記者会見で、29日に内閣官房参与を辞任する意向を明らかにした小佐古敏荘東京大学大学院教授が、「(放射能影響予測のデータを)関東・東北全域で隠さず公開すべき」と発言したとされる新聞報道について、「いま政府が持っているデータはすべて公開した」と語った。

 共同記者会見は細野統合本部事務局長のほか、原子力安全・保安院、原子力安全委員会、文部科学省、東京電力などが出席。ニコニコ動画の七尾功記者から「新聞報道によれば、(内閣官房参与を辞任する意向を明らかにした)小佐古氏が、『SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)が法令に定められている手順通りに運用されていない。甲状腺被ばく、とりわけ小児については(福島原発第1原発から半径)20、30キロのみならず、関東・東北全域で隠さず迅速に数字を公開すべき』と発言されたようだが、これについて見解を聞きたい」との質問がなされると、細野統合本部事務局長は「いま政府が持っているSPEEDIに関するデータは、すべて公開した。その(半径30キロ圏の)外側について、有意の情報があるとは承知していない」と語った。

 続いて、原子力安全委員会の加藤重治内閣府審議官が、「SPEEDIで計算できる拡散予測の範囲は一辺92キロまで。したがって、公開しているものがその最大。(福島第1原子力)発電所を中心とした92キロの正方形の範囲」であると説明した。だが、七尾記者が「(計測する)基点をずらせば、関東や東北全域を計測できるのでは」と問うと、同局の担当者は、「技術的に可能かどうかわからない」とし、現在の計測範囲で「防護措置が適切であることを示せている」との考えを示した。

 細野統合本部事務局長はまた、「小佐古参与からは確かに、SPEEDI(のデータ)を早く公開するようにという話が、再三あった。ただ、(放射性物質の)放出源が明確にならないなか、公開するに足る情報にならないという判断が関係者のなかにあり、なかなか出す状況にならなかった」ことを明らかにした。

 その上で細野事務局長は、「いま『SPEEDIがどうか』というと、おそらく小佐古先生もわかっておられると思うが、すでに実測データがでているので、そちらのほうがより実態そのものを表している。SPEEDIが本来持つべき機能は『予測』で、十分なモニタリングができない時期にそれなりの効果があった。その時期に機能しなかったことにおいて、小佐古先生が厳しく評価をされているのは当然だ。だが、今からこういった公開をすることにどれくらい意味があるのかということについては、率直に言って疑問があるというか、それほど大きな効果のある情報が期待できない」と語った。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]質問部分から視聴
http://live.nicovideo.jp/watch/lv48250308?ref=news#0:49:58

(土井大輔)

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