ガジェ通へ抗議の毎日デザイン賞に逆取材 ”調査委員”佐野研二郎氏の処遇は「検討するかしないかも含めて未定」
連日、話題となっているデザイナー・クリエイティブディレクターの佐野研二郎さんの2020年東京五輪エンブレム盗作問題。ガジェット通信でも、再三記事で取り上げていますが、中でも五輪エンブレムの審査員と佐野さんとのつながりについて指摘した記事には、大きな反響がありました。
五輪エンブレム盗作問題 審査員と佐野研二郎さんとのつながりがネットで話題に(※追記アリ)
https://getnews.jp/archives/1091306 [リンク]
ところで、同記事には毎日新聞社社長室広報担当名で「毎日デザイン賞に“審査員”は存在しません。明らかに事実と違いますので指摘します」と善処を求める申し入れが届きました。
これに対して、ガジェット通信は8月19日19時に同記事の追記として事実と異なる記述があったことを認め、お詫びしています。
しかしながら、毎日デザイン賞の「選考要項」には以下のような記述がされています。
選考
調査委員から推薦を受けた候補作品を、選考委員会で映像・文献資料を参考にしながら賞を決定する。
調査委員が作品の「推薦」するというのは、選考の過程に関与していることになり、「審査に関わる立場」にあたるのではないのだろうか……。
そういった疑問を持った筆者は、毎日新聞社側にメールで質問を送付。それに対して、毎日新聞社社長室広報担当名で文書にて回答がありましたので、この場でご紹介します。
毎日デザイン賞に関する質問と毎日新聞社社長室広報担当の回答
1、「調査委員」と「選考委員」と、2つの委員を設けている意図はどのようなものでしょうか?
「作品をノミネートする者と選考する者とを分け、賞の公正を期すためです。調査委員は選考には関われず、選考委員はノミネートできません。」
2、「調査委員」および「選考委員」の選出は、どのような基準を設けているのでしょうか? また、選出に関して御社の責任部署はどこになるのかもご教示下さい。
「選考委員はデザイン界の第一人者5名にお願いしています。調査委員は、同賞の過去の受賞者を中心に50名近くの方にお願いしています。賞運営の事務局は毎日新聞東京本社広告局の企画推進本部に置いています。」
3、賞の選考に関して、「調査委員から推薦を受けた候補作品を、選考委員会で映像・文献資料を参考にしながら賞を決定する」とあります。これは「調査委員」が作品を「選出」することで、賞選考のプロセスに関与しているという理解で間違いないでしょうか?
「調査委員は作品を推薦するだけで、候補作品の中から優秀のものを選び出す「選考」「審査」をしていません。因みに、選考委員はどの調査委員がどの作品を推薦したかを知りません。」
4、上記の理解が正しい場合、佐野研二郎氏と浅葉克己氏が「審査に関わる立場でなく、明らかに事実と違う」というご主張と矛盾します。違う点をご教示下さい。
「3でお示しした通りです。」
5、東京オリンピックのエンブレムの疑惑などの諸問題を受けて、佐野氏を調査委員から外すことを検討されることがあるのでしょうか?
「検討するかしないかも含めて未定です。」
「調査委員は作品を推薦だけ」
上記のように、毎日デザイン賞では公正を期すために調査委員と選考委員会を別々に設け、厳正な審査が図れるような過程を経ていると強調しています。
一方で、今回の諸問題を受けた佐野氏への対応は「未定」という回答でした。デザイン業界の賞の審査が、世間でこれまでになく注目されている中、各委員が選ばれる経緯や審査のプロセスについて、その透明性や第三者が納得できる理由が求められることになるのではないでしょうか。
※画像は毎日デザイン賞サイトより
http://macs.mainichi.co.jp/design/m/ [リンク]
乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。
ウェブサイト: https://note.com/parsleymood
TwitterID: ryofujii_gn
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。