若い女性に住宅を売る その秀逸な手法

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若い女性に住宅を売る その秀逸な手法

 勤めている会社から独立したい、いつか夫婦で喫茶店を開きたい、ラーメン屋をやるために今は修行しているなどなど、自分でビジネスを立ち上げることを夢見る人は多いはず。
 でも、飲食店を例に挙げると、開店して2年以内に半分が潰れ、10年で90%が潰れると言われています。他の業種にしても、生き残っていけるのはごく一部の会社だけでしょう。

 この「ごく一部」に入るためには、「おいしいものやいい商品・サービスを提供しつづけていれば、自然に顧客はついてくる」という考えを抜け出さなければなりません。たとえば、スイーツの世界で成功を収めているあるパティシエはこんなことを言います。
 「美味しいものをつくるのは当たり前。同じ材料を使えば、どんな店でもそこそこ美味しくはできる」
 つまり、ビジネスとしての成功を目指すならば、「味」では他店との決定的な差別化は難しいということ。そう、飲食業に限らず、「儲ける」ために必要なのは、「商品の質」以上に、顧客を呼び込み、定着させ、継続的にお金を使わせる「仕組み」なのです。

■成功を収める住宅会社の見た目は「雑貨屋」
 『400円のマグカップで4000万円のモノを売る方法―――「儲けの仕組み」が、簡単にわかる!』(高井洋子/著、ダイヤモンド社/刊)は、成功しているビジネスの「仕組み」を取り上げることで、「儲かる仕組み」を考える手助けをしてくれます。
象徴的なのが、「400円のマグカップで4000万円のモノを売る」というこのタイトル。実はこれも、愛知県のある住宅会社を成功に導いた「仕組み」なのだそうです。

 この住宅会社は、一見するとかわいらしい雑貨や家具を取りそろえたおしゃれな雑貨店にしか見えません。実際にそのお店は地元の女の子に人気があり、「こんな家具や雑貨に囲まれて暮らしたい」「結婚したらここの家具が欲しい」という人が多いのだとか。

 そんなお店ですから、新卒採用の説明会には女子学生で盛況です。この会社の仕掛けはここから始まります。説明会の帰りに「お母さんに渡してください」といって400円ほどのマグカップと、雑貨店の半額券を渡すのだそうです。
 こうしてお店の認知を広めつつ、お店にやってくる若い女性客にはスタッフが徹底してコミュニケーションを取ります。客層的に結婚が決まっていたり、結婚を控えている人が多いため、自然にお客さんの目は陳列している家具に。しかし、奇妙なことに売りものであるはずのその家具を、この会社は「買わなくていい」というのだそうです。

■「家具」から「家」へ 顧客の関心をすり替える
 そして、その代わりのように、自社のモデルハウスにお客さんを連れていき、こんな説明をします。
 「ご覧ください、いずれ家を建てたときに、家にあわせて造り付けにしたほうが間取りにぴったりだし、地震対策にもなるんですよ。だから今は無駄な家具は買わないでください」
 実はここで、お客さんを「家具」から「家」に誘導しているのです。そこからスタッフは家具よりも家についての話をします。結婚する直前や直後のお客さんは「マイホーム」への関心が高いため、早いうちからマイホームを持つことの経済的なメリットを説明するとその気になりやすいようです。そこで、ローンなどお金に関するセミナーに招待して、両親も巻き込んでいくと、マイホーム購入の話が具体化しやすいばかりか、実家のリフォームなどの受注にもつながるといいます。

 多くの住宅会社が、顧客をモデルハウスに呼び寄せることに苦心する中で、この会社の「仕組み」は一風変わっていますが秀逸です。通常、住宅会社のターゲット顧客は「小学校入学前の子どもがいるファミリー」なのですが、この会社はこの方法によって「新婚建築」という新しい市場を創り、大手住宅会社と競合することなく利益を上げているといいます。

 利益を上げているビジネスの裏側には必ず優れた「仕組み」があります。
 本書では、閑古鳥の鳴くカフェが再生するまでの物語を通して、その「仕組み」を作るためのポイントと、成功例を解説。
起業を志す人にとって、ビジネスの根幹を身につけることのできる参考書になってくれるはずです。
(新刊JP編集部)


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