クレームの数は「友の会会員が一名」! 東京都現代美術館作品撤去要請問題で会田誠氏が見解発表 

access_time create
aida_20150725_01

東京都現代美術館で2015年7月18日から開催されている『おとなもこどもも考える ここはだれの場所?』展で、美術家の会田誠さんが、妻の岡田裕子さんと息子・会田寅次郎さんの三人からなる「会田家」というユニットで共同制作した墨文字がしたためられた6メートルの布の作品『檄』と、他一点が美術館側からクレームが入った事により撤去要請を受けた問題。

これに対して、会田さんは2015年7月25日に自身の『tumblr』にて見解を発表。『檄』について、「文部科学省という役所全体に対して、不平不満を述べているだけ」で政治的な作品ではないとする一方、クレームの件数を聞いたところ「友の会会員が一名」という返答だったことに「僕は一瞬耳を疑いました」と驚きを述べています。

会田さんは、「公立ではなく民間の場であっても、芸術を使って政治的アピールはすべきでない、というのは僕のいつもの基本方針です」と表明した上で、『檄』という作品が会田さんの家庭で話された会話のうち「日本の教育への不満」を抜き出したものがベースになっていると説明。「現代の日本の家庭なら、ごく普通にありうべき不平不満だと思います」と述べ、一般中学生である息子の参加についても「ここ(=美術館)は誰のもの?」という問いかけについての「僕なりの反応の一つ」としています。
また、「内容が子供展に相応しくない」という意見に対しては、「大人の事情を子供たちの目から意図的に遠ざけ隠す行為は、基本的に良くないことだと僕は考えます」と反論。「ものごとを疑う精神」の大切さに触れ、「この展示は『子供展』という枠組みに対する無視などのはずはなく、むしろ熟考の結果です」と主張します。

担当学芸員から「観客からのクレームがあり、東京都庁のしかるべき部署からも要請がきたので、美術館としても協議し、撤去の要請を決定しました」と言い渡されたという会田氏が、「何件のクレームが来てるんですか?」と尋ねたところ、「友の会会員が一名」とのこと。また、問題視する都庁の部署については「それは言えない」という回答だったといいます。それに対して、会田氏は次のように不満を述べています。

このように、クレームの相手(の種類や量)を僕にまったく見せないままに、この撤去要請は行われました。これでどうして僕が「納得」できるというのでしょうか。

会田さんは2013年にも森美術館で開催された自身の個展『天才でごめんなさい』が任意団体からの抗議文が送付されるなど、たびたびその作品性が問題視されてきました。今回の反論を受けて、美術館側がどのような対応を取るのか、多くのアート愛好者に限らず気になるところなのではないでしょうか。

※画像は会田さんの『tumblr』より
http://m-aida.tumblr.com/ [リンク]

  1. HOME
  2. 政治・経済・社会
  3. クレームの数は「友の会会員が一名」! 東京都現代美術館作品撤去要請問題で会田誠氏が見解発表 
access_time create

ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

ウェブサイト: https://note.com/parsleymood

TwitterID: ryofujii_gn

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。