食虫時計

サイエンスあれこれ

今回は神無久さんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

食虫時計
どんな生き物だって食べなきゃ生きていけません。食べるという行為は、生き物が自律的に生きるために、外界からエネルギーを得るひとつの手段なのです。でも、もし機械がそれをやっちゃったら? 電気も燃料も不要な代わりに、生き物を食べる機械。そんな不気味なアイデアを実現してしまった人たちがいます。

英・ブリストル大学ロボティクス研究所教授のChris Melhuish氏 *1 と、デザインカレッジ講師のJames Auger氏とJimmy Loizeau氏 *2 たちです。まずはこちらのビデオをご覧ください。

*1:Chris Melhuish氏
http://people.brl.ac.uk/people/template.jsp?username=chris
*2:James Auger氏とJimmy Loizeau氏のサイト
http://www.auger-loizeau.com/index.php?s=contact




「Fly Paper Clock.avi 」 『youtube』
http://www.youtube.com/watch?v=MsJ6B3y_Afw&feature=player_embedded

食虫時計 食虫時計

最初にご紹介するのは、食虫時計(上画像)。時計とは言え、真っ赤なボディの大部分を占めるのは、表面に蜂蜜を塗ったハエ取り紙です。トラップされたハエは、ベルトコンベアーの如く動くハエ取り紙に乗っかって最下部まで移動し、そこで捕獲箱の中に落とされます(下画像)。捕獲箱の中には有機物分解バクテリアがいて、ハエを分解して得たエネルギーを、時計の駆動に必要な電気エネルギーに変換します。8匹のハエで12日間駆動する計算なのだそうですが、未だプロトタイプのため、駆動のために十分なハエを捕まえることができないというのが唯一の救いです。完璧に動いたら本当に不気味ですからねぇ。

食虫時計

次は、食虫ランプ。原理は、時計とほぼ同じようですが、ランプとしての光が誘蛾灯(ゆうがとう)のように虫をおびき寄せる効果もあるので、新たにトラッパーをつける必要がなく、一石二鳥のようです。ただ、こちらは時計と違って消費電力も大きそうなので、明るくても虫だらけの部屋で過ごす羽目になりそうです。

食虫時計

お次は、食鼠(しょくそ)テーブル。右上に見える入り口から入ったネズミは、テーブルの中央に開いたポケットの上のチーズを食べようと乗っかります。すると、カメラのシャッターのように底が開いて、その下の特大有機分解槽にポチャリ。ただよくわからないのは、テーブルなのになぜ電気が必要なのでしょうか?

食虫時計

最後は、虫取りにクモの助けを借りるというアイデアを実現した作品です。右上の部分をクモに貸しだし、そこに巣を張ってもらい、その巣に引っかかった虫をロボットアームではぎ取り、左上の有機分解槽に落とす……みたいな仕組みのようです。

以上、実際に動いている様子は、このビデオでご確認ください。日本人はどちらかというとロボットを人間に近づけることに違和感を持ちにくい民族だと思っていましたが、充電器に戻る代わりに、ネズミを捕まえて食べる『ASIMO』ってどう思います?



「Carnivorous Domestic Entertainment Robots」『vimeo』
http://vimeo.com/5198309

※画像は、James Auger氏とJimmy Loizeau氏のサイトより引用させていただきました
http://www.auger-loizeau.com/index.php?id=13

執筆: この記事は神無久さんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

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