ほとんどもらえないのが実情 犯罪被害者への給付金

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 犯罪によって大きなケガを負ったり、後遺症が残ったりした被害者は、高額の医療費や介護費が必要となることになる。ましてそのケガで仕事ができなくなった場合、本人や家族はどうやって生活していけばよいのか―― 。2011年2月28日のニコニコ動画の生放送「ニコ生ノンフィクション論『犯罪被害者の叫び』」では、著書「アフター・ザ・クライム」を上梓したノンフィクションライターの藤井誠二氏、「全国犯罪被害者の会(あすの会)」副代表幹事の高橋正人弁護士、1999年に東京都文京区音羽で起きた幼女殺害事件の被害者遺族で「あすの会」代表幹事代行を務める松村恒夫氏が、犯罪被害者の救済の実情について語った。

 番組の中で、「犯罪後の(被害者の)生活費や治療費用は?」という議題が提起された。たとえば、被害に遭って長期間のリハビリやカウンセリングが必要になった場合、治療費は数百万円以上かかることがある。法律上、被害者側は、民事訴訟による加害者への損害賠償請求の他、国が被害者に一時金を給付することを定めた「犯罪被害者給付金法」を利用できるとされている。だが、損害賠償は加害者の支払い能力によるところが大きいため、犯罪被害者給付金に期待するしかない。

 その犯罪被害者給付金について高橋弁護士は、「配偶者間、兄弟間、直系血族間では出ない」「交友関係、取引関係、職場関係が事件の背景になっている場合は3分の2になる」と指摘した。これは、頻繁に起こっている犯罪であっても、被害者に給付金が支払われないか減額されていることを意味する。
 
 さらに藤井氏が、秋葉原事件のような(めったに起きない)通り魔的犯罪の場合、給付金の額はどうなるのかと質問。これを受けて、高橋弁護士は「刃物で刺された人は300~400万円」だが「車で轢かれた人は3000万円くらい」と説明。車を使っての犯罪被害は手厚く保護される一方で、通常の凶器での犯罪は給付金が低いという矛盾があるという。

ニコ生ノンフィクション論「犯罪被害者の叫び」
「被害後の生活費や治療費用は?」部分より再生
http://live.nicovideo.jp/watch/lv41435744#38:24
(番組はタイムシフト機能で2011年3月7日まで視聴できる)

(山下真史)

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