脳が成長する、本の読み方とは?
映画や絵画、音楽などにも増して、脳が育つための最良の肥やし――脳科学者としてお馴染みの茂木健一郎さんは、それは「本」だといいます。
本書『頭は「本の読み方」で磨かれる』では、脳が育つための最良の肥やしであるという「本」について、読書好きである茂木さんの豊富な経験を通し、どんな本をどのように読めばいいのか、本の選び方や、本から得た知識を自らの血肉とするために知っておきたいポイント、茂木さんオススメの厳選10冊の紹介までなされていきます。
まず本読むことの利点のひとつとして茂木さんは、「読んだ本の数だけ、高いところから世界が見える」ということを挙げます。イメージとしては、読んだ本の数だけ、足の下に本が積み重なっていき、10冊読んだ人は10冊分の高さから、100冊読んだ人は100冊分の高さから世界が見えるのだといいます。
さらに、さまざまなジャンルの本を読むことによって、その足場はより安定するとのこと。
「推理小説だけを千冊読んでいる人と、自然科学書から哲学書、小説、マンガまで、さまざまなジャンルをまんべんなく読んでいる人とでは、足場の広さが違ってきます。(中略)足場が広ければ、世界をより広く自由に動き回って見ることができ、足場が高ければ、より遠くまでものを見ることができる」(本書より)
この「本を読むと足場ができる」という現象を脳科学の言葉で表現すると、脳の側頭連合野(記憶や聴覚、視覚をつかさどり、その人の経験をストックする機能を持つ部分)にデータが蓄積されていくということであり、つまり本を読むことは、自分の経験を増やすことでもあるのだと指摘します。
では、実際にどのような本を読めばいいのでしょうか。選ぶときのポイントのひとつとしては、「読み切れてうれしい、と感じられるような、簡単すぎず、難しすぎないくらいの本に挑戦」すること。
無理だと思っていたことができて喜びを感じたとき、脳の中にはドーパミンが放出されます。そしてドーパミンが出ることにより、脳内ではその行動を取る回路が鍛えられていくのだそうです。そのため、たとえ現段階では読書が苦手な方も、自分なりの難易度を設定してクリアし、喜びを感じることを繰り返していくうちに脳が鍛えられ、次第に読書が楽になっていくのだといいます。
「本という一つの形になった文章を読むのは、ボクシングジムに行って、気合いを入れてスパーリングをするようなもの」と茂木さんはいいます。しかし、それだけに得られるものが多いのもまた事実。まずは本書にて紹介される茂木さんオススメの本から手に取ってみてはいかがでしょうか。
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